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現代数学解説
文献あり

WP-Bailey格子

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Agarwal-Andrews-Bressoudによる Bailey格子 は本質的に以下のように与えられるものだった.

Agarwal-Andrews-Bressoud(1987)

(αn,βn)aに関するBailey対とする. このとき,
αn:=(1a)(αn1aq2naq2n2αn11aq2n2)βn:=βn
とするとき, (αn,βn)a/q関するBailey対である. ただし, α1:=0とする.

今回は WP-Bailey対 に対してその類似となる以下の定理を示す. これはWP-Bailey格子と呼ばれている.

Zhang(2016)

(αn,βn)(a,w)に関するWP-Bailey対とするとき,
αn:=(1a)(qnαn1aq2nqn1αn11aq2n2)βn:=qnβn
とすると, (αn,βn)(a/q,w)に関するWP-Bailey対である. ただし, α1:=0とする.

k=0n(wq/a;q)nk(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+kαk=k=0n(wq/a;q)nk(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+k1(qk1aq2kαkqk11aq2k2αk1)=k=0n(wq/a;q)nk(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+k1qk1aq2kαkk=0n(wq/a;q)nk(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+k1qk11aq2k2αk1=k=0n(wq/a;q)nk(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+k1qk1aq2kαkk=0n(wq/a;q)nk1(w;q)n+k+1(q;q)nk1(aq;q)n+kqk1aq2kαk=k=0n(wq/a;q)nk1(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+kqk1aq2kαk((1wqnka)(1aqn+k)(1qnk)(1wqn+k))=qnk=0n(w/a;q)nk(w;q)n+k(q;q)nk(aq;q)n+kαk=qnβn
となるから定理が示される.

上の結果は一つのWP-Bailey格子であるが, Agarwal-Andrews-BressoudによるBailey格子をWP-Bailey格子に拡張するようなものについてはまだ見つかっていないのかもしれない.

参考文献

[1]
Zhizheng Zhang, A WP-Bailey lattice and its applications, Int. J. Number Theory, 2016, 189-203
投稿日:25日前
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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