1
現代数学解説
文献あり

Bailey格子

46
0

(αn,βn)aに関する Bailey対 であるとは,
βn=k=0nαk(q;q)nk(aq;q)n+k
が成り立つことをいう. 以下がBailey格子(Bailey lattice)と呼ばれる定理である. Bailey格子という用語は元々は下の定理と Baileyの補題 を繰り返して得られるBailey対が格子のように並んでいる様子を表したもののようである.

Agarwal-Andrews-Bressoud(1987)

(αn,βn)aに関するBailey対とする. このとき,
αn:=(1a)(abc)n(b,c;q)n(a/b,a/c;q)n(αn1aq2naq2n2αn11aq2n2)βn:=k=0n(b,c;q)k(a/bc;q)nk(a/b,a/c;q)n(q;q)nk(abc)kβk
とするとき, (αn,βn)a/qに関するBailey対である. ただし, 形式的にα1:=0とする.

特に, a=bcの場合は以下のようになる.

(αn,βn)aに関するBailey対とする. このとき,
αn:=(1a)(αn1aq2naq2n2αn11aq2n2),n1βn:=βn
とするとき, (αn,βn)a/qに関するBailey対である. ただし, 形式的にα1:=0とする.

補題2の(αn,βn)にBaileyの補題を適用すると定理1が示せるので, 定理1を示すには補題2を示せば十分である.

j=0nαj(q;q)nj(a;q)n+j=j=0n1a(q;q)nj(a;q)n+j(αj1aq2jaq2j2αj11aq2j2)=j=0n1aqn+j(q;q)nj(aq;q)n+jαj1aq2jj=0n1qnj(q;q)nj(aq;q)n+jaq2jαj1aq2j=j=0nαj(q;q)nj(aq;q)n+j=βj
となって示される.

(αn,βn)から始めてki回Baileyの補題を適用し, 定理1を用いた後i1回Baileyの補題を用いると, Andrewsの恒等式 と同様に, 以下が得られる.

Agarwal-Andrews-Bressoud(1987)

(αn,βn)aに関するBailey対とするとき,
α0(a,q;q)n+(1a)j=1n(b1,,bi,c1,,ci;q)j(a/b1,,a/bi,a/c1,,a/ci;q)j(q;q)n+j(a;q)nj(aib1bic1ci)j((bi+1,,bk,ci+1,,ck;q)j(aq/bi+1,,aq/bk,aq/ci+1,,aq/ck;q)j(akiqkibi+1bkci+1ck)jαj1aq2j(bi+1,,bk,ci+1,,ck;q)j1(aq/bi+1,,aq/bk,aq/ci+1,,aq/ck;q)j1(akiqkibi+1bkci+1ck)j1aq2j2αj11aq2j2)=nn1nk0(b1,c1;q)n1(bk,ck;q)nk(q;q)nn1(q;q)nk1nkan1++nkqni+1++nk(b1c1)n1(bkck)nkβnk(a/b1c1;q)nn1(a/bici;q)ni1ni(aq/bi+1ci+1;q)nini+1(aq/bkck;q)nk1nk(a/b1,a/c1;q)n(a/bi,a/ci;q)ni1(aq/bi+1,aq/ci+1;q)ni(aq/bk,aq/ck;q)nk1
が成り立つ.

参考文献

[1]
A. K. Agarwal, G. E. Andrews, D. Bressoud, The Bailey lattice, J. Indian Math. Soc., 1987, 57-73
投稿日:425
更新日:425
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

Wataru
Wataru
781
51761
超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 参考文献