Bailey対
は
を満たす数列の組として定義されるが, その一般化としてWP-Bailey対が以下のように定義される.
これは定義からの場合にに関するBailey対に一致する. 定義は
とも書くことができる.
Bressoudの反転公式
により, がWP-Bailey対であることは,
を満たすことと同値である. 次はBaileyの補題のWP-Bailey対への一般化である.
Andrews(2000)
とする. がに関するWP-Bailey対であるとき,
はに関するWP-Bailey対である.
を示せば良い. 右辺は
ここで,
Jacksonの和公式
より,
であるから, これを代入すると,
となって示すべきことが得られた.
Kroneckerのデルタを用いて,
とすると, はに関するWP-Bailey対である. これにWP-Baileyの補題を適用すると, として,
はに関するWP-Bailey対である. これはSinghによって1994年に発見されたものである. 上のWP-Bailey対にもう一度Baileyの補題を適用すると, として,
がに関するWP-Bailey対である.
を書き換えると,
が得られる. これは
Baileyの変換公式
である.
応用の際には, 定理1をを用いずに表しておくこと便利なこともあるかもしれない. それは以下のようになる.
がに関するWP-Bailey対であるとき,
はに関するWP-Bailey対である.
WP-Bailey対の様々な応用については, これからまとめていきたいと思う.
[1]
G. E. Andrews, Bailey's transform, lemma, chains and tree, Proceeding of Special Functions Conference, 2000
[2]
G. E. Andrews, The WP-Bailey Tree and its Implications, J. London Math. Soc., 2002, 529-549