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多重ゼータ値の双対性2

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0.目次

1.はじめに
2.定義
3.準備
4.本題
5.終わりに

1.はじめに

多重ゼータ値の双対性1 の続きです。今回は分母に二項係数やポッホハマー記号がついた多重ゼータ値の双対性について、僕が考えたことを書きます。

2.定義

今回使うものの定義を並べておきます。

ベータ関数

(0<x,y)
B(x,y):=01tx1(1t)y1dt=Γ(x)Γ(y)Γ(x+y)

多重ポリログ

インデックスk=(k1,k2,kr)zC(|z|1)((kr,z)(1,1))に対して、多重ポリログを次のように定める。
Lik(z):=0<n1<<nrznrn1k1n2k2nrkr

多重フルヴィッツのゼータ値

許容インデックスk=(k1,k2,kr)β=(β1,β2,βr)に対して
ζ(k;β):=0n1<<nr1(n1+β1)k1(n2+β2)k2(nr+βr)kr
(ただしβ1,β2,βrは実数で0,1,2,は除く。)

3.準備

多重ポリログの反復積分表示

ω0(t)=dtt,ω1(t)=dt1t
ϵi{0,1},i,kZ>0に対して、次のような積分を定める。
Iz(ϵ1,ϵ2,,ϵk)=0<t1<t2<<tk<zωϵ1(t1)ωϵ2(t2)ωϵk(tk)
このとき、次の等式が成立する。
Lik(z)=Iz(1,{0}k11,1,{0}k21,,1,{0}kr1)

前回の記事 の定理1とまったく同様にして成り立つことが確認できる。

nは正の整数、0<α
01tn1(1t)α1dt=n!n(α)n

(a)nはポッホハマー記号で(a)n=Γ(n+a)Γ(a)=a(a+1)(a+n1)

01tn1(1t)α1dt=B(n,α)=Γ(n)Γ(α)Γ(n+α)=n!n(α)n

4.本題

0<αに対して、次のような級数を定義します。
ξα(k):=0<n1<n2<<nrnr!n1k1n2k2nrkr(α)nr

双対関係式

許容インデックスkα=({α}dep(k)) に対し、次が成立する。ζ(k;α)=ξα(k)

多重ゼータ値の反復積分
ζ(k)=0<t1<t2<<tk<1ωϵ1(t1)ωϵ2(t2)ωϵk(tk)
において、ωϵ1(t1)t1α11t1dt1と改めた積分を考える。
0<t1<t2<<tk<1t1α11t1dt1ωϵ2(t2)ωϵk(tk)=0<t1<t2<<tk<1n=0t1n+α1dt1ωϵ2(t2)ωϵk(tk)
なので、無限等比級数の和の公式を用いながら順に積分を実行していくことにより次が分かる。
0<t1<t2<<tk<1t1α11t1dt1ωϵ2(t2)ωϵk(tk)=ζ(k;α)()


一方で、ti=1x1(i=1,2,,k)と変数変換を行う。またϵを次のように定める。

{ϵi=0ϵi=1ϵi=1ϵi=0

0<t1<t2<<tk<1t1α11t1dt1ωϵ2(t2)ωϵk(tk)=0<xk<xk1<<x1<1ωϵk(xk)ωϵ2(x2)(1x1)α1x1dx1=01Lik(x1)(1x1)α1x1dx1(1)=0<n1<n2<<nr1n1k1n2k2nsks101x1ns1(1x1)α1dx1 (k=(k1,k2,,ks))=0<n1<n2<<nrns!n1k1n2k2nsks(α)ns(2)
したがって、
0<t1<t2<<tk<1t1α11t1dt1ωϵ2(t2)ωϵk(tk)=ξα(k)()
(☆)(★)より、
ζ(k;α)=ξα(k)

多重t値

許容インデックスk=(k1,k2,kr)に対して、多重t値を次のように定める。
t(k):=0<n1<n2<<nr1(2n11)k1(2n21)k2(2nr1)kr

0<n1<n2<<nr22nrn1k1n2k2nrkr(2nn)=2wt(k)t(k)

定理3でα=12とすれば良い。

5.終わりに

今回書いた内容は自分が結構気に入っているものなので、記事にできて嬉しいです(><)。
ここまで読んでいただきありがとうございました(>
<)ぷえ~

投稿日:20231117
更新日:20231119
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余余余
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