Ref. [Ø]を参考に、以下のような問題を考える。
を適当な集合とし、からへの函数の集合
を考える。の Borel 集合を用いてと書けるような集合から生成される-加法族が、の適当な条件のもとで、のある位相についての Borel 集合族となることを以下で見たい。具体的には以下を示したい。(この内容は Ref. [Ø]の主張より弱いが、とりあえず今回はこの弱い主張を確認したい)
に対して射影をで定める時、この射影を用いてに積位相を入れる。が可算濃度の時、-加法族は積位相に関する Borel 集合族になる。
函数の集合の積位相
に対して射影をで定める。この射影を用いてに積位相を入れる。よって、に対して、準開基はに対する “シリンダー” となる。が属するに目印をつけてと書くことにすると、イメージとしては以下のような感じのものになる。
積位相の開基はこれらの有限交叉となる。例えば 2 個の準開基の交叉は以下のようになる。
もう少し一般的な書き方をすると、以下のようなものである:
位相の(準)開基の可視化
よって、の積位相における開集合は一般にの形で表現される。この位相は各を連続にする最弱の位相である。
また、この積位相はの函数について「各点収束の位相」とも呼ばれる。つまり、 in である。(Ref. [F] Prop 4.12)
-加法族
に次のような-加法族を導入する。の Borel 集合を用いて
と表される集合から生成される上の-加法族をとする。が第 2 可算公理を満たす時、このはの積位相についての Borel 集合族になることを見たい。
定理の証明
Eq. (2) を書き換えよう。これはで, , で, , を通るようなものである。これを踏まえると、
と書き直すことができることが分かる。特にをとると、Eq. (1) よりに等しい。よって、はの積位相における開基を含むことが分かった。
ここで、を開基の集合から生成される最小の-加法族とする。この開基が定める位相が第 2 可算公理を満たす時(後述)、開基の可算個の合併で表現される開集合がすべてに含まれる。つまりはの位相についての Borel 集合族となる。
ところで、なので、である。
また、Ref. [F] Prop 2.1 よりのによる逆像はの連続性により開集合であり、故にに含まれるので、は-可測である。よって、Eq. (3) またはそれと等価な Eq. (2) のような集合はすべてに含まれる。よって、Eq. (2) の集合から生成される-加法族はということになる。以上より、である。
最後に、の積位相が第 2 加算公理を満たすことが示されれば、は Borel 集合であることが分かる。これについては、は第 2 加算公理を満たす(c.f. Ref. [U] 例 17.5)ことから、仮定よりは可算濃度なのでもまた第 2 加算公理を満たすことから従う(c.f. Ref. [F] Section 4.2 Exercise 20, Ref. [K] Chapter 3 Theorem 6 & Problems M)。
例
例えば、の時、定理が成立する。
まとめ
本の主張よりは弱い形での証明だが、一般的な(?) 開集合に対する Borel 集合族を考えるということをしてこなかったので、良い題材になった。第 2 可算公理も “おまじない” としてしか使っていなかったので、今回比較的ちゃんと向き合うことができて良かった。