こんにちは!はっぴーたーんです!
今回は、$\sqrt 2$という実数が存在することを示していきたいと思います!元ネタはこちらの記事 Ohrui_hatena になります〜
それでは、やっていきましょ〜
今回示していくのは次の主張になります!
$\mathbb R$を実数体とする. このとき, 次の条件を満たす元$c \in \mathbb R$が存在する:
(また, この条件を満たす実数は唯一であることから, これを$\sqrt 2$と表す)
巷でよく見かける「$\sqrt 2$は無理数である」の証明では主に「$\sqrt 2$が有理数でない」という議論にのみに焦点が当てられており、肝心の「(そもそも)$\sqrt 2$という実数が存在する」という部分が省略されていることから、ちゃんとした証明を説明していこう、というのが今回の趣旨です〜
ちなみに、元ネタの記事 Ohrui_hatena では、肝心の部分の議論がいつも省略されていることに文句を言っているにもかかわらず、何故か記事内でも肝心の部分をよく知られた事実として証明を省略する、というよく分からない構成になっています…🤔
もし、高校数学の範囲の知識をフルに用いて良ければ「中間値の定理」を事実として用いる(あるいは「中間値の定理」自体を「実数の連続性の公理(後述)」として採用する)ことで証明することが出来ます。(今回は元ネタの記事で証明が省略されている部分を解説することが目的なので、こちらの方法についてはこれ以上触れません。正直、中間値の定理を用いた証明の方が簡単ですが…)
それでは、この主張を証明していきたいのですが、まずは証明の際に用いる実数の定義と(その性質)を思い出しておきたいと思います〜
体$F = (F, +, \cdot)$が次の条件を満たす全順序$\le$を持つとき, 組$(F, +, \cdot, \le)$のことを 順序体 という:
さらに, 次の条件を満たす順序体$F$のことを 実数体 という:
実は、実数体の定義を満たす順序体は同型を除いてただ一つであることが知られているので、それを(1つ固定して)$\mathbb R$と表している、というのが我々が普段利用している実数の正体になります〜
今回は、この「実数体は同型を除いてただ一つであること」や「実数体(の定義を満たす順序体)を構成できること」「順序体は有理数体$\mathbb Q$の構造を自然に部分体として持つこと」「連続性の公理と中間値の定理が同値であること」といった、実数体に関してよく知られた事実の解説は(本題からあまりにも脱線してしまうので)省略します。 詳しく知りたい人は、例えばこちらの資料 hara が参考になると思います!
それでは、$\sqrt 2$の存在の証明の話に戻りたいと思います。今回は、元ネタの記事の方法に倣って$A := \{x \in \mathbb R : x^2 \le 2\}$とおいて$c := \sup A$が$\sqrt 2$の条件を満たすことを見ていきます〜
まず、明らかに$[-1, 1] \subset A \subset [-2, 2]$であることから、この集合は上に有界で空でないので、先ほどの連続性の公理から$c \in \mathbb R$の存在が保証されていることに注意します。また、ここから$1 \le c \le 2$であることも直ちに従います!
なので、あとは$c^2 = 2$となることを確認すればオーケーです😉
そのために、まずは次の主張を確かめていきましょ〜
$c^2 \le 2$である.
$\varepsilon > 0$を任意に取ると, $c - \varepsilon/2$は$A$の上界ではないので, $c-\varepsilon/2 < r$なる$r \in A$が存在する. このとき,
\begin{align} c^2 - \varepsilon \le (c - \varepsilon/2c)^2 \le r^2 \le 2 \end{align}
なので, $\varepsilon > 0$の任意性より$c^2 \le 2$である.
(証明終)
主張1 から、$c$は$A$の最大元であることが分かります〜
あとは、これを利用して反対側の不等号も確かめちゃいます👍
$2 \le c^2$である.
$1 > \varepsilon > 0$を任意に取る. このとき, $c + \dfrac{\varepsilon}{2c+1}\ (> c)$は$A$の元ではないので
\begin{align} 2 < \left(c + \frac{\varepsilon}{2 c + 1}\right)^2 &= c^2 + \frac{2 c}{2 c + 1}\varepsilon + \frac{\varepsilon}{(2c + 1)^2} \varepsilon \\ &\le c^2 + \frac{2c + 1}{2c + 1}\varepsilon \\ &= c^2 + \varepsilon \end{align}
となる. よって, $1 > \varepsilon > 0$の任意性より$2 \le a^2$である.
(証明終)
以上から、$c^2 = 2$であることが分かりました〜🙌
いかがでしたか?それでは、平和で楽しいMathlogライフを〜
最近、とある件で note を確認したのですが、どうやら Ohrui_hatena の投稿者は note にも同じ題材の記事 Ohrui_note を投稿されていたようです〜
Ohrui_note の証明では、この記事と同じように定めた$c \in \mathbb R$について、$c^2 = 2$となることを確かめる為に、わざわざ(背理法で)$c < y' < 2$なる$y' \in \mathbb R$に対して中間値の定理を使って$y^2 = y'$となる$y \in \mathbb R$を取る、という議論が書かれていますね。
確かに、$c^2 = 2$となることは平方根の存在とは別の問題なので中間値の定理を使って示して良いんですけど、それならはじめから中間値の定理を使って$\sqrt 2$の存在を示せば良いんじゃないですかね?
報告は以上です!それでは〜