ガンマ関数の相反公式
オイラーは様々な積分について研究し、今ではガンマ関数、ベータ関数と呼ばれているものに関する公式を多く発見しました。そのうちの一つが以下の公式です。
オイラーが導出したのは以下の等式です。この式は上で述べた式にすぐ(大嘘)変形できます。
導出
の因数分解
この等式をオイラーは部分分数展開を用いて導きました。
まずを因数分解します。の解は
とおき
と表されます。このうち、複素共役のものをまとめると実数の範囲で因数分解ができます。
よって は以下のように因数分解できます。
部分分数展開
ここで の形に分解したとします。ここでは多項式です。実数、多項式を用いて以下のような部分分数展開を考えます。
このときはどのように求まるでしょうか。まず両辺にをかけます。
ここでを代入します。
未知変数がの2つに対し式が一つなので解けないように思えますが、この等式は複素数の等式であり実部と虚部に関する等式からが求まります。
複素数の内積、外積
この式を解く前に便利な表記として複素数の内積、外積、そしてそれを用いた等式を用意します。ここで複素数 の複素共役をとします。
,とします。
すると以下のような公式が成り立ちます。
部分分数分解の続き
これを用いて先ほどの式を解きます。
とします。先程の公式を用いると以下のようにを求めることができます。
ここでは以下のように求まります。
また以下の式が成り立ちます。
これらを用いてを以下のように求めることができます。
また という関係が成り立つことから を消去することができます。
よっての部分分数展開は以下のように求まります。
不定積分の導出
これからこの積分を考えます。まず分子を以下のように分解します。
この2つの項はそれぞれ以下のように積分できます。
ここで積分定数を変えてとします。すると以下のように変形できます。
ここで , とおきます。これを用いるとは以下のように表せます。
定積分の導出
これの との極限値を求め、定積分 を求めます。
まずのとき,
となり、の寄与が無視できます。このため以下の式が成り立ちます。
またのとき となります。これはまたはに対応します。しかし、定積分ををまで実行するとき、がどう変化するかを考えると、まずからまで増加し、からまで増加します。これに対応する角度の変化はからを通り、まで増加するという経路です。よってのときとなります。
また のときともにとなります。
よって
ここで とし、 を以下のように定義します。
を用いると以下が成り立ちます。
は以下のように表せます。
これからを求めます。
,の両辺にを掛けることで、を以下のように表せます。
またをについて微分することで以下が示せます。
nが偶数のとき、nが奇数のときを代入することでするとは以下のように求まります。
これらを
補題5
に代入すると、が偶数、奇数のどちらの場合も の係数はになり、値はとなります。
よって以下の式が示されました。
ちなみに
は部分分数展開により以下の形の項に分解できることが示されました。
よってのとき
は以下の形の項に分解されます。
実はこの式はの母関数です。どういうことかというと以下が成り立ちます。
この等式は以下のように示せます。
を有理化すると
幾何級数の展開より
実部と虚部の比較より
よって
補題2
より以下が成り立ちます。
一方で以下も成り立つので
両者の係数を比較することで
に関する公式を得ることができます。ただしこれはそれほど面白くはありません。
は円の等分を表します。 は が の倍数でないとき、を並べ替えたものになり、それらのの和はになります。しかし が の倍数のとき、はすべてまたはになるので、の和はまたはとなります。このようなことを表す公式が導かれます。