前の記事からの続き
前記事ではまず以下を示した。
$$ 自然数m,nについて m|nならばU_m|U_n $$
$$
U_{n+1}-PU_{n}+QU_{n-1}=0
$$
を満たす数列U_nについて、この数列をk個毎に取った数列は
$$
U_{n+k}-V_kU_{n}+Q^{k}U_{n-k}=0
$$
を満たす。
続いて、定理1からさらに推し進めた次の結果を示す。
$$ 自然数m,nについて、 m(|U_m|)|n ならば U_m^2|U_{n} (|U_m|はU_mの絶対値を表す) $$
こちらも主に補題2を利用していくが、計算に際していくらかのリュカ数間の関係式を用いるため、それらを補題として示す。
$$V_n=PU_n-2QU_{n-1} (n\geq1)$$
$$
U_n,U_{n-1}はいずれも同じ漸化式をみたすのでその一次結合である右辺も同じ漸化式を満たす。
$$
$$
また左辺のV_nも同じ漸化式を満たすので、n=1,2で両辺が一致することを確認すればよい。
$$
$$
PU_1-2QU_0=P\cdot1-2Q\cdot0=P=V_1 よりn=1で成り立つ。
$$
$$
PU_2-2QU_1=P\cdot P-2Q\cdot1=P^2-2Q
$$
$$
V_2=PV_1-QV_1=P \cdot P-Q\cdot2=P^2-2Q よりn=2で成り立つ
$$
$$
以上からV_n=PU_n-2QU_{n-1}がn\geq1で成り立つ
$$
$$ U_{m}^2-U_{m+1}U_{m-1}=Q^{m-1} (m\geq1) $$
$$
漸化式U_{m+1}-PU_m+QU_{m-1}=0の両辺にU_{m-1}をかけると
$$
$$
U_{m+1}U_{m-1}-PU_mU_{m-1}+QU_{m-1}^2=0
$$
$$
-PU_{m-1}=-U_m+QU_{m-2}より
$$
$$
U_{m+1}U_{m-1}+U_{m}(-U_m+QU_{m-2})+QU_{m-1}^2=0
$$
$$
U_{m+1}U_{m-1}-U_{m}^2-QU_mU_{m-2}+QU_{m-1}^2=0
$$
$$
U_{m}^2-U_{m+1}U_{m-1}=Q(U_{m}^2-U_mU_{m-2})
$$
$$
これよりU_{m}^2-U_{m+1}U_{m-1}が公比Qの等比数列とわかり
$$
$$
U_{1}^2-U_{2}U_{0}=1よりU_{m}^2-U_{m+1}U_{m-1}=Q^{m-1}
$$
準備が済んだので本題の証明にはいる。
$$
補題2からU_m^2|U_{m(|U_m|)}を言えばよい。
$$
$$
以下、kについての数列U_{mk}について考える。
$$$$
定理1よりこの数列の各項はU_mの倍数であることが分かっているので
$$$$
あらかじめU_{mk}の各項をU_mで除した数列U'_kを考える。
$$
$$
補題2から以下の漸化式と初期値で表せる。
$$
$$
U'_{k+1}-V_mU'_k+Q^{m}U'_{k-1}=0 U'_0=0,U'_1=1
$$
$$
この数列がいつU_mで割れるかを知りたいので、法U_mでの剰余で考える
$$
$$
V_mとQ^mの法U_mでの値については補題4,5から
$$
$$
V_m=PU_m-2QU_{m-1}\equiv -2QU_{m-1}
$$
$$
Q^m=Q^{2+m-2}=Q^2(U_{m-1}^2-U_{m-2}U_{m})\equiv Q^2U_{m-1}^2
$$
$$
よってU'_{k+1}-V_mU'_k+Q^{m}U'_{k-1}=0と併せて
$$
$$
U'_{k+1}+2QU_{m-1}U'_k+Q^2U_{m-1}^2U'_{k-1} \equiv0
$$
$$
U'_{k+1}+QU_{m-1}U'_k\equiv -QU_{m-1}(U'_{k}+QU_{m-1}U'_{k-1})\equiv( -QU_{m-1})^{k} (k\geq1)
$$
$$
よりU'_{k}+QU_{m-1}U'_{k-1}\equiv( -QU_{m-1})^{k-1} (k\geq2)
$$
$$
U'_{k}+QU_{m-1}U'_{k-1}\equiv( -QU_{m-1})^{k-1} $$
$$
-QU_{m-1}U'_{k-1}-(QU_{m-1})^2U'_{k-2
} \equiv ( -QU_{m-1})^{k-2}\cdot( -QU_{m-1})
$$
$$
(-QU_{m-1})^2U'_{k-2
}-(QU_{m-1})^3U'_{k-3} \equiv ( -QU_{m-1})^{k-3}\cdot( -QU_{m-1})^2
$$
$$
\cdots
$$
$$
(-QU_{m-1})^{k-2}U'_{2}-(-QU_{m-1})^{k-1}U'_{1} \equiv ( -QU_{m-1})\cdot( -QU_{m-1})^{k-2}
$$
の辺々をすべて足し上げると
$$
U'_{k}-(-QU_{m-1})^{k-1}U'_{1} \equiv (k-1)( -QU_{m-1})^{k-1}
$$
$$
U'_{k} \equiv k( -QU_{m-1})^{k-1}
$$
$$
これよりk=|U_m|とすれば
$$
$$
U'_{|U_m|} \equiv |U_m|( -QU_{m-1})^{|U_m|-1} \equiv0
$$
$$
U_m|U'_{|U_m|} はつまりU_m^2|U_{m(|U_m|)}であるので定理3が示された。
$$
これはフィボナッチ数で書き下すと次の通りとなる
自然数m,nについて、
$$
mF_m|n ならば F_m^2|F_{n}
$$
これはnの倍数はn個毎にn^2で割り切れるという整数の性質の一般化。
なお、定理1も定理3も逆が成り立つとは限らない。
P,Qが互いに素でない場合はU_mとU_(m-1)が互いに素でなくなるので
定理3の証明でいえばQU_(m-1)が法U_mで冪零で|U_m|番より早く潰れることはある。
フィボナッチ数の場合はP=1,Q=-1で互いに素なのでm≠2なら成り立ちそう?