まさかこの小ネタ続けるとは思いませんでしたがやっていきましょう。今回は常微分方程式です。
とにかく超微分の小ネタをこすり続ける...それが私の運命なのです。
ある関数$f(x) \not\equiv 0$は二階常微分方程式を満たします。
$$P(x)f''(x)+Q(x)f'(x)+R(x)f(x) = 0$$
ここで、$P(x),\: Q(x),\: R(x)$は多項式で、$R(x)\not\equiv 0,\: P(x)=1,x,x^2$とします。
また、$P(x),\:Q(x),\:R(x)$は3つして共通の因数を持たないとします。
もう超微分と二階常微分方程式をみてしまったら、人はリッカチしたくなるのです。一旦$f(x)$で割ります。
$$P(x)\dfrac{f''(x)}{f(x)}+Q(x)\dfrac{f'(x)}{f(x)}+R(x)=0$$
$w(x) = \dfrac{f'(x)}{f(x)}$と置くと、
$w'(x) = \dfrac{f''(x)f(x)-f'(x)^2}{f(x)^2} = \dfrac{f''(x)}{f(x)}-w(x)^2$となるので、
$$P(x)w'(x)+P(x)w(x)^2+Q(x)w(x)+R(x)=0$$
という二次の項をもつ一階常微分方程式になります。これをリッカチ方程式といいます。
ここから本題。
$F(x) = \left(f\left(\dfrac{1}{x}\right)\right)^{`} = x \cdot\dfrac{\text{d}}{\text{d}x}\ln\left(f\left(\dfrac1x\right)\right) = -\dfrac{f'\left(\dfrac1x\right)}{xf\left(\dfrac1x\right)}$とおくと、
$F(x)$が満たすべき微分方程式は、
$p(x) = P(1/x),\:q(x) = \dfrac{Q(1/x)}{x},r(x)=\dfrac{R(1/x)}{x^2}, x\neq0$で、
$$p(x)\left(xF'(x) +F(x)^2+F(x)\right)-q(x)F(x)+r(x)=0$$
となります。$w(x) = -F(1/x)/x$なので、それで整理して変数変換すれば可能です。
$\displaystyle F(x) = \sum_{k\geq 0}\dfrac{c_k}{x^k},\: F'(x) =-\sum_{k\geq 2}\dfrac{(k-1)c_{k-1}}{x^k}$なので、
$\displaystyle P(x) = \sum_{k\geq 0} p_kx^k,\: Q(x) = \sum_{k\geq 0} q_kx^k,\: R(x) = \sum_{k\geq 0} r_kx^k$とすると、
$$\sum_{k\ge0}\frac1{x^k}\sum_{i=0}^{k}p_i\left[-(k-i-1)c_{k-i}+\sum_{j=0}^{k-i}c_jc_{k-i-j}\right]-\sum_{k\ge1}\frac1{x^k}\sum_{i=0}^{k-1}q_i\,c_{k-1-i}+\sum_{k\ge2}\frac{r_{k-2}}{x^k}=0$$
$P(x)=1,x,x^2$を仮定しているため、
この状況に対して、$3$つの場合分けをすることが出来ます。
また、$f(x)$の$x=0$における多重度を$m$とします。
$f(x) = x^m g(x)$とすると、
$$x^2P(x)g''(x)+(2mxP(x)+x^2Q(x))g'(x)+\left(m(m-1)P(x)+mxQ(x)+x^2R(x)\right)g(x)=0$$
この方程式は場合1 か 2の場合に帰着できるので、$m$は整数でなくても構いません。(Frobenius解)
この場合、決定方程式は$k=0$の場合の$p_0c_0(c_0+1)=0$となり、$c_0=0,-1$となります。
それぞれの特殊解を$u(x),v(x)$とすると、$f(x)= su(x)+tv(x),\: s,t\in \mathbb{C}$
と表せます。
$u(0)=1,\:u'(0)=0,\: v(0)=0,v'(0)=1$という基底を取ります。
$f(x) = v(x)$としても零点に影響はありません。
この場合$c_0=-1$です。つまり$m=1$です。
$k=1$のとき$2c_1-q_0=0$なので$c_1 = \dfrac{q_0}{2}$です。
$k\geq 2$で
$$c_k=\dfrac{1}{k+1}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=0}^{k-2}q_i\,c_{k-1-i}+q_{k-1}+r_{k-2}\right)$$
です。
$t\leftarrow t/s,\: s\leftarrow 1$としても零点の議論において一般性は失われません。$f(x)=u(x)+tv(x)$と置きなおします。
すると$f(0)=1$なので$c_0=0,\: c_1 = -\dfrac{f'(0)}{f(0)}=-t$です。
$$c_k=\dfrac{1}{k-1}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=0}^{k-2}q_i\,c_{k-1-i}+r_{k-2}\right)$$
この場合、$k=0$は恒等$0$で、$k=1$では、
$c_0(-c_0-1+q_0)=0$というのが決定方程式となります。
つまり、$c_0 = 0,\: q_0-1$です。
$c_0=0$のときの特殊解を$u(x)$とすると、$f(x) = u(x)$としたときの$c_k$は、
$$\,c_k=\dfrac{1}{k-1+q_0}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}\right)$$
$c_0=q_0-1$のときの特殊解を$v(x)$とすると、$f(x) = v(x)$としたときの$c_k$は、
$$\,c_k=\dfrac{1}{k+1-q_0}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+(1-q_0)\,q_k+r_{k-1}\right)$$
$f(x) = su(x)+tv(x)$とすると、$s$と$t$が両方非零である場合、$f(x)$は解析的でなくなります。
$c_1 = \dfrac{r_0}{q_0}$であり、前述のように
$$\,c_k=\dfrac{1}{k-1+q_0}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}\right)$$
となります。
原点における多重度$m$が非整数なので正則ではありませんが、$\dfrac{f(x)}{x^m}$は解析的です。$(m=1-q_0)$
すると$\tilde c_1=\dfrac{r_0+mq_1}{m+1}$であり、
$$\,\tilde c_k=\dfrac{1}{k+m}\left[\sum_{j=1}^{k-1}\tilde c_j\tilde c_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,\tilde c_{k-i}+m\,q_k+r_{k-1}\right]$$
$m=1-q_0$は$2$以上の整数を取ります。
$k+m>0$が常に成り立つので、$v(x)$は解析的です。
勿論、原点における多重度は$m$です。
$c_0=-m,\: c_1= \dfrac{r_0+mq_1}{m+1}$
$$\, c_k=\dfrac{1}{k+m}\left[\sum_{j=1}^{k-1} c_j c_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\, c_{k-i}+m\,q_k+r_{k-1}\right]$$
で求められることも変わりません。
$k=m$のとき、$u(x)$の$c_m$が不定(共鳴)になります。そこを議論しましょう。
まず$u(x)$が解析的だとすると、
$$0\cdot c_k = \sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}$$
なので、右辺が$0$でなければなりません。
右辺が$0$でなければ$u(x)$には対数項が存在することになります。
逆に$0$であれば$c_m$は自由に決定できます。$k\neq m$では
$$\,c_k=\dfrac{1}{k-m}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}\right)$$
で決定できます。$u_m=0$で固定したものを$u(x)$として採用します。($u(x)$の$m$次の係数)
また一般解を$f(x) = u(x) + tv(x)$とします。
$F_u(x)$を$f(x) =u(x)$の時の$F(x)$、$\left(F_u(x) = \displaystyle\sum_{k\geq 0}\dfrac{{}^{u}c_k}{x^k}\right)$
$F_v(x)$を$f(x) =v(x)$の時の$F(x)$とすると、
和の超微分(リンク先の超連鎖律の例)
より、
$$F(x)= \dfrac{u(1/x)}{u(1/x)+tv(1/x)}F_u(x)+ \dfrac{tv(1/x)}{u(1/x)+tv(1/x)}F_v(x)$$
$c_0=0,\: c_k = {}^uc_k\: (1\leq k < m),\: c_m ={}^uc_m-mt$
その後は
$$\,c_k=\dfrac{1}{k-m}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}\right)$$
で順次決定できます。
$f(x) = x^m g(x)$となる$g(x)$を考えれば$q_0\in\mathbb{Z}_{\leq -1}$の場合に帰着できます。$u(x),v(x)$の役割が替わることに注意してください。
$c_0=0$のみ、つまり重解です。よって$u(x)$のみ考えます。もう一個の線形独立な解は対数項を含むため今回は考えません。
$c_1=r_0$で、
$$\,c_k=\dfrac{1}{k}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}\right)$$
となります。
$q_0$と$r_0$が同時に$0$となることを禁じているので$r_0\neq0$です。
$u(x)$が存在する条件として$0\cdot c_1 = r_0$が破れないために$r_0=0$である必要がありますが、それが許されないので解析的な解は$v(x)$のみに限られます。
$c_0=-1$、$c_1=\dfrac{q_1+r_0}2$、
$$\,c_k=\dfrac{1}{k+1}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+q_k+r_{k-1}\right)$$
です。
$f(x) = x g(x)$となる$g(x)$を考えれば$q_0 = 0$の場合に帰着できます。
$u(x),v(x)$の役割が替わることに注意してください。
基本的な式はこれです。
$$-(k-3)\,c_{k-2}+\sum_{j=0}^{k-2}c_jc_{k-2-j}-\sum_{i=0}^{k-1}q_i\,c_{k-1-i}+r_{k-2}=0$$
$c_{j}=0\: (j<0)$です。
$k=0$は恒等的に$0$
$k=1$は$-q_0\,c_0=0$
$k=2$は$c_0^2+(1-q_1)\,c_0+r_0-q_0\,c_1=0$
となります。
$k=1$ から、$q_0c_0=0$ です。
$r\neq 0$です。
$c_0^2+(1-q_1)\,c_0+r_0=0$より、$c_0$は非零の$2$解
$c_0 = -m,-m'$を持ちます。
根$m$($c_0=-m$)について、$k\ge1$ で
$$\,c_k=\dfrac{1}{k+m-m'}\left(\sum_{j=1}^{k-1}c_jc_{k-j}-\sum_{i=2}^{k}q_i\,c_{k+1-i}-q_{k+1}\,c_0+r_k\right)$$
です。
$f(x)=x^mg(x)$($m$は根の一つ)とすると、$g(x)$ は
$$x\,g''(x)+\left(Q_1(y)+2m\right)\,g'(x)+R_1(x)\,g(x)=0$$
$$Q_1(x):=\frac{Q(x)}{x},\quad R_1(x):=\frac{R(x)+m(m-1)+mQ_1}{x}$$
を満たし、場合2に帰着できます。係数は
$$q_0'=q_1+2m=1+m-m',\quad q_i'=q_{i+1}\ (i\ge1),\quad r_i'=r_{i+1}+m\,q_{i+2}\ (i\ge0)$$
です。また $F_f(x)$ の係数は $c_0=-m$、$c_k=\tilde c_k$($k\ge1$、$g(x)$における$F_g(x)$の係数)です。
...つまり解析性等は場合2に帰着されます。それだけの説明です。
一応場合分けを書いておきますね。$\Delta = m-m'$とします。
各根の解$u(x),v(x)$を含みます。一次結合は非整数冪を含むため、使えません。場合2の$q_0\notin\mathbb Z$と同じです。
$q_0=1$と同じで、1つしかなく、もう一方の解は対数項を含みます。
大きい根$m_L$の解$v(x)$は常に存在します。小さい根$m_S'$の解$u(x)$は、共鳴の式
$$\sum_{j=1}^{\Delta_0-1}c_jc_{\Delta_0-j}-\sum_{i=2}^{\Delta_0}q_i\,c_{\Delta_0+1-i}-q_{\Delta_0+1}\,c_0+r_{\Delta_0}=0\qquad(c_0=-m_2)$$
のときだけ存在します。(場合2の$q_0=1-\Delta_0\le0$)
$k\ge1$で
$$c_k=\dfrac{1}{q_0}\left(-(k-2)\,c_{k-1}+\sum_{j=1}^{k-2}c_jc_{k-1-j}-\sum_{i=1}^{k-1}q_i\,c_{k-i}+r_{k-1}\right)$$
で、$c_k$ は全て一意に決まります。$c_1=\dfrac{r_0}{q_0}$ です。
これによって定められる関数$f(x)$は一般に発散します。
もし特別な関係を満たして収束するならば、$c_0=0$であるから$F(x)$の定数項が$0$で、
$$f(x) = \left(\:\cancel{^{}}\!\!\!\:\:\:\llap{\int}_0^x \text{r}t^{F\left(\dfrac1t\right)}\right)^{-1}$$
とおけば、$f(0)=1$となる関数$f(x)$が構成できます。これは明らかに整関数です。収束する例があるかは知りませんけどね。
限定された条件下ではありますが、二階常微分方程式を満たす$f(x)$について、直接零点の逆数和が求められることを、超微分の係数決定を用いて具体的に表せたことが分かります。
間違い等あればコメントでの指摘、よろしくお願いします。