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【スピン幾何】Majorana形式

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スピノルの基本事項

 spinor空間には複素スカラー積が2つあります(他にもあるかもしれないが有名なものは2つ)。それがMajorana形式とDirac形式です。ここではMajorana形式を説明します。

Majorana形式

$\Delta_n:\mathbb{C}l_{(t,s)}\to End(\Delta)$をClifford代数の既約表現とします。$\mu,\nu=\pm1$に対して、次を満たす非退化双線形形式$\Delta\times\Delta\to\mathbb{C}$Majorana形式といいます。

  1. $(X\cdot\psi,\phi)=\mu(\psi,X\cdot\phi),\ \psi,\phi\in\Delta,X\in\mathbb{E}^{(t,s)}$
  2. $(\psi,\phi)=\nu(\phi,\psi),\ \psi,\phi\in\Delta$

 Majorana形式は任意の$n=s+t$に対して存在しますが、$\mu,\nu$は次元に依存します。$\mu,\nu$は次の表のようになります。

$n$ mod 801234567
$\mu$$\pm1$$1$$\pm1$$-1$$\pm1$$1$$\pm1$$-1$
$\nu$$1$$1$$\pm1$$-1$$-1$$-1$$\mp1$$1$

 Majorana形式は$Spin(t,s)$不変となります。実際$g=X_1\cdots X_{2p}Y_1\cdots Y_{2q}$に対して、
$$ (g\psi,g\phi)=\mu^{2(p+q)}\eta(X_1,X_1)\cdots\eta(X_{2p},X_{2p})\eta(Y_1,Y_1)\cdots\eta(Y_{2q},Y_{2q})(\psi,\phi)=(\psi,\phi) $$
となります。

 複素行列$C$により、Majorana形式を
$$ (\psi,\phi)={}^t\psi C\phi $$
と表すと、上の1,2の条件は
$$ {}^t\gamma_a C=\mu C\gamma_a,\ {}^tC=\nu C $$
と表されます。$C$はcharge conjugate matrixとも呼ばれます(文脈依存のようです)。

 Majorana形式が非退化なのでMajorana形式を用いてスピノルの双対を考えることができます。

Majorana共役

$\psi\in\Delta$に対して、Majorana共役$\tilde\psi=(\psi,\cdot)\in\Delta^*$と定義します。

 Majorana共役は行列表示で書けば定義より、
$$ \tilde\psi={}^t\psi C $$
となります。

 文献によってはMajorana共役を表すとき$\bar\psi$を使うこともあるらしいので注意が必要です。Majorana共役はニュートリノを扱うときにMajorana mass termで登場します。

4次元Lorentzの場合

 $t=1,s=3$の4次元Lorentzのとき、
$$ C=i\Gamma_0\Gamma_2=\begin{pmatrix}-i\sigma_2 & 0 \\ 0 & i\sigma_2\end{pmatrix} $$
となり、$\mu=\nu=-1$となります。

投稿日:2023714
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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