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現代数学解説
文献あり

両側Bailey対

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ここでは, 数列は整数全体で定義されているとする.

両側Bailey対

(αn,βn)aに関する両側Bailey対であるとは, 任意の整数nに対して,
βn=j=nαj(q;q)nj(aq;q)n+j
を満たすことをいう.

両側Bailey対において, αn=0,n<0の場合は通常の Bailey対 になるので, 両側Bailey対は通常のBailey対の一般化である. 以下は, Baileyの補題の両側Bailey対への一般化である.

Berkovich-McCoy-Schilling(1996)

(αn,βn)aに関する両側Bailey対とするとき,
αn:=(b,c;q)n(aq/b,aq/c;q)n(aqbc)nαnβn:=k=n(b,c;q)k(aq/bc;q)nk(aq/b,aq/c;q)n(q;q)nk(aqbc)kβk
とするとき, (αn,βn)aに関する両側Bailey対である.

証明は通常のBaileyの補題の場合と全く同様なので省略する. 

WP-Bailey対 に対しても次のように両側に一般化される.

両側WP-Bailey対

(αn,βn)(a,w)に関する両側Bailey対であるとは, 任意の整数nに対して,
βn=j=n(w/a;q)nj(w;q)n+jαj(q;q)nj(aq;q)n+j

WP-Baileyの補題についても全く同様に次のように拡張される.

Jouhet(2010)

v=awq/bcとする. (αn,βn)(a,w)に関するWP-Bailey対とする.
αn:=(b,c;q)n(aq/b,aq/c;q)n(aqbc)nαnβn:=(vb/a,vc/a;q)n(aq/b,aq/c;q)nj=n(b,c;q)j(vb/a,vc/a;q)j1wq2j1w(v/w;q)nj(v;q)n+j(q;q)nj(wq;q)n+j(vw)jβj
とするとき, (αn,βn)(a,v)に関するWP-Bailey対である.

参考文献

[1]
Alexander Berkovich, Barry M. McCoy, Anne Schilling, N=2 supersymmetry and Bailey pairs, Phys. A, 1996, 33-62
[2]
F. Jouhet, Shifted versions of the Bailey and well-poised Bailey lemmas, Ramanujan J., 2010, 315-333
投稿日:4月25日
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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