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高校数学解説
文献あり

ラグランジュ補間

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はじめに

ここではガウスの著作gaussよりラグランジュの補間法の導出を紹介します。組合せ論と母関数prevの内容を一部再掲します。

べき乗和

文字のk乗の和をk次のべき乗和といいpkと表す。
pk=jajk

p1=a + b + c + d + ..p2=a2 + b2 + c2 + d2 + ..p3=a3 + b3 + c3 + d3 + ....

完全斉次式

重複を許したk個の文字からなる項の和をk次の完全斉次式と呼びhkと表す。
hk=j1j2..jkaj1aj2 ..ajk

h1=a + b + c + d + ..h2=a2 + ab + ac + ad + ae + .. + b2 + bc + bd + be + .. + c2 + cd + ce + .. + d2 + de + .. + e2 + ..h3=a3 + a2b + a2c + a2d + .. + ab2 + abc + abd + .. + ac2 + acd + .. + ad2 + .. + b3 + b2c + b2d + .. + bc2 + bcd + .. + bd2 + ..c3 + c2d + .. + cd2 + .. + d3 + ..

べき乗和の母関数

P:=az1az+bz1bz+cz1cz+ ..=p1z+p2z2+p3z3+ ..

完全斉次式の母関数

V:=1(1az)(1bz)(1cz) ..=(1+az+a2z2+ ..)(1+bz+b2z2+ ..)(1+cz+c2z2+ ..) ..=1+h1z+h2z2+h3z3+ ..

補題

まず以下のような式を考えます。
Sn=an(ab)(ac)(ad)..+bn(ba)(bc)(bd)..+cn(ca)(cb)(cd)..+ ..
文字a,b,c,..は互いに異なるm個の文字とします。ここで
α=1(ab)(ac)(ad)..β=1(ba)(bc)(bd)..γ=1(ca)(cb)(cd)....
とおくとSn=αan+βbn+γcn+ ..となります。ここで公式1のべき乗和の母関数に似た以下の式を考えます。
P=α1ax+β1bx+γ1cx+ ..
幾何級数の展開より
P=α(1+ax+a2x2+ ..)+β(1+bx+b2x2+ ..)+γ(1+cx+c2x2+ ..)+ ..=S0+S1x+S2x2+ ..
ここで
Q=(1ax)(1bx)(1cx)..
とおくと
PQ=α(1bx)(1cx)(1dx)..+β(1ax)(1cx)(1dx)..+γ(1ax)(1bx)(1dx)..
これにx=1/aを代入すると
PQ/.(x1/a)=α(1b/a)(1c/a)(1d/a)..=1/am1
f/.(ab) という記号はfabを代入したものという意味のMathematicaの記号です。皆さんもお使いください。同様に
PQ/.(x1/b)=β(1a/b)(1c/b)(1d/b) ..=1/bm1PQ/.(x1/c)=γ(1a/c)(1b/c)(1d/c) ..=1/cm1..
ここで文字a,b,c,..の総数はm
PQ=α(1bx)(1cx)(1dx)..+β(1ax)(1cx)(1dx)..+γ(1ax)(1bx)(1ex)..
なのでdeg(PQ)m1です。ここでf(x)=PQxm1を考えるとdeg(f)m1かつfm個の異なる文字に対して0となるので恒等的に0しかありえず、PQ=xm1となります。
P=xm1/Q=xm1(1ax)(1bx)(1cx)..
は完全斉次式の母関数にxm1をかけたものなので
P=xm1+h1xm+h2xm+1+ ..
また
P=S0+S1x+S2x2+ ..
より
S0=S1=S2= ..=Sm2=0Sm1=1Sm=h1=a+b+c+ ..Sm+1=h2=a2+ab+b2+ac+bc+c2+ ....
となります。

2文字の場合

S0=1ab+1ba=0S1=aab+bba=1S2=a2ab+b2ba=a2b2ab=a+bS3=a3ab+b3ba=a3b3ab=a2+ab+b2..

3文字の場合

S0=1(ab)(ac)+1(ba)(bc)+1(ca)(cb)=0S1=a(ab)(ac)+b(ba)(bc)+c(ca)(cb)=0S2=a2(ab)(ac)+b2(ba)(bc)+c2(ca)(cb)=1S3=a3(ab)(ac)+b3(ba)(bc)+c3(ca)(cb)=a+b+cS4=a4(ab)(ac)+b4(ba)(bc)+c4(ca)(cb)=a2+b2+c2+ab+bc+ca..

ラグランジュ補間

さきほどのα,β,γ,..の定義はresetしてください。m1次の多項式
f(x)=α+βx+γx2+ .. +ηxm1
に対し、m個の異なる文字a,b,c ..を代入した以下の式を考えます。
f(a)=α+βa+γa2+ ..+ηam1f(b)=α+βb+γb2+ ..+ηbm1f(c)=α+βc+γc2+ ..+ηcm1..
ここでm個の異なる文字a,b,c,..xを加え、以下の式を考えます。
W=f(a)(ab)(ac)(ad) .. (ax)+f(b)(ba)(bc)(bd) .. (bx)+f(c)(ca)(cb)(cd) .. (cx)+..+f(x)(xa)(xb)(xc) ..
さきほどの補題の文字がm+1個の場合より、S0=S1=..=Sm1=0、また deg(f)=m1 なのでW=0よって
f(x)=(xb)(xc)(xd) ..(ab)(ac)(ad) ..f(a)+(xa)(xc)(xd) ..(ba)(bc)(bd) ..f(b)+(xa)(xb)(xd) ..(ca)(cb)(cd) ..f(c)+..
これがラグランジュ補間の式です。この式はxa,b,c, ..とは異なるという条件で導出しましたが、式変形の途中でその条件が緩くなり、x=a,x=b,x=c,..のときも成り立ちます。

2点を通る直線の方程式

f(x)=xbabf(a)+xabaf(b)=f(a)+f(a)f(b)ab(xa)=f(b)+f(a)f(b)ab(xb)

3点を通る放物線の方程式

f(x)=(xb)(xc)(ab)(ac)f(a)+(xa)(xc)(ba)(bc)f(b)+(xa)(xb)(ca)(cb)f(c)=(xb)(xa+ac)(ab)(ac)f(a)+(xa)(xb+bc)(ba)(bc)f(b)+(xa)(xb)(ca)(cb)f(c)=xbabf(a)+xabaf(b)+(f(a)(ab)(ac)+f(b)(ba)(bc)+f(c)(ca)(cb))(xa)(xb)=f(a)+f(a)f(b)ab(xa)+1ac(f(a)f(b)abf(b)f(c)bc)(xa)(xb)

新しい演算・(名付けて)間分

先程の例の式はテイラー展開に似ています。ここで2点の線を結んだときの線の傾きを間分とよぶことにし、以下のような記号で表します。
f(a,b)=f(a)f(b)ab
二階間分を以下のように定義します。
f(a,b,c)=f(a,b)f(b,c)ac
二階間分を展開すると
f(a,b,c)=f(a,b)f(b,c)ac=1ac(f(a)f(b)ab+f(b)f(c)bc)=f(a)(ab)(ac)+f(b)(ba)(bc)+f(c)(ca)(cb)
三階間分を展開すると
f(a,b,c,d)=f(a,b,c)f(b,c,d)ad=1ad(f(a)(ab)(ac)+f(b)(ba)(bc)+f(c)(ca)(cb))1ad(f(b)(bc)(bd)+f(c)(cb)(cd)+f(d)(db)(dc))=f(a)(ab)(ac)(ad)+f(d)(da)(db)(dc)+f(b)(ad)(bc)(1ba1bd)+f(c)(ad)(cb)(1ca1cd)=f(a)(ab)(ac)(ad)+f(b)(ba)(bc)(bd)+f(c)(ca)(cb)(cd)+f(d)(da)(db)(dc)
一般に以下が成り立ちます。
f(a,b,c,..)=f(a)(ab)(ac)(ad)..+f(b)(ba)(bc)(bd)..+f(c)(ca)(cb)(cd)..+ ..

数学的帰納法を使います。文字がn個の表現を既知として、n+1個のときの表現が同じ形になることを示します。
f(a,b,..,z)=f(a,b,..,x,y)f(b,c,..,y,z)az=1az(f(a)(ab)(ac)..(ay)+f(b)(ba)(bc)..(by)+ ..f(y)(ya)(yb)..(yx))1az(f(b)(bc)(bd)..(bz)+f(c)(cb)(cd)..(cz)+ ..f(z)(zb)(zc)..(zy))=f(a)(ab)(ac)..(az)+f(z)(za)(zb)..(zy)+1azf(b)(bc)(bd)..(by)(1ba1bz)+1azf(c)(cb)(cd)..(cy)(1ca1cz)+ ..=f(a)(ab)(ac)..(az)+f(b)(ba)(bc)..(bz)+ ..f(z)(za)(zc)..(zy)

補題の再解釈

はじめの補題はf(x)=xnに対する間分の性質だったことが分かります。ここでf(x)=xnのときの間分f(a,b,..)をコンパクトに(xn)a,b,..と書くことにすると、補題は以下のようになります。
(1)a,b=0(x)a,b=1(x2)a,b=a+b(x3)a,b=a2+ab+b2
(1)a,b,c=0(x)a,b,c=0(x2)a,b,c=1(x3)a,b,c=a+b+c(x4)a,b,c=a2+ab+b2+ac+bc+c2
微分との対応を考えると、fa,b,fa,b,c,..f,f,..と対応させることができます。ただし、定数になるとき1になるために正確にはf/1!,f/2!,..と対応しています。
(1)=0(x)=1(x2)=2x(x3)=3x2
(1)/2=0(x)/2=0(x2)/2=1(x3)/2=3x(x4)/2=6x2
こうすると間分の結果をa=b=c=..=xとすれば、微分の結果になります。より正確にはa=x,b=x+dx,c=x+2dx,..としdx0としたものと解釈できます。

間分と微分との対応

a,b,c,..の代わりにx,x+dx,x+2dx,..を入れます。
f(x,x+dx)=f(x)f(x+dx)dx=f(x)f(x,x+dx,x+2dx)=12dx(f(x)f(x+dx)dxf(x+dx)f(x+2dx)dx)=f(x)2..
fa,b,fa,b,c,fa,b,c,d..f,f/2!,f/3!,..に対応することが分かります。

ラグランジュ補間の別表現

さきほどの記号を使うと、(a,f(a)),(b,f(b)),(c,f(c)..)を通る多項式は以下のように表せます。またさきほどの考察からこれがテイラー展開の類似物であることが分かります。
f(x)=f(a)+f(a,b)(xa)+f(a,b,c)(xa)(xb)+ ..
これを変形すると
f(x)f(a)=f(a,b)(xa)+f(a,b,c)(xa)(xb)+ ..f(x)f(a)xa=f(a,b)+f(a,b,c)(xb)+ ..f(x,a)=f(a,b)+f(a,b,c)(xb)+ f(a,b,c,d)(xb)(xc)+ ..
同様に
f(x,a,b)=f(a,b,c)+f(a,b,c,d)(xc)+f(a,b,c,d,e)(xc)(xd)+ ..f(x,a,b,c)=f(a,b,c,d)+f(a,b,c,d,e)(xd)+f(a,b,c,d,e,f)(xd)(xe)+ ....
文字a,b,c,..の総数をmとします。これにxを加えたm+1個の文字によるm階間分をg(t)=tnに対して考えると
(1)x,a,b,c,..=(t)x,a,b,c,..= ..=(tm1)x,a,b,c,..=0
よってm1次の多項式f(t)について
f(x,a,b,..)=0
最後の文字を..,D,C,B,Aとすると
f(x,a,b,..,A)=f(x,a,..,B)f(a,b,..,A)xA=0
よって
f(x,a,b,..,B)=f(a,b,..,A)
また変形すると
f(x,a,b,..,C)f(a,b,..,B)xB=f(a,b,..,A)
よって
f(x,a,b,..,C)=f(a,b,..,B)+f(a,b,..,A)(xB)
同様に
f(x,a,b,..,D)=f(a,b,..,C)+f(a,b,..,B)(xC)+f(a,b,..,A)(xC)(xB)f(x,a,b,..,E)=f(a,b,..,D)+f(a,b,..,C)(xD)+f(a,b,..,B)(xD)(xC)+f(a,b,..,A)(xD)(xC)(xB)..
これを繰り返すことで以下のラグランジュ補間の別表現が得られます。
f(x)=f(a)+f(a,b)(xa)+f(a,b,c)(xa)(xb)+ ..

終わりに

これはかなり面白いと思いました。ガウスの著作ではさらにa,b,c,..eia,eib,eic,..を入れたものを考え、三角関数の和に関する公式を導いています。ちなみにラテン語ですが、数式を追うのがメインの挑戦で、いざとなったらgoogle翻訳でいけます。ありがとうございました。

参考文献

投稿日:202462
更新日:202465
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17世紀の数学を学び始めました。 https://www.17centurymaths.com/ このサイト素晴らしい。

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  1. はじめに
  2. 補題
  3. ラグランジュ補間
  4. ラグランジュ補間の別表現
  5. 終わりに
  6. 参考文献