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現代数学解説
文献あり

Andrews-Warnaarの恒等式

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前の記事 で, WarnaarによるJacobiの三重積公式の拡張
1+0<n(1)nqn(n1)2(an+bn)=(a,b,q;q)0n(ab/q;q)2nqn(a,b,ab,q;q)n
を示した. 今回はその類似として, 以下の積公式を示す.

Andrews-Warnaar(2007)

(0n(1)nqn(n1)2an)(0n(1)nqn(n1)2bn)=(a,b,q;q)0n(abqn1;q)nqn(a,b,q;q)n

Heineの変換公式
2ϕ1[a,bc;x]=(b,ax;q)(c,x;q)2ϕ1[c/b,xax;b]=(c/a,ax;q)(c,x;q)2ϕ1[abx/c,aax;ca]
において, xxa,bqとしてから, a,c0とすると,
0n(1)nq(n2)xn=(x,q;q)0nqn(x,q;q)n=(x;q)0mxmqm2(x,q;q)m
であるから,
(0n(1)nq(n2)an)(0n(1)nq(n2)bn)=(a,b,q;q)0n,mbmqn+m2(a,q;q)n(b,q;q)m=(a,b,q;q)0nmbmnqn+(mn)2(a,q;q)n(b,q;q)mn=(a,b,q;q)0mbmqm2(b,q;q)mn=0m(q1m/b,qm;q)n(a,q;q)nqn
ここで, q-Vandermondeの恒等式 より,
n=0m(q1m/b,qm;q)n(a,q;q)nqn=(abqm1;q)m(a;q)m(q1mb)m
であるからこれを代入して定理を得る.

定理1から以下のようにWarnaarの恒等式を導出することができる.

1+0<n(1)nqn(n1)2(an+bn)=(a,b,q;q)0n(ab/q;q)2nqn(a,b,ab,q;q)n

L(a,b):=(a,b,q;q)0n(abqn1;q)n(a,b,q;q)nqn
とすると, 定理1から
(a,b,q;q)0n(ab/q;q)2n(a,b,ab,q;q)nqn=(a,b,q;q)0n(1ab/q)(abqn;q)n1(a,b,q;q)nqn=(a,b,q;q)0n((1abqn1)(ab/q)(1qn))(abqn;q)n1(a,b,q;q)nqn=(a,b,q;q)0n(abqn1;q)n(a,b,q;q)nqnab(a,b,q;q)0n(abqn;q)n1(a,b;q)n(q;q)n1qn1=L(a,b)ab(aq,bq,q;q)0n(abqn+1;q)n(aq,bq,q;q)nqn=L(a,b)abL(aq,bq)=(0n(1)nqn(n1)2an)(0n(1)nqn(n1)2bn)(0n(1)nqn(n+1)2an+1)(0n(1)nqn(n+1)2bn+1)=(1+0<n(1)nqn(n1)2an)(1+0<n(1)nqn(n1)2bn)(0<n(1)nqn(n1)2an)(0<n(1)nqn(n1)2bn)=1+0<n(1)nqn(n1)2(an+bn)
となって示される.

このような
0n(1)nqn(n1)2xn
と表される関数はpartial theta functionと呼ばれているが, 日本語訳は今のところ無さそうである.

参考文献

[1]
G. E. Andrews, S. Ole Warnaar, The product of partial theta functions., Adv. in Appl. Math., 2007, 116-120
投稿日:18日前
更新日:13日前
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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