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写像 ③

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Prop&Proof

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ S\subseteq T \Longrightarrow f(S)\subseteq f(T) $$
が成り立つ。

任意に $S,T\subseteq A$ をとり、
$$ S\subseteq T $$
と仮定する。
$f(S)\subseteq f(T)$ を示す。任意に $y\in f(S)$ をとる。
部分集合の像の定義より、ある $s\in S$ が存在して、
$$ y=f(s) $$
が成り立つ。
仮定 $S\subseteq T$ より、
$$ s\in T $$
である。
したがって、部分集合の像の定義より、
$$ f(s)\in f(T) $$
である。
ここで $y=f(s)$ であるから、
$$ y\in f(T) $$
である。
$y\in f(S)$ は任意であったから、
$$ f(S)\subseteq f(T) $$
である。
以上より、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ S\subseteq T \Longrightarrow f(S)\subseteq f(T) $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

逆向きは一般に成り立たない

一般には、
$$ f(S)\subseteq f(T) \Longrightarrow S\subseteq T $$
は成り立たない。
理由は、写像が(単射でない場合)異なる元が同じ値に写ることがあるためである。
たとえば、$f:\mathbb R\to\mathbb R$
$$ f(x)=x^2 $$
で定める。
このとき、
$$ S=\{-1\}, \quad T=\{1\} $$
とおくと、
$$ f(S)=\{1\} \quad \text{かつ} \quad f(T)=\{1\} $$
である。
したがって、
$$ f(S)\subseteq f(T) $$
が成り立つ。
しかし、
$$ S\subseteq T $$
は成り立たない。

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S\cup T)=f(S)\cup f(T) $$
が成り立つ。

任意に $S,T\subseteq A$ をとる。
集合の相等を示すために、両包含を示す。

  1. $f(S\cup T)\subseteq f(S)\cup f(T)$ を示す。
    任意に $y\in f(S\cup T)$ をとる。
    部分集合の像の定義より、ある $x\in S\cup T$ が存在して、
    $$ y=f(x) $$
    が成り立つ。
    $x\in S\cup T$ より、
    $$ x\in S\lor x\in T $$
    である。
    i) $x\in S$ の場合。
      部分集合の像の定義より、
    $$ f(x)\in f(S) $$
      である。したがって、
    $$ y=f(x)\in f(S)\subseteq f(S)\cup f(T) $$
      である( 証明はコチラ )。
    ii) $x\in T$ の場合。
      部分集合の像の定義より、
    $$ f(x)\in f(T) $$
      である。したがって、
    $$ y=f(x)\in f(T)\subseteq f(S)\cup f(T) $$
      である( 証明はコチラ )。
    以上より、いずれの場合も
    $$ y\in f(S)\cup f(T) $$
    である。ゆえに、
    $$ f(S\cup T)\subseteq f(S)\cup f(T) $$
    である。
    $ $
  2. $f(S)\cup f(T)\subseteq f(S\cup T)$ を示す。
    任意に $y\in f(S)\cup f(T)$ をとる。
    このとき、
    $$ y\in f(S)\lor y\in f(T) $$
    である。
    i) $y\in f(S)$ の場合。
      部分集合の像の定義より、ある $s\in S$ が存在して、
    $$ y=f(s) $$
      が成り立つ。$s\in S$ より、
    $$ s\in S\cup T $$
      である。
      したがって、部分集合の像の定義より、
    $$ y=f(s)\in f(S\cup T) $$
      である。
    ii) $y\in f(T)$ の場合。
      部分集合の像の定義より、ある $t\in T$ が存在して、
    $$ y=f(t) $$
      が成り立つ。$t\in T$ より、
    $$ t\in S\cup T $$
      である。
      したがって、部分集合の像の定義より、
    $$ y=f(t)\in f(S\cup T) $$
      である。
    以上より、いずれの場合も
    $$ y\in f(S\cup T) $$
    である。ゆえに、
    $$ f(S)\cup f(T)\subseteq f(S\cup T) $$
    である。

-以上より、
$$ f(S\cup T)=f(S)\cup f(T) $$
である。
$$ \Box$$

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S\cap T)\subseteq f(S)\cap f(T) $$
が成り立つ。

任意に $S,T\subseteq A$ をとり、任意に $y\in f(S\cap T)$ をとる。
部分集合の像の定義より、ある $x\in S\cap T$ が存在して、
$$ y=f(x) $$
が成り立つ。
$x\in S\cap T$ であるから、
$$ x\in S \quad\text{かつ}\quad x\in T $$
である。
$x\in S$ かつ $y=f(x)$ であるから、部分集合の像の定義より、
$$ y\in f(S) $$
である。
また、$x\in T$ かつ $y=f(x)$ であるから、部分集合の像の定義より、
$$ y\in f(T) $$
である。したがって、
$$ y\in f(S)\cap f(T) $$
である。
$y\in f(S\cap T)$ は任意であったから、
$$ f(S\cap T)\subseteq f(S)\cap f(T) $$
である。
$$ \Box$$

等号が一般には成り立たない理由

$f(S)\cap f(T)$ の元であるとは、ある $s\in S$ とある $t\in T$ が存在して、
$$ y=f(s)=f(t) $$
が成り立つことを意味する。
しかし、このとき一般には
$$ s=t $$
とは限らない。
したがって、$y$$S$ の元の像でもあり、$T$ の元の像でもあっても、$S\cap T$ の元の像であるとは限らない。
ゆえに、一般には
$$ f(S)\cap f(T)\subseteq f(S\cap T) $$
は成り立たない。

等号が成り立たない例

$f:\mathbb R\to\mathbb R$
$$ f(x)=x^2 $$
で定める。
また、
$$ S=\{-1\}, \quad T=\{1\} $$
とする。
このとき、
$$ S\cap T=\varnothing $$
であるから、
$$ f(S\cap T)=f(\varnothing)=\varnothing $$
である。
一方、
$$ f(S)=\{1\}, \quad f(T)=\{1\} $$
であるから、
$$ f(S)\cap f(T)=\{1\} $$
である。
したがって、
$$ f(S\cap T)\ne f(S)\cap f(T) $$
である。

単射(今後定義する)なら等号になる

$f:A\to B$ が単射である場合には、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S\cap T)=f(S)\cap f(T) $$
が成り立つ。
$ $
これは、$f(S)\cap f(T)$ の元 $y$ に対して、
ある $s\in S$ とある $t\in T$ が存在して $y=f(s)=f(t)$ となるとき、単射性より $s=t$ が従うためである。
したがって、この共通の元は $S\cap T$ に属し、$y\in f(S\cap T)$ が従う。

$A,B$ を集合とし、$f:A\to B$ を写像とする。
このとき、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S)\setminus f(T)\subseteq f(S\setminus T) $$
が成り立つ。

任意に $S,T\subseteq A$ をとり、任意に $y\in f(S)\setminus f(T)$ をとる。
このとき、
$$ y\in f(S) \quad\text{かつ}\quad y\notin f(T) $$
である。
$y\in f(S)$ であるから、部分集合の像の定義より、ある $s\in S$ が存在して、
$$ y=f(s) $$
が成り立つ。
ここで、$s\in T$ と仮定する。
このとき、$s\in T$ かつ $y=f(s)$ であるから、部分集合の像の定義より、
$$ y\in f(T) $$
である。これは
$$ y\notin f(T) $$
に矛盾する。したがって、
$$ s\notin T $$
である。
ゆえに、$s\in S$ かつ $s\notin T$ より、
$$ s\in S\setminus T $$
である。
また、$y=f(s)$ であるから、部分集合の像の定義より、
$$ y\in f(S\setminus T) $$
である。
$y\in f(S)\setminus f(T)$ は任意であったから、
$$ f(S)\setminus f(T)\subseteq f(S\setminus T) $$
である。
$$ \Box$$

等号が一般には成り立たない理由

$f(S\setminus T)$ の元は、$S\setminus T$ の元の像である。
しかし、その同じ値が $T$ の別の元の像としても現れることがある。
その場合、その値は $f(T)$ に属するため、$f(S)\setminus f(T)$ には属さない。
したがって、一般には
$$ f(S)\setminus f(T)=f(S\setminus T) $$
とは限らない。

等号が成り立たない例

$f:\mathbb R\to\mathbb R$
$$ f(x)=x^2 $$
で定める。
また、
$$ S=\{-1\}, \quad T=\{1\} $$
とする。このとき、
$$ S\setminus T=\{-1\} $$
であるから、
$$ f(S\setminus T)=\{1\} $$
である。一方、
$$ f(S)=\{1\}, \quad f(T)=\{1\} $$
であるから、
$$ f(S)\setminus f(T)=\varnothing $$
である。したがって、
$$ f(S)\setminus f(T)\ne f(S\setminus T) $$
である。

単射(今後定義する)なら等号になる

$f:A\to B$ が単射である場合には、任意の $S,T\subseteq A$ に対して、
$$ f(S)\setminus f(T)=f(S\setminus T) $$
が成り立つ。
実際、単射であれば、$S\setminus T$ の元の像が $T$ の元の像としても現れることはない。

投稿日:2日前
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投稿者

Kagura
Kagura
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6793
■ 分野を問わず数学の証明が好きです。あとで自分が読み返したときに、きちんと理解できるノートを作ることを心がけています。不定期に過去のノートを確認し、修正&更新 (追加&削除) しています。定義、命題、証明などに誤りや不正確な点がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025年12月28日)。    

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