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大学数学基礎解説
文献あり

距離函数についての覚書

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準備

(X,d)を距離空間としAXをその非空部分集合とする.このとき写像
XR; xdist(x,A)=infaAd(x,a)
は(一様)連続である.

x,yXとする.
任意のaAに対して
dist(x,A)d(x,y)d(x,a)d(x,y)d(y,a)
が成り立つので,
dist(x,A)d(x,y)dist(y,A),
すなわち
dist(x,A)dist(y,A)d(x,y)
を得る.同様にして
dist(y,A)dist(x,A)d(y,x)=d(x,y)
も成り立つので,
|dist(x,A)dist(y,A)|d(x,y)
が成り立つ.

Xを位相空間としf,g:XRを連続写像とする.このとき
X(f<g):={xXf(x)<g(x)}X
は開集合である.

写像
fΔg:XR×R; x(f(x),g(x))
は連続であり,部分集合
R:={(r,s)R×Rr<s}R×R
は開集合であるから,
X(f<g)=(fΔg)1(R)X
は開集合である.

距離空間(X,d)の部分集合AXと正数r>0に対して,
B(A;r):={xXdist(x,A)<r}X
Aを含む開集合である.

(X,d)を距離空間としAXを部分集合とする.このとき
A={xXdist(x,A)=0}
が成り立つ.

xAε>0, B(x;ε)Aε>0, aA, d(x,a)<εdist(x,A)=0.

距離空間の正規性

距離空間は正規である.

距離空間XT4分離公理を満たすことを示せばよい.そこでC,FXを交わらない閉集合とする.このとき開集合U,VX
U={xXdist(x,C)<dist(x,F)},V={xXdist(x,F)<dist(x,C)}
で定めると,
CU, FV, UV=
が成り立つ.

C,FXを交わらない非空閉集合とする.このとき任意のxXに対してdist(x,C)+dist(x,F)0であるから,連続写像
f:X[0,1]; xdist(x,C)dist(x,C)+dist(x,F)
が定まる.このfC,Fに対するUrysohn函数を与えている.

部分空間の開集合をいい感じに延長する

(X,d)を距離空間とし,xX,A,BXとする.このとき
dist(x,AB)=min{dist(x,A),dist(x,B)}
が成り立つ.

  • A,BABより
    dist(x,AB)min{dist(x,A),dist(x,B)}=:m
    が成り立つ.
  • もしdist(x,AB)<mが成り立つとすると,yABであってd(x,y)<mとなるものが存在する.ところが
    yAdist(x,A)d(x,y)<mdist(x,A),yBdist(x,B)d(x,y)<mdist(x,B)
    となり不合理である.

(X,d)を距離空間としAXをその非空部分集合とする.それぞれの開集合系をτ(X),τ(A)で表わす.τ(A)の任意の元UAは適当なUτ(X)を用いてUA=UAと表わせるのであった.このUの“標準的な”取り方を与えるのが以下の定理である.

写像e:τ(A)τ(X)
e(UA)={xXdist(x,UA)<dist(x,AUA)}
で定める.

( Kuratowski kuratowski )

写像e:τ(A)τ(X)について次が成り立つ:

  1. e()=;
  2. e(A)=X;
  3. UAVAe(UA)e(VA);
  4. UA=e(UA)A;
  5. e(UAVA)=e(UA)e(VA);
  6. UAVA=e(UA)e(VA)=.
  1. dist(x,)=+より
    e()={xX+<dist(x,A)}=
    が成り立つ.
  2. 同様にして
    e(A)={xXdist(x,A)<+}=X
    が成り立つ.
  3. xe(UA)とする.このときUAVAより
    dist(x,VA)dist(x,UA)<dist(x,AUA)dist(x,AVA)
    が成り立つので,xe(VA)を得る.
  4. AUAAは閉集合であるから
    AUA=clA(AUA)=AUAA={aAdist(a,AUA)=0}
    が成り立つ.よって
    e(UA)A={aAdist(a,UA)<dist(a,AUA)}=UA
    が成り立つ.
  5. (iii)より
    e(UAVA)e(UA)e(VA)
    が成り立つ.
    xe(UAVA),すなわち
    dist(x,A(UAVA))dist(x,UAVA)
    が成り立つとする.補題5より
    dist(x,A(UAVA))=dist(x,(AUA)(AVA))=min{dist(x,AUA), dist(x,AVA)}
    であるから,
    dist(x,A(UAVA))=dist(x,AUA)
    としてよい.このとき
    dist(x,AUA)min{dist(x,AVA), dist(x,UAVA)}=dist(x,(AVA)(UAVA))=dist(x,(AVA)UA)=min{dist(x,AVA), dist(x,UA)}dist(x,UA)
    が成り立つので,xe(UA)を得る.
  6. (i),(v)よりしたがう.

固有距離空間における点と閉集合との距離

(X,d)を固有距離空間とする.

任意のxXと非空閉集合FXに対して,aFであって
d(x,a)=dist(x,F)
を満たすものが存在する.

nZ1に対して
Fn=B(x;dist(x,F)+1n)F
とおく.(Fn)nはコンパクト空間F1の非空閉集合からなる減少列なので,anFnが存在する.このaFに対して
nZ1, dist(x,F)d(x,a)dist(x,F)+1n
が成り立つので
d(x,a)=dist(x,F)
を得る.

命題7の

任意の非空コンパクト集合KXと非空閉集合FXに対して,(k,a)K×Fであって
d(k,a)=dist(K,F)
を満たすものが存在する.

非空コンパクト空間上の連続写像
KR; xdist(x,F)
はある点kKで最小値を取る:
dist(k,F)=minxKdist(x,F)=infxKdist(x,F)=dist(K,F).
よって命題7よりaFであって
d(k,a)=dist(k,F)=dist(K,F)
が成り立つものが存在する.

xX,r>0とし,FXを非空閉集合とする.このとき次は同値である:

  1. dist(x,F)>r;
  2. dist(B(x;r),F)>0;
  3. B(x;r)F=.

(i)(ii)

固有距離空間の閉球はコンパクトであるから,命題7の系より(k,a)B(x;r)×Fであって
d(k,a)=dist(B(x;r),F)
となるものが存在する.このとき
dist(B(x;r),F)=d(k,a)d(x,a)d(x,k)dist(x,F)r>0
が成り立つ.

(ii)(iii)

aB(x;r)Fとすると
0<dist(B(x;r),F)d(a,a)=0
となり不合理である.

(iii)(i)

命題7よりaFであって
d(x,a)=dist(x,F)
となるものが存在する.仮定よりaB(x;r)であるから
dist(x,F)=d(x,a)>r
が成り立つ.

  • (ii)(iii) は一般の距離空間の部分集合に対して成り立つ.
  • (iii)(ii) は一般の距離空間のコンパクト集合と閉集合に対して成り立つ.
  • (i)(iii)は一般の距離空間で成り立つ.
  • dist(x,F)rB(x;r)F=は一般の距離空間で成り立つ.実際,
    • dist(x,F)rのとき,yB(x;r)d(x,y)<rdist(x,F)yFよりB(x;r)F=であり,
    • B(x;r)F=のとき,aF, d(x,a)rよりdist(x,F)rが成り立つ.
開集合を少し縮める(cf. 例1)

開集合UXと正数r>0に対して
{xXB(x;r)U}={xXr<dist(x,XU)}X
Uに含まれる開集合である.

Lebesgue数の存在

(X,d)をコンパクト距離空間,(Uλ)λΛをその開被覆とする.このとき正数δ=δ((Uλ)λ)>0であって,(B(x;δ))xX(Uλ)λΛの細分になる,すなわち
xX, λΛ, B(x;δ)Uλ
が成り立つものが存在する.このδを開被覆(Uλ)λLebesgue数という.

( kawasaki,定理11.15 )

λΛ,UλXとしてよい.各λΛに対して連続写像δλ:XR
δλ(x)=dist(x,XUλ)
で定める.いまXUλXは(非空)閉集合なので
xUλδλ(x)>0
が成り立つことに注意する.

Xのコンパクト性より,λ1,,λnΛであって
X=Uλ1Uλn
となるものが存在する.したがって写像
δX:XR; xmax{δλ1(x),,δλn(x)}
は連続である.そこで
δ=minxXδX(x)>0
とおく.

xXとする.このとき
δδX(x)=δλi(x)=dist(x,XUλi)
より,B(x;δ)Uλiが成り立つ.

AXを直径がδ未満の非空部分集合としa0Aを取る.このとき
aA, d(a,a0)diam(A)<δ
より
AB(a0;δ)Uλ
が成り立つ.

f:XYをコンパクト距離空間Xから位相空間Yへの連続写像とし,(Vλ)λYの開被覆とする.Xの開被覆(f1(Vλ))λのLebesgue数をδ>0とすると
AX, diamX(A)<δf(A)Vλ
が成り立つ.

コンパクト距離空間Xから距離空間Yへの連続写像f:XYは一様連続である.実際,任意のε>0に対して,Xの開被覆(f1(BY(y;ε2)))yYのLebesgue数をδ>0とすると,
dX(x,x)<δdiamX({x,x})<δf({x,x})BY(y;ε2)dY(f(x),f(x))dY(f(x),y)+dY(y,f(x))<ε
が成り立つ.

参考文献

投稿日:2024210
OptHub AI Competition

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うすい
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位相空間論に興味があります.

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  5. Lebesgue数の存在
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