相対論や微分幾何の本を読んでいると共変テンソルとか反変テンソルとか出て来てよく分からなくなるので、何番煎じか分からないけど自分メモ的に整理してみたい。
ごちゃごちゃ考えた結果を書き出しているだけで、大したことの内容であるにも関わらず冗長で、計算を追うメリットも特にないので、明らかに普通の適当な教科書を見つけて読むほうが良い。
素朴なところから入りたい。いわゆる Einstein の規約というものがあって、今回悩んでいるような記号が出て来る本ではこれをわりと見かける。ベクトル
とか
とか
このお気持ちを大切にしつつ一歩進みたい。
見慣れた座標
確かに、この記号の使い方には少し難点があるかもしれない。[...] しかし、もう少し先までベクトル空間の話を進めてみると、この記法は、いろいろな点で非常に有用なものであることがわかってくるだろう。
とある。文献 I ではまえがきでこういう書き方があることを触れつつ p.20 で
本書でも微分幾何に関連する場合にはこの習慣に従う。
となる。文献 T では第14講「ベクトルの変換性」から登場し、ベクトルの “共変性” や “反変性” なるものを明らかにするために使っている旨が書かれている。
文献 A では p.45 で現れ始めて、p.46 から本格的に説明がなされる。欄外注釈 22 によると、
つまり、“共変” という修飾語は、
の基底の変換に対して の元の成分が基底の変換と同様な仕方でなされるという事実に言及するものであって、~
とある。
ベクトル空間を考えたいが、ここでは簡単のため
2 次元のベクトル空間なので、基底
としてみる。次に別の基底を考える。別にどういうものでも良いのだが、簡単のため
と置いてみたい。これも
という関係がある。
※ 以下、基底
さて、このように基底に関する線型結合を考える時、
このまま調子に乗って上式を書き換えてみたい。
と置くと、
または
と書けるだろうか。気取って
とも書けるだろう。
さて、任意にベクトル
と書けるのだが、基底の間に関係式 (1) がある時、係数(或は座標)同士はどういう関係になっているのだろうか?
準備
まず、Eq. (1) を書き直す。適当なスカラー
Einstein の規約で書くと、
という関係を得る。ここで
これを行列の形で書くと、
となる。つまり、
と置くと、
準備ができたので Eq. (2) に Eq. (1'') を代入してみると、
を得る。よって、成分を比較して、ついでにインデックスを振り直して
を得る。行列で書くと、
となる。基底の変換とは逆の変換が作用している ということだ。
Eq. (3) の右から
または、
を得る。この式と Eq. (1) の対応が「反変的」である旨が文献 S1 p.102 にある。なお、文献 S1 では
ところで、Eq. (3) により、
または、
ここで、
は 座標変換
Eq. (3) の右から
を思い出すと、上記と同じ理由で、
さて、くどくなるが上式を書き換えて Eq. (3') と同様の式を書いていくと、
または、
となる。ここで、
は 逆方向の座標変換
念のために基底の変換 Eq. (1') を書き直すと、
となることが分かる。
ここまでで、座標変換を通じて見直してみると、基底の変換
唐突だが、微分作用素
である。多様体の接空間の基底も同じルールに従っていることに注意しよう。
もしも記号
と書ける。ここで、Eq. (5) で
この辺で、適当な多様体
微分作用素の話を記号を置き換えて読み換えるような感じである。コピペで書き直してみる。ということで、座標変換
である。多様体の余接空間の基底も同じルールに従っていることに注意しよう。
もしも記号
と書ける。ここで、Eq. (3') で
「(反変)ベクトル場」という用語もよく見る。「あれ?微分作用素
とおこう。Eq. (6') の逆方向を考えると、
であるのでこれを Eq. (7) に代入すると、
となる。成分を見ると、
となっており、Eq. (3') と同じルールになっている。つまり、座標の変換と同じルールであり、基底の変換と反変的である。なので、「反変ベクトル場」と呼ぶらしい。実際、そのような感じのことが文献 I p.25 にも書かれている。
この辺はかなり雑に書いてしまった。多様体
上記の
多様体
を「反変
文献 SA p.212 でも一般のベクトル空間
を「
共変(テンソル)ベクトル(場)、共変(テンソル)テンソル(場)みたいなものがさっぱり気持ちが分からないし、表面的に各種文献を見るとごちゃごちゃになってくるので、何となく全部を説明できるであろう愚直な計算を行って、その結果を通じて用語を眺めてみた。安らかな気持ちで始めるために、2 次元の空間で始めたが、2 次元であることをまったく用いておらず、一般の
きっと明日には忘れてしまうので、忘れたらこの単純で単調な計算をトレースして思い出したい。