0
大学数学基礎解説
文献あり

regular category

29
0

有限完備圏Cは次の2条件をみたすとき正則圏(regular category)であるという:
(R1) 任意のCの射の核対の余等化子が存在する.
(R2) 正則エピは引き戻しにより保たれる.

Cを正則圏とする.
(イ) 任意のCの射fは(正則エピ,モノ)分解を持つ; 正則エピ射eとモノ射mが存在して,f=emが成り立つ.
(ロ) 上記の分解は(同型を除いて)一意である.

(イ) Eq(f),f1,f2f:abの核対とし,e:acf1,f2の余等化子とする((R1)により存在する).ff1=ff2であるから,f=meなるm:cbが存在する.mがモノであることを示すため,mの核対が等しいことを示す.そのため引き戻しからなる図式
Eq(f)βαf2f1Eq(m)×caπ2π1aea×cEq(m)τ2τ1Eq(m)p2p1cmaecmb
を考える.貼り合わせ原理から,左上はEq(f)であり,π2β=f2, τ1α=f1としてよい.また(R2)によりπ1,α,τ2,βは正則エピであるから,φ:=π1β=τ2αはエピである.このとき
p1φ=eτ1α=ef1=ef2=p2φ
が成り立つ.従ってp1=p2を得,mがモノと分かった.
(ロ) 一意性のため,別の(正則エピ,モノ)分解f=meを考える.このとき可換四角形
aeecmtcmb
を得るが,正則エピは強エピ(epis, 命題6)であるから充填t:ccを得る.m=mtからtはモノであり,eは極大エピであるからtは同型である.よって(ロ)が示された.

任意の射fは正則余像と像を持ち,一致する.

fの(正則エピ,モノ)分解を
(1)aecmb
とし,別の任意の分解aecmbをとる.
aeecmtcmsb
mがモノのとき,eが強エピであるから充填t:ccが存在し,(1)が像分解を与えることがわかる.eが正則エピのとき,mがモノであるから充填s:ccが存在して,(1)が正則余像分解を与えることがわかる.

このため正則圏の射の(正則エピ,モノ)分解を単に像(分解)あるいは正則余像(分解)と呼び,中間の対象をimfで表すことにする.

正則圏において,極大エピ,強エピ,正則エピは一致する.

Cは引き戻しを持つので,epis, 命題6により極大エピと強エピは一致する.fを強エピとし,その像分解f=meを考える.mはモノでfは極大エピであるから,mは同型であり,fは正則エピである.

正則圏Cにおいて,次が成り立つ.
(イ) 正則エピ射の合成は正則エピである.
(ロ) gfが正則エピのとき,gも正則エピである.
(ハ) f:ax, g:byが正則エピのとき,f×g:a×bx×yも正則エピである.

(イ),(ロ)は定理1系2とepis, 命題5により成り立つ.
(ハ)
a×bf×bpr1x×bpr1afx
が引き戻しであり,正則エピは引き戻しで保たれる(R2)から,f×bは正則エピである.同様にx×gも正則エピであるから,(イ)により合成
f×g=(x×g)(f×b)
も正則エピである.

Copが正則圏であるとき,C余正則圏であるという.

参考文献

投稿日:228
更新日:32
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

dnbkssk
7
1477

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中