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複素数で幾何学

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複素数による内積、外積に関する公式

複素数を用いて幾何学を扱おうとすると、ベクトルの内積、外積に対応する表現でまとめるとキレイになることが多いです。なのでこれらを定義します。複素数 a の複素共役を a とします。

内積

ab=ab+ab2

外積

a×b=abab2i

a=ar+iai,b=br+ibiとします。
すると以下のような公式が成り立ちます。

ab=arbr+aibia×b=arbiaibraab=|a|2bra×ab=|a|2biaib=b×aa×ib=abr1eiθ1r2eiθ2=r1r2cos(θ2θ1)r1eiθ1×r2eiθ2=r1r2sin(θ2θ1)

2つの直線の交点

2つの直線 z=a+bt1,z=c+dt2 の交点P

ここでt1,t2は媒介変数です。
P=(c×d)b(a×b)db×d

代数的な求め方

これは普通に解いて答えを知った後に見つけた解法です。
3つの複素数s,t,uについてヤコビの恒等式(s×t)u+(t×u)s+(u×s)t=0 が成り立つことが以下の式からわかります。
(stst)u+(tutu)s+(usus)t=0
解くべき方程式は
ac+bt1dt2=0
です。この式とヤコビの恒等式を見比べるとs=b,t=d と置けばいいことがわかります。すると
(b×d)u+(d×u)b+(u×b)(d)=0
となります。
ここでac=(b×d)u と置けば、s,t,u すべてが置き換えられます。このとき
u=cab×d
なので
t0=(d×u)=(d×cab×d)
求める交点は
z=a+b(ac)×db×d=a(b×d)(a×dc×d)bb×d
ここで再びヤコビの恒等式よりb,d,aについて
(b×d)a+(d×a)b+(a×b)d=0
が成り立つので
z=a(b×d)(a×dc×d)bb×d=(c×d)b(a×b)db×d
となります。

幾何学的な求め方

図1の紫の点zが求める交点です。bdがなす斜交座標系における、zの座標を(k,l)とします。このときz=kb+ldです。
ここでbdの成す角をθとします。すると原点と直線z=a+bt1の距離はl|d|sinθです。また同じ距離はc,dを用いてa×b|b| とも表せます。よって
l|d|sinθ=a×b|b|
同様に
k|b|sinθ=c×d|d|
ここでマイナスの符号が必要なのですが「図をみるとそうなってる」ということで手打ちにして頂きたいです。
d×b=|b||d|sinθ
なので
l=a×bb×dk=c×db×d
よって
z=(c×d)b(a×b)db×d

2つの直線 !FORMULA[42][1897050911][0] の交点 2つの直線 z=a+bt1,z=c+dt2 の交点

直線と円の交点

直線 z=a+btと円z=riθ の交点P±

ここでt,θは媒介変数です。交点は2つあるのでP±と命名します。

h=a×b|b|s=r2h2
とおく。
P±=b|b|(ih±s)

代数的な求め方

a+bt=reiθ
の絶対値をとります。
r2=(a+bt)(a+bt)=|a|2+|b|2t2+2(ab)t
これをtについて解くと
t=ab|b|2±(ab)2|a|2+r2
です。よって
z=a+bt=aab|b|2b±(ab)2+|b|2(r2|a|2)|b|2b
これは
h=a×b|b|s=r2h2
とおくとうまく整理できて
z=b|b|(ih±s)
となります。

幾何的な求め方

図2の緑点が求める交点です。まず円から直線に引いた垂線の長さhは
h=a×b|b|
です。垂線ベクトルとしてはbに垂直で反時計方向にいるので
ihb|b|
です。hから直線上にそって2つの交点に向かうベクトルsの長さは
s=r2h2
です。よって
z=b|b|(ih±s)

直線 !FORMULA[63][1055267873][0]と円!FORMULA[64][-1349771608][0] の交点 直線 z=a+btと円z=riθ の交点

この式はもともと複素数なので、図3のように、座標の直線と円が交わらないときも座標が求まってしまいます。このとき、媒介変数t,θは複素数になっています。媒介変数の虚数成分は曲線の法線方向
への移動を表します。

交点が存在しないときの!FORMULA[66][-929646664][0] 交点が存在しないときのP±

2つの円の交点

z=r1iθ1と円z=r2iθ2+a の交点P±

ここでθ1,θ2は媒介変数です。交点は2つあるのでP±と命名します。

r+=r1+r2r=r1r2h=12(|a|+r+r|a|)s=i2(|a|r+2|a|)(|a|r2|a|)
とおく。
P±=a|a|(h±is)

代数的な求め方

r1iθ1=r2iθ2+a
が解くべき式です。まず
r+=r1+r2r=r1r2
とおきます。すると
r+(eiθ1eiθ2)+r(eiθ1+eiθ2)=2a
となります。ここで
2θ=θ1+θ22ϕ=θ1θ2
とおきます。すると
r+eiθ(eiϕeiϕ)+reiθ(eiϕ+eiϕ)=aeiθ(ir+sinϕ+rcosϕ)=a
となります。この絶対値をとると
|a|2=r+2sin2ϕ+r2cos2ϕ=r+2+(r2r+2)cos2ϕ
となります。これから
cos2ϕ=|a|2r+2r2r+2sin2ϕ=r+2|a|2r2r+2
です。これからzを求めます。
eiθ=air+sinϕ+rcosϕ
よって
z=r1eiθ1=r1ei(θ+ϕ)=r1aeiϕir+sinϕ+rcosϕ=r1a|a|2eiϕ(ir+sinϕ+rcosϕ)=r1a|a|2(rcos2ϕ+r+sin2ϕ+icosϕsinϕ(rr+))=r1a|a|2(r+(rr+)cos2ϕ+icosϕsinϕ(rr+))=a2|a|2(r+(r++r)+(r2r+2)(cos2ϕ+icosϕsinϕ))
先程求めたcosϕ,sinϕを代入し、また
h=12(|a|+r+r|a|)s=i2(|a|r+2|a|)(|a|r2|a|)
という変数を使うとキレイになり
P±=a|a|(h±is)
となります。

幾何的な求め方

図3の緑点が求める交点です。まず原点から2つ円を通る直線への垂線の長さhを求めます。
r12h2=r22(|a|h)2
h=12(|a|+r+r|a|)
です。ベクトルとしては、a方向なので
a|a|h
です。hから直線上にそって2つの交点に向かうベクトルの長さsは
s=r12h2=i2(|a|r+2|a|)(|a|r2|a|)
です。よって
z=a|a|(h±is)
となります。

円 !FORMULA[95][1686114060][0]と円!FORMULA[96][-84543486][0] の交点 z=r1iθ1と円z=r2iθ2+a の交点
直線と円のときと同様に交点が存在しないときの座標が求まります。
交点が存在しないときの!FORMULA[97][-929646664][0] 交点が存在しないときのP±

思ったこと

  • 代数として解くよりも幾何学として解くほうがエレガント
    代数的な解法では、式変形を繰り返しながら答えを求め、その後できれいな表示を探し出すという流れでした。しかし、幾何学的な解法では、解を求める過程で必然的にきれいな表示が得られます。
    数学の問題を考えるとき、私は次のようなパターンで解くことが多いと思います。
    1.がむしゃらに解き方を探す
    2.解き方が見つかったら、きれいな表示を探す
    3.きれいな表示が見つかったら、その裏にある本質を考える
    4.本質がわかったら、問題の「本当の解き方」がわかる。
    数学では「美しさを求める」ことが「本質をわかろうとする」ことだと思いました。

  • 複素数で求めると、交点がない場合も点の座標が求まる
    解析接続では、発散する級数に数値が設定されますが、それと似ていると思いました。

  • 曲線の媒介変数に虚数成分をもたせると、曲線の法線方向に移動する
    曲線を媒介変数表示で複素平面上の曲線として表すと、媒介変数の実数成分、虚数成分はそれぞれ、曲線の接線方向、法線方向に対応します。この成分は「曲線にそったグリッド」のxy座標のようなものです。実際にいくつかの曲線についてそのグリッドを描いてみました。この考え方はなにかに使えるかもしれません。
    !FORMULA[98][-2022861311][0] (!FORMULA[99][1114523040][0]) z=t+it2 (y=x2)
    !FORMULA[100][453807055][0] (!FORMULA[101][-62335160][0]) z=t+isint (y=sinx)

投稿日:2023102
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17世紀の数学を学び始めました。 https://www.17centurymaths.com/ このサイト素晴らしい。

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