スピノルの基本事項
スピン接続の定義を解説します。一言でいうとスピン接続はLie環の同型を利用して、リーマン接続を引き戻して(スピン構造の)主スピン束の接続としたもののことです。
擬Euclid空間の正規直交基底をとします。線形写像
を
で定義すると、はの基底となります。
例えば、の正規直交基底をとすると、
となります。
次になので同型が
と定義されたことを思い出してください。を詳しく計算すると
となります。よって
となります。
接ベクトルのスピノルへのClifford積
Spin多様体上の接ベクトルはスピノルへClifford積として作用します。これは以下のように定義されます。
正規直交基底をとし、の既約表現の生成子をとします(いわゆるGamma行列)。このとき、Clifford積を
と定義します。つまりという関係だと覚えておけばよいです。
スピン接続
スピン接続を定義します。リーマン接続は接続形式により
で与えらえます。は(局所的には)に値を持つ1形式です。そのことを明確にするように書き直すと次のようになります。
公式1より
なので、リーマン接続の接続形式をで引き戻して定義されるに値を持つ1形式は
となります。これよりスピン接続は以下のように定義されます。
スピン接続
擬リーマンSpin多様体において、リーマン接続を、正規直交基底を、の既約表現の生成子をとするとき、スピン構造のスピノル束にはリーマン接続からスピン接続が一意的に定義され、局所的に以下で与えられる。