こんにちは.昔考えていた話題について再考していたところ,ある程度まとまったので記事として書きます.よろしくお願いします.
この式の証明は
とりあさんの記事
にもありますが,ここではこの記事とは異なる証明を紹介します.
帰納法による証明
まず,「に対して次多項式が存在し,
と表せる」ことを示す.
のとき,
よりは成立する().
でのの成立を仮定する.の両辺をで微分して
を得る.この式に両辺を掛けて
を得る.ただし,であることを用いて右辺にを加えた.ここで,は次多項式なのでは次であるから,のときは成立する(である).
以上で式が示された.この式にを代入して
が得られる.
別証も紹介します.やや仰々しい証明です.
Vandermonde行列の逆行列を用いる証明
元連立方程式
を考える.これを行列の形で書くと
と表せる.ここで,左の行列をとし,の列行をと書くと,
と表せる.よって,
となる.従って,もとの連立方程式に戻って,に対して
を得る.
Vandermonde行列の逆行列に関しては
子葉さんの記事
などをご参照ください.
この式を用いると以下の事実を証明できます.
次多項式について,以下の2つは同値である:
- 任意の整数に対しては整数である.
- ある整数が存在して,はすべて整数である.
なお,この定理は定理1を用いなくても証明可能です.
定理2の一般的 (?) な証明
は明らかに成立するため, をについての帰納法で示す.
のとき,任意のについては整数である.
での成立を仮定し,次多項式について,ある整数が存在してがすべて整数であると仮定する.このとき,とおくとは次多項式である.ここで, は整数であるから,帰納法の仮定より任意の整数に対しては整数である.よって,が整数であることと合わせて,任意の整数に対しては整数である.
よって示された.
この定理を示す前に以下の補題を示します.(補題3)
とおくと,
となる.これより
と計算される.ここで,添字のはからまでの値を取りうるから,定理1より
となる.よって,任意の次多項式に対して
が恒等的に成立することが示された.
(定理2)
は明らかに成立するため, をについての帰納法で示す.
より,は整数である.
ここで,整数に対してが整数であると仮定する.このとき,補題3より
が従い,が整数だからも整数である.また,
が従い,が整数だからも整数である.
よって,任意の整数に対しては整数である.
この記事は以上になります.ありがとうございました.