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積分を解く
今週も級数・積分botに記載されている積分を解きたいと思います。
解く積分
integral 1-2
$$
\int_{0}^{\infty}\frac{\sin{x}}{x}dx=\frac{\pi}{2}
$$
ディリクレ積分という名前のついた有名な積分です。
複素積分として解く方法や、ラプラス変換で解く方法など、
様々な解法が知られている積分です。
解く
今回は、比較的スムーズに解ける
「フーリエ変換を用いた方法」で求めていこうと思います。
フーリエ変換
$$
F(\omega) = \int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-i\omega t}dt
$$
※$F(\omega)$は積分が絶対可積分であれば存在するのですが、
今回の積分は絶対可積分なので、気にせず計算を進めることができます。
フーリエ変換
矩形関数$\mathrm{rect}(t)$を次で定義します。
$$
\mathrm{rect}(t)\coloneqq
\begin{cases}
1 & \lvert t\rvert\leq1 \\
0 & \mathrm{otherwise}
\end{cases}
$$
※この定義は、一般的な矩形関数の定義とは異なるので注意しましょう。
この関数をフーリエ変換すると、
$$\begin{align}
\mathcal{F}[\mathrm{rect}(t)](\omega)
&=\int_{-\infty}^{\infty}\mathrm{rect}(t)e^{-i\omega t}dt\\[5pt]
&=\int_{-1}^{1}e^{-i\omega t}dt\\[5pt]
&=\left\lbrack\frac{e^{-i\omega t}}{-i\omega}\right\rbrack_{-1}^{1}\\[5pt]
&=2\frac{e^{i\omega}-e^{-i\omega}}{2i\omega}\\[5pt]
&=2\frac{\sin{\omega}}{\omega}
\end{align}$$ ここで、フーリエ逆変換の式を思い出すとフーリエ逆変換
$F(\omega)=\mathcal{F}[f(t)](\omega)$とすると、
$$
\mathcal{F}^{-1}[F(w)](t)\coloneqq
\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}F(\omega)e^{i\omega t}d\omega
$$
これを使って式変形していきます。
フーリエ逆変換
$$\begin{align}\mathrm{rect}(t)
&=\mathcal{F}^{-1}\left\lbrack2\frac{\sin{\omega}}{\omega}\right\rbrack(t)\\[5pt]
&=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}2\frac{\sin\omega}{\omega}e^{i\omega t}d\omega\\[5pt]
&=\frac{1}{\pi}\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\sin\omega}{\omega}e^{i\omega t}d\omega\end{align}$$
ここで$t=0$として、両辺に$\pi$を掛けると、
$$
\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\sin\omega}{\omega}d\omega
=\pi\mathrm{rect}(0)=\pi
$$
$\sin\omega/\omega$は偶関数であることと、積分変数を$\omega\mapsto x$に変えると、
$$
\int_{0}^{\infty}\frac{\sin x}{x}dx=\frac{\pi}{2}
$$
となって、求めたい積分が解けました。
このようにしていい感じに求まりました。今回の積分は、矩形関数のフーリエ変換の結果を知っていないと難しいですが、知っていればとても簡単に求まることが分かりますね。(知らない場合は、留数定理などでゴリゴリ計算しても出来ます。)
ドジコジさん
が様々な方法でこの積分を計算しているので、リンクを貼っておきます。今回の記事も一部参考にさせてもらいました。今回も面白い積分でしたね!
それではまた。