普通の Euclid 空間で曲線の長さを測る時、特に深く意識はしないことだが、もうちょっと高尚に多様体目線で見た時には、どこで長さが測られていると思えるのか気になったので少しまとめてみたい。
平面の中の原点
覚えていないが、たぶん中学の数学の範囲だったと思う。
ピタゴラスの定理
次に平面の中の適当に滑らかな曲線
と書かれているとする。
十分に大きな
この線分の長さの総和は
となって、ピタゴラスの定理に極小の距離の和が積分の形になる。たぶん高校の数学の範囲だったと思う。この極限値を曲線
折れ線近似
さて、
となる。ここで
ここで、
結局、オチとしては「接空間にいるので~」ということになって以下は大変つまらない内容である。ただ、普通にはどう考えても平面上の無限小のベクトルでしょとしか思えないが、一方で無限小のベクトルは厳密には書けないので、書けない以上は普通には存在していないとも言えるわけではある。
突如多様体
性質の良い
という定理があるようで( Ref. [1] 定理 13.13)、これを考えると大体の多様体は Euclid 空間の図形のような気もするし、Möbius の帯も紙工作できることから分かるように、3 次元空間、特に
とは言え、性質の良い場合の話なので、何でもかんでも Euclid 空間の中で考えるのも宜しくない(よく分からないという場合もあるだろうし)。ということで、多様体論は多様体の中で考えるのが基本であるだろう。
多様体の接空間という概念がある。多様体
接空間
先の曲線を 1 次元多様体と思うと、典型的には赤線のようなものを「接空間」のイメージ図とするのであろうが、あまりこのイメージが良くないこともあるし、「接束」を考える時に絵的にイマイチだと思うが、「長さ」の話をする時はこれでも良さそうなので、これにしておく。
さて、この曲線を多様体と思いたい。記号を流用して
でほぼほぼ自明な局所座標が入った多様体と考えられるだろう。素朴な曲線論のイメージを可視化したような図にしたが、この図からしても接ベクトルは多様体
突然難しそうなキーワードが出て来る。曲線の長さを測りたいというお話だったので、実は今まで考えていた多様体
という双線型写像であるが、多重線型代数の用語を用いてちょっとカッコイイ書き方をすると、
となってしまい、「
を導入できる。後は、何かしらの形で積分が定まれば多様体上の曲線の長さを測ることができるだろう。
無限小の接ベクトルの長さを測る
と言うことで、曲線を外側の空間を使って折れ線近似をして長さを測っているつもりが、気が付いたら接空間の中でベクトルの長さを測っていたのである。
多様体の話になったので何か特別な話をしている感じがするが、Euclid 空間もまた多様体として考えられるので、ここまでの話はすべて Euclid 空間にも適用できる。ではこの観点で見るとどうなるか?
Euclid 空間における曲線の長さ
少し見やすくするために
この記事はただの冗談である。途中で触れた「Whitney の埋め込み定理」によって、普通のシチュエーションならちょっと次元は高まるが Euclid 空間の中の図形として具現化されているはずである。なので、素直に多様体の外の領域を活用して折れ線近似で長さを測っていると思えば良いのではないだろうか。
あと、ここでも Copilot が総括してくれたが、そのお気持ちは狙いとちょっと違ったので棄却して、自分で書いた。