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【相対論】Newman-Penrose formalism 2

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相対論∩スピン幾何

  Newman-Penrose formalism 1 ではWeylスピノルのスピン接続の係数をα,β,...などで置いて、それらを元にnull tetradのリーマン接続の係数を導きました。しかし論理が逆の順序の方、すなわちnull tetradのリーマン接続からWeylスピノルのスピン接続を計算する方が素朴だと思います。またこちらの方がWeylスピノルから作られるnullベクトルを計算するために必要ないくらかの公式などを準備しなくても議論できるので論理としても経済的です。

null tetradのリーマン接続

 4次元時空(M,g)のo.n.f.を{e¯0,e¯1,e¯2,e¯3}としするとき、null tetrad {e1,e2,e3,e4}
e1=12(e¯1ie¯2)e2=12(e¯1+ie¯2)e3=12(e¯0+e¯3)e4=12(e¯0e¯3)
として定義します。行列表示すると以下のようになります。
(e1,e2,e3,e4)=(e¯0,e¯1,e¯2,e¯3)PP=(001212121200i2i200001212)

 
 また{e1,e2,e3,e4}のco-frameを{θ1,θ2,θ3,θ4}とすると、計量は
g=2(θ1θ2+θ3θ4)
と表されます。{e1,e2,e3,e4}に関するリーマン接続を
Γij:=g(ei,ej)=ΓjiΓijk:=g(ekei,ej)Γij=Γijkθk
で定義すると、
Γ12=Γ21=Γ12Γ13=Γ23Γ14=Γ24Γ34=Γ34
が成り立つことに注意すると、接続形式は
Γ=(0Γ12Γ13Γ14Γ120Γ13Γ14Γ13Γ130Γ34Γ14Γ14Γ340)
で与えられます。

スピン接続

 スピン接続を計算するためには、o.n.f.でのリーマン接続が必要なので、null tetradでの接続形式Γを行列Pで変換して、o.n.f. {e¯0,e¯1,e¯2,e¯3} での接続形式Γ¯を計算します。
Γ¯μν=g(¯eμ,e¯ν)=g(ei,ej)(P1)μi(P1)νj=Γij(P1)μi(P1)νj
となるので、
Γ¯=(0Γ132Γ142+Γ132Γ142i(Γ13Γ14Γ13+Γ14)2Γ34Γ132+Γ142Γ132+Γ1420iΓ12Γ132Γ142Γ132Γ142i(Γ13+Γ14+Γ13Γ14)2iΓ120i(Γ13Γ14+Γ13+Γ14)2Γ34Γ132+Γ142+Γ132+Γ142i(Γ13+Γ14Γ13Γ14)20)
となります。Weylスピノルのスピン接続が知りたいので、Clifford代数の表現としてはchiral表現を取ります。すなわち
γ0=(0II0), γ1=(0σ1σ10)γ2=(0σ2σ20), γ3=(0σ3σ30)σ1=(0110),σ2=(0ii0),σ3=(1001)
です。よってスピン接続の接続形式は
ΓS=14g(¯eμ,e¯ν)γμγν=(Γ122+Γ342Γ1400Γ13Γ122Γ3420000Γ122Γ342Γ1300Γ14Γ122+Γ342)
となります。

 
 (right-handed)Weylスピノルを
v=(10), u=(01)
と置くと、
v=12(Γ12+Γ34)v+Γ23uu=Γ14v+12(Γ12Γ34)u
となります。 Newman-Penrose formalism 1 の定義1のようにα,β,...を設定したければ、conventionを合わせるためにe1=m,e2=m¯,e3=l,e4=kと置いて、
12(Γ12+Γ34)=βθ1+αθ2+γθ3+ϵθ4Γ23=μθ1λθ2νθ3πθ4Γ14=σθ1+ρθ2+τθ3+κθ4
と置けばよいことが分かります。α,β,...やその符号をどのように配置するかは本質的ではないので、上記の3つの1-formの係数をどのように設定してもよいですが、上記のように置く流儀がよく見られます(符号は文脈や著者によって違うことがあります)。

まとめ

 4次元時空のWeylスピノルはSpin(1,3)=SL(2,C)の定義表現の同伴バンドルになっているわけですが、そのスピン接続とnull tetradのリーマン接続の明示的な関係式を与えました。

投稿日:11
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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