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大学数学基礎解説
文献あり

『代数函数論』定理1.1

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はじめに

やっと初めての定理に行きつきました.がんばりましょう.

定理の主張

近似定理

$\nu_1,\nu_2,\cdots,\nu_n$を互いに同値でない$K$の付値,$x_1,\cdots,x_n$$K$の任意の元とする.このとき,任意の自然数$m$に対して$K$の元$x$が存在して,
$$\nu_i(x-x_i)>m,\quad (i=1,2,\cdots,n)$$
が成り立つ.

これはなぜ近似定理というのか考えると,まず,$\nu(0)=\infty$だったことを思うと,なんとなくですが,"$\nu_i(x-x_i)=\nu_i(0)$"のような感じ.つまり付値の上では$x$$x_i$が近似できているというような気がします.多分そんな感じなんでしょう.よく分かりませんがきっとそうなのでしょう.

定理の証明に使う補題を載せておきます.証明は以前の記事[2]を見てみてください.

$\nu_1,\cdots,\nu_n(n\geq2)$を互いに同値でない$K$の付値とすれば,$K$の元$x$が存在して,
$$\nu_1(1-x)>0,\quad \nu_2(x)>0,\quad \cdots,\quad \nu_n(x)>0 $$
が成り立つ.

定理の証明

補題2より,
$$\nu_i(1-a_i)>0,\quad \nu_j(a_i)>0\quad (j\neq i)$$
となるような$a_1,\cdots,a_n$がとれます.$N$を十分大きな自然数として
$$x=\sum_{i=1}^nx_i(1-(1-a_i^N)^N)$$
とおけば,例えば
$$\nu_1(x-x_1)\ge \min(\nu_1(x_1(1-a_1^N)^N),\nu_1(x_2(1-(1-a_2^N)^N)),\cdots,\nu_1(x_n(1-(1-a_n^N)^N)))$$です.
$\nu_1(x_1(1-a_1^N)^N)=\nu_1(x_1)+N\nu_1(1-a_1^N) $で,$\nu_1(1-a_1^N)=\nu_1(1-a_1)+\nu_1(1+a_1+\cdots+a_1^{N-1})\ge 1 $です.
一方,$\nu_1(x_2(1-(1-a_2^N)^N))=\nu_1(x_2)+\nu_1(1-(1-a_2^N)^N)$.よって,$\nu_1(1-(1-a_2^N)^N)$を考えます.$\nu_1(a_2)>0$でした.よって$\nu_1(1-(1-a_2^N)^N)=\nu_1(1-(1-a_2^N))+\nu_1(1+(1-a_2^N)+\cdots+(1-a_2^N)^{N-1})$で,これの$1$項目は$N\nu_1(a_2)$で,$2$項目は$0$以上であることが分かります.
以上から$N$を十分大きくすれば,$\nu_1(x-x_1)>m$であることが分かりました.
他の数字についても同様です.

おわりに

思ったよりも難しくなかった...ような気がします.ここまで見ていただきありがとうございました.

参考文献

投稿日:27日前
更新日:27日前

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投稿者

はじめまして!楽しい記事を書ければと思いますので、よろしくお願いします。

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