記事を開いていただきありがとうございます。
今回は以下の問題を証明していきます。
ガウス整数環の剰余環が体になる, という問題ですが, 初めてみたときはよくわかりませんでした。直感的な理解は,ごててんさんの記事(
https://mathlog.info/articles/2088
) が最強にわかりやすいので, こちらを参考にしてみてください。
環
整数全体の集合は, 通常の加法と乗法に関して可換環になる。
は複素数の加法と乗法に関して可換環になる。これを, 「ガウス整数環」という。
を, 整数係数の多項式全体と定めると, 多項式の加法と乗法に関して可換環になる。
使う定理や命題など
この節では, この記事で用いる定理や命題を列挙していきます。
一般に, イデアルの像はイデアルとは限りませんが, 次の命題が成り立ちます。
が環の全射準同型ならば, イデアルに対して, はのイデアルである.
準同型定理です。証明は, お手持ちの本などでみてください。
準同型定理
を環の準同型とするとき,
が成り立つ。特に, が全射なとき,
が成り立つ。
次の命題がこの問題を解く際のポイントになります。
をのイデアル, を環の全射準同型とする。このとき, ならば,
が成り立つ。
を, で定めると, が全射準同型であることから, も全射準同型になる。
・とする。より,である。よって, , すなわち,
・とする。であるから,
以上より,である。準同型定理から,
最初の問題の証明
それでは, 以上の命題を使って初めの同型を示してみましょう。
第一段階
と定めると, は全射準同型になります。また, です。
ここで, のイデアルを考えてみましょう。となるのイデアルを見つければ, 上の命題3が適用できそうです。
としたくなりますが, 命題3の仮定を見直すと, ならば, とあります。これをふまえると, とおくのが良さそうですね。
これらのイデアルとに命題3を適用すれば,
が得られます。
第二段階
次に, であることから, 準同型を考えます。とすれば, は全射準同型, となるので, 上の命題が適用できそうです。
実際, となるので, 命題3より,
となりますね。
第三段階
以上, 第一段階と第二段階を合わせると,
が言えました!
他のイデアルも見てみる
次は, のイデアルを見てみましょう。
第一段階
先ほどと同じように, と定めると, は全射準同型になります。また, です。
今度はをどのように定めれば良いでしょうか。を含み, となるようにするには, とすれば良さそうですね。命題3より,
が得られます!
第二段階
次に, 準同型を考えます。しかし, がを含むような全射準同型はなかなか見つかりません。そこで, が次のようなイデアルを含むことに注目します。
すると, と定めたくなりますよね!?その通りです。ですから, このイデアルとに命題3を適用しましょう。ですから,
が得られます!
第三段階
以上, 第一段階と第二段階を合わせると,
が言えました!
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。この方法を使えば, の素元が簡単に判別できますね。ノルムを考えるという方法もありますので, 気になる人は調べてみてください。
誤っている部分があれば, コメントで教えてくださると嬉しいです!