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現代数学解説
文献あり

Cooper-Hirschhornの恒等式

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[a;q]=(a,q/a;q),[a1,,ar;q]:=[a1;q][ar;q]とする. 無限積の三項関係式 は以下のように表される.

A2=bcdeのとき,
[A/b,A/c,A/d,A/e;q][b,c,d,e;q]=b[A,A/bc,A/bd,A/be;q]
が成り立つ.

この等式の応用として, 以下の恒等式を示す.

Cooper-Hirschhorn(2001)

nZqn2+nZq2n2=2(q3,q5,q8;q8)(q,q4,q7;q8)nZqn2nZq2n2=2q(q,q7,q8;q8)(q3,q4,q5;q8)

二つの等式,
nZqn2=(q3,q5,q8;q8)(q,q4,q7;q8)+q(q,q7,q8;q8)(q3,q4,q5;q8)nZq2n2=(q3,q5,q8;q8)(q,q4,q7;q8)q(q,q7,q8;q8)(q3,q4,q5;q8)
を示せばよい. Jacobiの三重積 より,
nZqn2=(q,q,q2;q2)=(q2;q2)(q2,q2;q4)(q,q;q2)=(q2,q2,q2,q4,q6,q6,q6,q8;q8)(q,q,q3,q3,q5,q5,q7,q7;q8)
よって1つ目の等式は
(q2,q2,q2,q4,q6,q6,q6,q8;q8)(q,q,q3,q3,q5,q5,q7,q7;q8)=(q3,q5,q8;q8)(q,q4,q7;q8)+q(q,q7,q8;q8)(q3,q4,q5;q8)
つまり,
(q2,q2,q2,q4,q4,q6,q6,q6;q8)=(q,q3,q3,q3,q5,q5,q5,q7;q8)+q(q,q,q,q3,q5,q7,q7,q7;q8)
を示せば良い. これは
[q2,q2,q2,q4;q8]=[q,q3,q3,q3;q8]+q[q,q,q,q3;q8]
と表され, 定理1において, qq8,A=q5,b=q,c=d=e=q3として従う. 2つ目の等式は Jacobiの三重積 より,
nZq2n2=(q4;q4)(q4,q4;q8)(q2,q2;q4)=(q4,q4,q4,q8;q8)(q2,q2,q6,q6;q8)
であるから,
(q4,q4,q4,q8;q8)(q2,q2,q6,q6;q8)=(q3,q5,q8;q8)(q,q4,q7;q8)q(q,q7,q8;q8)(q3,q4,q5;q8)
つまり,
(q,q3,q4,q4,q4,q4,q5,q7;q8)=(q2,q2,q3,q3,q5,q5,q6,q6;q8)q(q,q,q2,q2,q6,q6,q7,q7;q8)
を示せば良い. これは
[q,q3,q4,q4;q8]=[q2,q2,q3,q3;q8]q[q,q,q2,q2;q8]
と表され, 定理1において, A=q6,b=q,c=q3,d=e=q4として従う. よって定理が示された.

参考文献

[1]
Shaun Cooper, Michael Hirschhorn, On some infinite product identities., Rocky Mountain J. Math., 2001, 131-139
投稿日:24日前
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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