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大学数学基礎解説
文献あり

極座標ラプラシアンの割とラクな計算法(高次元)

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はじめに

前の記事 では2次元の極座標ラプラシアンを計算しましたが,今度は3次元以上のものも効率的に計算してみます.今回は意地でも微分計算をしたくなかったので,前記事の結果を少し引用します.

2次元の復習

極座標変換x=rsinθ,y=rcosθのもとで,
rr=xx+yy,θ=yxxy
r22x2+r22y2=r22r2+rr+2θ2
となるのでした.なお,高次元への拡張を意識してxyをいれかえていますが,やってることは 前の記事 と同じです.
今後のために,もう1つ式を導出します.上段の2式からyを消去して
xrr+yθ=x2x+y2x=r2x(x2+y2=r2)
rsinθx=rr+1tanθθ()

3次元Ver.

ラプラシアン2x2+2y2+2z2を,極座標変換x=rsinθsinϕ,y=rsinθcosϕ,z=rcosθのもとで書きかえます(通常の記法とxyが逆なので注意).
w=rsinθとおいてみます.x=wsinϕ,y=wcosϕですが,これは2次元の極座標変換に他ならないので,既知の結果から
w22x2+w22y2=w22w2+ww+2ϕ2
となり,両辺1/sin2θ倍して
r22x2+r22y2=r22w2+rsinθw+1sin2θ2ϕ2(1)
とします.一方w=rsinθ,z=rcosθであり,これも極座標変換なので,
r22w2+r22z2=r22r2+rr+2θ2(2)
が成り立ちます.(1)(2)からr22w2を消すと,
r2(2x2+2y2+2z2)=r22r2+rr+2θ2+rsinθw+1sin2θ2ϕ2
となります.wの項が残っていますが,序盤で導いた()w,zの極座標変換に適用した
rsinθw=rr+1tanθθ
を使うと,最終的に
r2(2x2+2y2+2z2)=r22r2+2rr+2θ2+1tanθθ+1sin2θ2ϕ2
2x2+2y2+2z2=2r2+2rr+1r22θ2+1r2tanθθ+1r2sin2θ2ϕ2
が得られます.
2次元の結果をフルに活用して,3次元ラプラシアンの極座標表示を手際よく導出できました!

4次元Ver.

ここまで低次の結果をうまく使えるケースもなかなかないので,せっかくならより高次のラプラシアンも極座標表示してみようと思います.
まずは小手調べで4次元をやってみます.4次元の極座標変換は
x1=rsinθ1sinθ2sinθ3,x2=rsinθ1sinθ2cosθ3,
x3=rsinθ1cosθ2,x4=rcosθ1
です.3次元のときと同じように,w=rsinθ1とおいて考えればよさそうです.
x1=wsinθ2sinθ3,x2=wsinθ2cosθ3,x3=wcosθ2なので,3次元の結果から
w2(2x12+2x22+2x32)=w22w2+2ww+2θ22+1tanθ2θ2+1sin2θ22θ32
となり,両辺1/sin2θ1倍して
r2(2x12+2x22+2x32)=r22w2+2rsinθ1w+1sin2θ1(2θ22+1tanθ2θ2)+1sin2θ1sin2θ22θ32
としておきます.一方,w=rsinθ1,x4=rcosθ1から,2次元の結果を使えて
r22w2+r22x42=r22r2+rr+2θ12
rsinθ1w=rr+1tanθ1θ1
なので,以上をまとめて
r2(2x12+2x22+2x32+2x42)=r22r2+rr+2θ12+2(rr+1tanθ1θ1)+1sin2θ1(2θ22+1tanθ2θ2)+1sin2θ1sin2θ22θ32=r22r2+3rr+2θ12+2tanθ1θ1+1sin2θ1(2θ22+1tanθ2θ2)+1sin2θ1sin2θ22θ32
となります.だんだん式が長くなってきましたが,やることは3次元のときとほぼ同じでしたね.

n次元Ver.

ここまでくると意地の領域ですが,n次元でもラプラシアンを極座標表示してみます.まず,n次元の極座標変換は
x1=rsinθ1sinθ2 sinθn2sinθn1,x2=rsinθ1sinθ2 sinθn2cosθn1,x3=rsinθ1sinθ2sinθn3cosθn2,xn1=rsinθ1cosθ2,xn=rcosθ1
です.例のごとく,w=rsinθ1とおいてn1次元の結果を使いたいので,帰納法でやることにします.
置き換えによって得られるn1次の極座標変換は
x1=wsinθ2sinθ3 sinθn2sinθn1,x2=wsinθ2sinθ3 sinθn2cosθn1,x3=wsinθ2sinθ3sinθn3cosθn2,xn2=wsinθ2cosθ3,xn1=wcosθ2
です.2次元の極座標変換w=rsinθ1,xn=rcosθ1からは
r22w2+r22xn2=r22r2+rr+2θ12(3)
rsinθ1w=rr+1tanθ1θ1(4)
が出るのでした.
よって,これまでの結果や再帰の流れを考えると,n次元の極座標ラプラシアンが
r2i=1n2xi2=r22r2+(n1)rr+i=0n21(sinθ0sinθi)2(2θi+12+ni2tanθi+1θi+1)
と書けることが予想されます.ここで,θ0=π/2としています.
さっそくinduction stepに入りましょう.n1次の極座標変換では,rwに変わり,θ1が抜けていることから,
w2i=1n12xi2=w22w2+(n2)ww+i=1n21(sinθ0sinθ1^sinθi)2(2θi+12+ni2tanθi+1θi+1)
となります.ここで,t0,,tj^,,tNtjを除くという意味です.両辺に1/sin2θ1をかけて
r2i=1n12xi2=r22w2+(n2)rsinθ1w+i=1n21(sinθ0sinθ1sinθi)2(2θi+12+ni2tanθi+1θi+1)
とし,(3)(4)を使うと
r2i=1n2xi2=r22r2+rr+2θ12+(n2)(rr+1tanθ1θ1)+i=1n21(sinθ0sinθ1sinθi)2(2θi+12+ni2tanθi+1θi+1)=r22r2+(n1)rr+i=0n21(sinθ0sinθi)2(2θi+12+ni2tanθi+1θi+1)
となるので,n次元でも成り立つことが言えました.

おわりに

当初は思いついた2次元のものだけを書く予定でしたが,歯切れが悪いので,高次元Ver.も書くことにしました(笑).3次元以降は一切微分の計算をしていないことからもわかる通り,必要な計算をうまく2次元に押し込められているわけですね.

参考文献

[1]
杉浦光夫, 解析入門I, 基礎数学2, 東京大学出版会, 1980
投稿日:202415
更新日:202416
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  1. はじめに
  2. 2次元の復習
  3. 3次元Ver.
  4. 4次元Ver.
  5. $n$次元Ver.
  6. おわりに
  7. 参考文献