putputlaw さんの Fibonacci trace formula の記事で、k-ナッチ数とk-リュカ数を行列のトレース(斜め方向の和)で表現する方法を教えていただきました。その行列表現を計算していて、双対というべき美しい関係を見つけたので、この記事ではその関係を紹介したいと思います。
今から紹介する行列式の表現には、
漸化式が成り立つようにマイナス項を定めると一意に定まり、次のようになります。
次のような行列を考えます。
転置行列はこんな感じになります。
転置行列を使うと、
繰り返し
この記事では行列のトレース(対角和)を
のように書きます。行列のトレースとは、正方行列の左上から右下方向の成分の和で、行列の固有値の和に一致するなど面白い性質があります。たとえば、
となります。
また、行列の固有多項式を
のように書きます。具体的には
となり、k-ナッチ数の漸化式ととてもよく似た形になります。また、固有多項式の導関数を
のように書きます。
トレース、固有多項式及び固有値を使うと、次のような表現ができます。
行列のトレースの表現と、固有値の表現がキレイに対応していますね!
さらに、具体的に
まずは計算結果を示しますので、法則性をさがしてみてください。
それでは私が見つけた法則性を紹介します。
この記事を投稿した当初は、私自身では証明していなかったので上記の式は「予想」だったのですが、投稿してすぐに
子葉
さんが
重解のない固有方程式を持つ数列の行列表現とその成分
の記事でこの予想が正しいことを一般化したうえで(!)証明していただきました。
ありがとうございます!
複雑そうな式がどんどん簡単になっていく様子が楽しいので、そちらの記事もぜひご覧ください!