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大学数学基礎解説
文献あり

Don@ld氏の第4.5問を解く

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Don@ld氏の第4.5問( https://mathlog.info/articles/1759 ) を解いていきたいと思います.
I=eπteπt2((4t)2+15)coseπt28tsineπt2((4t)2+15)2+(8t)2dt

前回の記事( https://mathlog.info/articles/1763 ) 同様, 以下の関数を定義しておきます.

η(α,z):=0eiαxlnxzdx

まず, 前回の記事の定理1,2をまとめます.

0argβπとする. 左辺の二つの項が収束するならば,
η(α,z)βη(αβ,zlnβ)={2πiez+iαez,(0Imzargβ)0,(otherwise)

0<βが実数のときは, β倍の置換をするだけなので, ηが収束するためには0argαπが必要であることに注意し, 前回の記事の定理2を2回用いることで, 定理を得る.

よって, 特にzの虚部の符号が変わらないならば,
η(α,z)=βη(αβ,zlnβ)
であることがわかります. 早速問題を解いていきます.
I=eπteπt2((4t)2+15)coseπt28tsineπt2((4t)2+15)2+(8t)2dt=Reeπt1i2eπt1(4t)2+158itdt=Reeπt+ieiπ/4eπt1(4t+3i)(4t5i)dt=1πRe0eieiπ/4x(4lnxπ+3i)(4lnxπ5i)dx=π16Re0eieiπ/4x(lnx+i3π4)(lnxi5π4)dx=132Im0(eieiπ/4xlnxi5π4eieiπ/4xlnx+i3π4)dx=132Im(η(eiπ/4,5π4)η(eiπ/4,3π4))
ここで, 定理1を用いて,
132Im(η(eiπ/4,5π4)η(eiπ/4,3π4))=132Im(eiπ/4(η(i,π)η(i,π)))=132Im(eiπ/40(exlnxiπexlnx+iπ)dx)=π16Im(ieiπ/40exln2x+π2dx)=π1620exln2x+π2dx
前回の記事の結果より, FをFransén–Robinson constantとして,

0exln2x+π2dx=Fe
なので,
I=π162(Fe)
と求めることができました.

参考文献

投稿日:2021218
OptHub AI Competition

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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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