問題
を実数とする。
を満たす関数にはどんなものがあるだろうか?
前回、を実数として、を満たす実関数を考えてみました。
一般解は求めることができなかったものの、がで解析的と仮定しても任意定数が無限に必要でした。
さらに、解析的でない関数もいろいろ考えられることがわかりました(前回記事内コメント欄参照)。
今回はを考えてみましたが、やはり一般解はわかりませんでした。。。
(もちろん、WolframAlphaも求めてくれません。)
それどころか、の値によっては、定数関数以外の特殊解がさっぱりわからないものまで・・・
一旦、わかる範囲のことを以下に書きます。
は微分可能なので、も微分可能で、したがっても微分可能です。
両辺微分してとなり、も微分可能なので、も微分可能です。
同様に繰り返せば、は無限回微分可能です。
具体的に一般解が求まる場合
のとき
このときは、方程式はとなるので、両辺を積分し、
となりますが、
を代入するとになるので、
が一般解となります。
これ、スケール変化というか、ただの次関数です・・・
(青線)と(赤線)のグラフ
a=0
のとき
これはスケールが変わらないやつです。
このときは、となり、微分方程式の中でも一番基本的な変数分離の問題になります。
定数関数が特殊解になるのは明らかなので、
を仮定して、両辺で割ると、
両辺積分して
よって、
の場合も含めて定数を置き換えると
という一般解が得られます。
(青線)と(赤線)のグラフ。2つの曲線は重なっている。
a=1
のとき
このときは、となりますが、
この微分方程式について、以前記事を作っています。
ざっくり説明すると、は階微分可能なので、
を両辺微分して、
これは階斉次微分方程式で、解は
となりますが、
これがを満たすためにはでなければならず、結局は
が一般解であることがわかります。
(青線)と(赤線)のグラフ
a=-1
一般解がよくわからなかったやつについて解析的な解を調べる
以外の場合はよくわかりませんでした。
ひとまず、は無限回微分可能なので、は解析的だと仮定して解を調べてみます。
を求めます。
より、
より、
より、
より、
繰り返すと、より、です。
したがって、
となります。(では、ではと約束します。)
のとき
のとき、ダランベールの判定法から、は収束します。
とすると、
が解になります。
この冪級数を何かの初等関数や特殊関数で表せないのかな?と思ってWolframAlphaで調べましたが、何も出てきませんでした。残念・・・
さらに、が解析的であることを仮定してこの解が得られているので、他に非解析的な解がある可能性があります。
(青線)と(赤線)のグラフ。
ただし、GeoGebraに関数の無限和は扱えないので、までの和にしている。
a=1/2
(青線)と(赤線)のグラフ。
上と同様、までの和にしている。
a=-1/2
のとき
のとき、
ならば、が出ますが、
のときはの収束半径がになります。
つまり、を満たす解析的な解はしかありません。
非解析的な解ってあるんだろうか・・・
またはのときは非解析的な解がある可能性があります。
で冪級数展開できない解を構成するには、色々と変なことを考える必要が出てくるわけです。
のときの非解析的な解を構成しようとしてみた
とりあえず、としましょう。
まず、の区間で、無限回微分可能関数を決めます。
すると、でが決まり、が決まり、
でが決まります。
同様に、,,と決まっていき、まで決まります。
逆に積分を考えることで、,,も決まります。
最終的にの範囲まで決定できます。
同じようにの区間でを決めることで、も決まり、は両側の極限で定義すればいいのです。
ただし、でも無限回微分可能になるように、いい感じにくっつける必要があります。
そのため、どう構成しようかと悩んでるのが現状です。
その他わかること
(証明)
まず、閉区間において、恒等的にであることを背理法で証明します。
が閉区間でと仮定します。
すると、となるがありますが、
の解に対して、定数倍、特に倍のもまた解になっているので、
としても一般性は失いません。
次に、区間の部分集合で、を満たすの集合を用意します。
この集合は、必ずを要素に持つので空集合ではありません。
とすると、
は連続なので、です。
さらに、を満たします。
さて、
は両辺積分して、
と表すことができます。
ここではなので、となります。
を不等式で評価すると、
つまり、となって矛盾します。
したがって、閉区間において、恒等的にです。
続いて、範囲を広げて上のでになることを証明します。
のを改めてとすることで、
となります。
ならば、なので、です。
これは、においてであることを意味します。
変数の置き換えを繰り返すことで、が言える範囲がと広がり、
最終的に上のでになることがわかります。
さいごに
自分の予想としては、
となる非解析的な解はなく、
ならばのときに非解析的な解がある
と思っています。
どなたかご存じの方は教えてください。