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積分botを解けるだけ解く, その8

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前回( https://mathlog.info/articles/1938 )

71個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361758110138908672 )

01tan12+x22+x2(x2+1+255)dx=5(71π23600+π3tan19453π6tan127125)01tan12+x22+x2(x2+1255)dx=5(241π23600+π3tan19+453π6tan127+125)

これはよくわからない式ですね. とりあえず, 少し計算してみると,
01tan1a2+x2a2+x2(c2+x2)dx=01011(1+(a2+x2)y2)(c2+x2)dydx=01011(1+a2y2+x2y2)(c2+x2)dxdy=01y1+a2y2tan1y1+a2y21ctan11cc2y2(1+a2y2)dy
となり, 第2項は不定積分により計算できる. 第1項をいろいろ置換してみると,
01y1+a2y2tan1y1+a2y2c2y2(1+a2y2)dy=0sinh1asinhxtan1tanhxac2sinh2xa2cosh2xdx=11+a2tan1x21ax(c2a2)x2c2dx=1/1+a21tan11x2ac2a2c2x2dx
やはりよくわかりませんね.

72個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361770076379119617 )

0xs1(1πx+1cothπx)dx=secπs2ζ(1s),0<Re(s)<1

Mellin変換ですね.

少し前の記事( https://mathlog.info/articles/1929 ) の命題8より, Mellin inversion theoremから, 0<Re(s)<1で,
0xs1(1πx+1cothπx)dx=21sπsΓ(s)ζ(s)
Riemannゼータ関数の関数等式,
ζ(s)=2sπs1sinπs2Γ(1s)ζ(1s)
とガンマ関数の相反公式をもちいると,
21sπsΓ(s)ζ(s)=2πsinπs2Γ(s)Γ(1s)ζ(1s)=2sinπs2sinπsζ(1s)=secπs2ζ(1s)
よって, 示された.

73個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361770635265982464 )

571(π3tan12x213x22)tan1x(3x21)2x21dx=π32016

いや, 無理だろこれ. 次いこう.

74個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361785135801143298 )

f(x+π)=f(x)であるとき,
f(x)sin2xx2dx=0πf(x)dx

これはおもしろいですね.

まず, 三角関数の部分分数展開より,
nZ1(x+πn)2=1sin2x
がであることを確認しておく.
f(x)sin2xx2dx=nZnπ(n+1)πf(x)sin2xx2dx=nZ0πf(x)sin2x(x+nπ)2dx=0πf(x)sin2xnZ1(x+nπ)2dx=0πf(x)dx

75個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361788250633998338 )

sincxdx=n=sincn=πsinckxdx=n=sinckn

なにこれすごい. sincx:=sinxxと定義されるようですね. とりあえず, 最初のはよく知られたDirichlet積分なので, 2つ目の一般式を示せば十分です. 絶対うまい方法がある形をしてるので, それを考えていきたいと思います. と思ったら, よく考えたらこれkで積分の方は0に, 級数の方は1にいくので, 十分大きいkでは成立しませんね. ではいくつまでならあってるんでしょうか, 数値計算の結果, k6のとき, 上の式が成立することが確からしいと思いました.

k6とする. Poisson和公式より,
nZsinckn=nZe2πinxsinckxdx=sinckxdx+20<ncos2πnxsinckxdx=sinckxdx+1π0<n1ncosxsinckx2πndx
ここで, 正数aia1++ak<1を満たすとき,
cosxi=1ksincaixdx=0
であることを示せば, |k2πn|k2π<1より, 第2項はすべて0となり証明が完了する. k=1のとき, 0a<1に対し,
cosxsinaxxdx=12sin(1+a)xsin(1a)xxdx=0
より, 成立. k=rの場合について成立するとして, k=r+1の場合を示す. 正数ai,ba1++ar+ar+1<1を満たしているとすると, 0bar+1に対し,
cosxcosbxi=1rsincaixdx=12cosxsin(ar+b)x+sin(arb)xarxi=1r1sincaixdx
ここで, a1++ar1+|arb|a1++ar1+(ar+b)<1だから, 帰納法の仮定より, これは0になる.
cosxcosbxi=1rsincaixdx=0
bについて, 0からar+1まで積分することにより, 示された.

76個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361807845730234369 )

Aを正定値とするとき,
RneAx,xdx=|det(π1A)|1/2=πn/2|detA|1/2

ここにきて行列が入った式がきました. 正定値というのは二次形式
Ax,x=i,j=1naijxixj
xRによらず常に正になるということで, これは固有値が全て正であることと同値であることが知られています.

Aの固有値をλ1,,λnとする. 直交行列P
P1AP=(λ1λ200λn1λn)
となるようにとる. 変数変換xPxにより,
RneAx,xdx=Rneλ1x12λnxn2dx=i=1neλixi2dxi=i=1nπλi=πn/2(λ1λn)1/2=πn/2|det(A)|1/2=|det(π1A)|1/2

77個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361818500214513665 )

n=cosπ1+n2a2+n2cosπ1+x2a2+x2dx=2πcosπ1a2a(e2πa1)

留数定理っぽい気はするんですが, わかりません.

78個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361829793558376450 )

01(1lnx+11x)2dx=ln2π32

とりあえず, Mellin変換するとできますね.

まず,
01(1lnx+11x)2dx=0ex(1x11ex)2dx
ここで, Mellin変換を考えると,
0xs1ex(1x1ex)2dx=0xs1exdx20xsex1dx+0xs+1ex(1ex)2dx=Γ(s)2Γ(s+1)ζ(s+1)+Γ(s+2)ζ(s+1)
より,
0xs1ex(1x1ex)2dx=Γ(s)(12sζ(s+1))+Γ(s+2)ζ(s+1)
ここで, 解析接続により, s1として, ζ(0)=12,ζ(0)=12ln2πを用いて,
0ex(1x11ex)2dx=lims1(Γ(s)(12sζ(s+1))+Γ(s+2)ζ(s+1))=lims1Γ(s+2)s(s+1)(12sζ(s+1))+ζ(0)=3ζ(0)2ζ(0)=ln2π32
これを先ほどの式に代入すればよい.

79個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361863739369263106 )

0π/3ln2sinxsin(π3+x)dx=5π381

かなり考えましたが, わかりませんでした. (多重ポリログにばらすという方法があるものの, 右辺が綺麗なのでそれは上手くないですね.)

80個目( https://twitter.com/integralsbot/status/1361877665305788417 )

01112+21x2+x4dx=Γ(17)Γ(27)Γ(47)8π7

第1種完全楕円積分K(k7)の値に似ているとは思いましたが, どう変換するのかは全く分かりません.

今回半分しか解けなかった, 難しいですね. 100個示せたら, 解けなかったやつの証明を探しにいきたいと思います.

投稿日:2021313
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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