この記事では数論とかでよくみる便利なテクニックを紹介します。
アーベルの総和公式とは次のような公式のことを言うのでした。
$f$を$C^1$級関数としたとき、$A(x)=\sum_{0\leq n\leq x}a_n$とおくと、
$$\sum_{0\leq n\leq x}a_nf(n)=A(x)f(x)-\int^x_0A(t)f'(t)dt$$
が成り立つ。
これを一般化したものとして以下の主張が成り立ちます。
$A\subset\R_{\geq0}$を任意の切片が有限となる集合、$g$を$C^1$級関数としたとき、$F(x)=\sum_{\substack{a\in A\\a\leq x}}f(a)$とおくと、
$$\sum_{\substack{a\in A\\a\leq x}}f(a)g(a)=F(x)g(x)-\int^x_0 F(t)g'(t)dt$$
が成り立つ。
\begin{eqnarray} \sum_{\substack{a\in A\\a\leq x}}f(a)g(a) &=&\sum_{\substack{a\in A\\a\leq x}}f(a)\l(g(x)-\int^x_a g'(t)dt\r) \\&=&\sum_{\substack{a\in A\\a\leq x}}f(a)g(x)-\int^x_0\sum_{\substack{a\in A\\a\leq t}}f(a)g(t)dt \\&=&F(x)g(x)-\int^x_0 F(t)g'(t)dt \end{eqnarray}
例えば$A$を素数全体を$\P$とし$f(p)=1,\;g(x)=\log x$とおくと、素数計数関数とチェビシェフ関数
$$\pi(x)=\sum_{p\leq x}1,\quad\vt(x)=\sum_{p\leq x}\log p$$
との関係を示す式
$$\vt(x)=\pi(x)\log x-\int^x_2\frac{\pi(x)}xdx$$
が得られる。
同様の例は
この記事
にてまとめられている。
同様に
$$A=\{p^n\mid p\in\P,\;n=1,2,3,\ldots\}$$
とし$f(p^n)=\log p,\;g(x)=x^{-s}$とおくとゼータ関数とチェビシェフ関数
$$-\frac{\z'(s)}{\z(s)}=\sum_{p}\sum^\infty_{n=1}\frac{\log p}{p^{ns}},\quad
\psi(x)=\sum_{p^n\leq x}\log p$$
との関係を示す式
$$-\frac{\z'(s)}{\z(s)}=s\int^\infty_1\psi(x)x^{-s-1}dx$$
が得られる。
これは
素数公式
を導出するのに重要な式となっている。
少し変則的だが$A$をリーマンゼータ関数の非自明な零点のうち虚部が正のもの全体
$$A=\{\rho\in\C\mid\z(\rho)=0,\;\Im(\rho)>0\}$$
とし
$$N(T)=\sum_{0<\Im(\rho)\leq T}1$$
とおくと
$$\sum_{\Im(\rho)>0}\frac4{4\Im(\rho)^2+1}=\int^\infty_0N(t)\frac{32t}{(4t^2+1)^2}dt$$
といった等式が得られる。
これはリーマン予想と同値な
Volchkovの等式
を導出するのに重要な式となっている。