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大学数学基礎解説
文献あり

ベクトル、ノルム、内積空間と中線定理

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はじめに

こんにちは、AGAです。
本記事は Mathlogアドベントカレンダー2021 の12/4の記事として書かれています。Googleアカウントを急いで作ったのでアドベントカレンダーはA AGとなってます。
12/3は 龍孫江 さんの イデアルの密着閉包と計算例 でした。

の定義は知っているものとします

やりたいこと

(V,)がノルム空間であり中線定理を満たす。
(V,,)が内積空間かつ、
任意のxVについてx2=x,x

これを導きます

ベクトル空間

ベクトル空間

(V,+,e)が体(F,+,0,×,1)上のベクトル空間とは以下の公理を満たすものである。
任意のa,bF,x,yVについて

  1. axV
  2. (V,+,e)は可換軍群である
  3. (a+b)x=ax+bx
  4. a(x+y)=ax+ay
  5. a(bx)=(ab)x
  6. 1x=x

ベクトル空間のことを線形空間ともいいます

以下特に断りのない限り、本記事では
Vを実数体R(普通の実数とその四則演算)上のベクトル空間とします。
また、(V,+,e)を単にVと書くことが多くことが多いので本記事でもそうします。

ノルム空間、内積空間

ノルム空間

(V,)がノルム空間であるとは、
以下の公理をみたすものである。
任意のaR,x,yVについて

  1. xR
  2. x0,x=0x=e
  3. ax=|a|x
  4. x+yx+y

ノルム空間はノルム線型空間、ノルム付きベクトル空間、ノルム付き線型空間ともいいます。

内積空間

(V,,)が内積空間であるとは、
以下の公理をみたすものである。
任意のaR,x,y,zVについて

  1. x,yR
  2. x,x0,x,x=0x=e
  3. x,y=y,x
  4. ax+y,z=ax,z+y,z

内積空間は計量ベクトル空間ともいいます。

中線定理

中線定理

内積空間(V,,)に対して
x=x,xと定義したとき
x+y2+xy2=2(x2+y2)

x+y2+xy2
=x+y,x+y+xy,xy
=x,x+2x,y+y,y+x,x2x,y+y,y
=2(x,x+y,y)
=2(x2+y2)

本題の証明

定理1の言いかえ

(V,)がノルム空間であり
x+y2+xy2=2(x2+y2)を満たす。
(V,,)が内積空間
(ただし、任意のxVについてx=x,xとする)

について
式自体は証明したのでこれがノルム空間になることを示す
1.2.自明
3.ax=ax,ax=a2x,x=|a|x,x=|a|x
4.x+y=x+y,x+y=x,x+2x,y+y,yx,x+2x,xy,y+y,y=x,x+y,y=x+y

ただし、 コーシー=シュワルツの不等式 を途中で用いた

について
x,y=14(x+y2xy2)
とするとき

  1. 自明
  2. x,x=14(x+x2xx2)=x20
    x,x=0のとき、14(x+x2xx2)=0
    x2=0
    x=0
    x=e
  3. xy=|1|yx=yxから明らか
  4. 中線定理から
    14(x+y2xy2) =12(x+y2x2y2)=12(x2+y2xy2)
    上とノルムの公理からαx,yαx,y0が導ける
    これのx,yx,yにし、x,y=14(x+y2xy2)=14(xy2x+y2)=x,yを用いるとαx,yαx,y0が導ける。
    つまりαx,yαx,y=0
    αx,y=αx,y

以上から同値性が示せた。

おわりに(追記)

最後のほうは急いで作ったので雑になってます。
またいつか直すかもしれません。
12/9追記しました。それでもわかりにくいことがあるかもしれません
一応参考文献に詳しいことは載っています。

参考文献

投稿日:2021123
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投稿者

AAG
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抽象代数学とか好きなB1。気分屋です。 (元の名前:AGA) 厳密にテキトーにやってます。 基本検算しません。 間違いがあったら容赦なく指摘してください。

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  1. はじめに
  2. やりたいこと
  3. ベクトル空間
  4. ノルム空間、内積空間
  5. 中線定理
  6. 本題の証明
  7. おわりに(追記)
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