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Generalized Hankel Transform 続編

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前回の記事ではGHTのLie群構造と積分表示と微分演算子による表示を見てきた。今回は GHT(これの続き) のさらなる性質や公式を見ていくことにする。

Hankel変換の図形的イメージについて

標語的に言えばHankel変換とは球対称関数の多次元Fourier変換の動径方向である。X=(x1,,xn),=(1,,n),i=xiとする。
Tϵ LCT である。
Tϵ(M)f(x)=ϵ12πiM21f(t)expi2M21[M11x22xt+M22t2]dt=ϵM11if(M11x)exp(i2M11M12x2)   (iff  M21=0)M=(M11M12M21M22)SL(2,R),ϵ{1,1}

E+=i2x2,E=i22,H=x+12
Tϵ(M)=ϵexp(M111M21E+)exp(M21E)exp(M221M21E+)=ϵexp(M11M12E+)M22H   (iff M21=0)
fをn変数関数に拡張して多重LCTを計算する。
E+=i2X2,E=i22,H=X+n2
と改めて置き直すと

ϵnexp(M111M21E+)exp(M21E)exp(M221M21E+)f(X)=ϵnexp(M11M12E+)M22Hf(X)   (iff M21=0)=ϵn(12πiM21)n/2Rnf(Y)expi2M21[M11X22XY+M22Y2]dnY=ϵnM22n/2f(M11X)exp(i2M11M12X2)   (iff  M21=0)
となる。極座標は次のように定義される。
x1=rcosθ1x2=rcosθ1cosθ2xn1=rcosθ1cosθn2cosθn1xn=rcosθ1cosθn2sinθn1
作用させる関数空間を球対称なものに制限する、つまりfrのみの関数であるとする。このときfに作用させたときに生じる演算子の同値類についてθi0が成立して、
Hn2+l=1nxlrxlr=n2+rrE+=i2r2Ei21grggrrr=i2r1nrrn1r
を得る。Eではn次元の極座標が直交曲線座標であるから計量テンソルgを使った簡便なLaplacianの計算公式を使った。イメージからも明らかなようにgrn1(比例定数はrに無関係)で、grr=1なので不必要な部分に立ち入らずサクッと計算した。
Ei2r1nrrn1r=i2(r2+n1rr)
と変形できる。次は積分表示の計算についてみていく。
Rn内の単位球の体積は
Vn=πn/2Γ(1+n2)
なので( 参考 )、n1次元球面(半径r)の面積は
r(rnVn)=nVnrn1=2πn/2Γ(n2)rn1である。ベクトルX,YRnの成す角度をϕとするとXY=|X||Y|cosϕであり、Xを固定したときR=|Y|,ϕを変えないY全体はn2次元球面Sn2となる。

Bessel関数の積分表示

Jν(z)=(12z)νπΓ(ν+12)0πcos(zcosθ)sin2νθdθ

証明略( DLMF )

補題から多重LCTは次のように計算できる。

ϵn(12πiM21)n/2Rnf(Y)expi2M21[M11X22XY+M22Y2]dnY=ϵn(12πiM21)n/2R=0ϕ=0πSn2f(R)expi2M21[M11r22rRcosϕ+M22R2]dR Rdϕ dn2Y=ϵn(12πiM21)n/22π(n1)/2Γ(n12)R=0ϕ=0πf(R)expi2M21[M11r22rRcosϕ+M22R2](Rsinϕ)n2R dR dϕ=ϵn(12πiM21)n/22π(n1)/2Γ(n12)R=0f(R)expi2M21[M11r2+M22R2]Rn1ϕ=0π(sinϕ)n2cos(rRM21cosϕ)dR dϕ=ϵneπi4sgn(M21)|M21|R=0f(R)expi2M21[M11r2+M22R2]Jν(rR|M21|)(Rr)νR dR

これはまさにGHTの次元パラメータをν=n22とした場合に等しい。この変換の生成子も
E+=i2r2,Ei2(r2+2ν+1rr),Hrr+ν+1
となって一致する。

Abel変換について

次はAbel変換に関する数式を考察する。異なる次元パラメータμνに対してどういう数式が出せるか気になる。

次数の異なるBessel関数の積分の公式

0tμν+1Jμ(at)Jν(bt)dt={0                         (a<b)2μν+1aμ(b2a2)μν1bνΓ(νμ)  (b>a)

証明略(わからない....)

これを使って計算する。

Hμ(0a1/a0)Hν(0b1/b0)g(x2)=aiμ+1y=0Jμ(axy)(yx)μydy×biν+1z=0g(z2)Jν(bxy)(zy)μzdz=aiμ+1biν+1z=0g(z2) zνxμzdz×y=0Jμ(axy)Jν(byz)yμν+1dy=abiμ+ν+2z=abxg(z2)2μν+1(ax)μ(bz)νΓ(νμ) zνxμ(b2z2a2x2)νμ1zdz=aμ+1b1νiμ+ν+2Γ(νμ)abxg(z2)(b2z2a2x2)νμ1zdz

次元パラメータが本質的に影響を及ぼすのはLie代数生成子Eなのでそれ以外のE+,Hの分の一般化をしてもあまり意味がない。
僕が一般化したAbel変換を導入する。
J=(0110)
として

Aμ,νg(x2)=Hμ(J)Hν(J)1g(x2)=eiπ(ν+1)Hμ(J)Hν(J)g(x2)=iνμΓ(νμ)xg(z2)(z2x2)νμ1z dz=expπi4[2+2μ+1xx2]expπi4[2+2ν+1xx2]g(x2)

積分表示をよく見るとνμにしか依存していないのである!
高校2年生ぼくは地理の授業中、この計算のために興奮気味で筆を走らせていた。

謎の指数法則

p1+q1=p2+q2のとき
expπi4[2+p1xx2]expπi4[2+q1x+x2]=expπi4[2+p2xx2]expπi4[2+q2x+x2]

とノートに書き留めたとき地理教師(あだ名"デーモン")の怒りはついに頂点に達した。地理教師はノートを取り上げて声を荒らげた。座席を周回パトロールするデーモンを前に、数学内職隠蔽工作はあっさりと破られてしまった。
「ノートは一生返さないかもな。(ノートに目を落とし)謎の指数法則...。指数法則、懐かしいな」
そう言いながらノートを持ち去った。私は美しい数式を発見し、(デーモンにこの公式の真価などわかるまい...)と、巨人の肩,象牙の塔の頂にすっくと立つかのような尊大な自尊心と、クラスの皆共から向けられた目線による心疾しき羞恥心の間に揺れていたのであった。。。

後日談。
授業直後、謝罪に向かったがノートは捨てると言われ、友達に冷やかされながら青ざめた顔で次の授業へと向かった。ノートは2日後担任を通して返却された。めでたしめでたし。

こうしてAμ,ν=Aνμと書けると分かったが、普通のAbel変換はμ=12,ν=0とした場合である。

畳み込み積の一般化

Fourier変換によって積は畳み込み積にうつされるのであった。
f^(x):=12πf(y)eixydy
(fg)(x):=f(xt)g(t)dt
fg^(x)=12π(fg)(x)
これをHankel変換に一般化してみる。

Sonine's formula

0Jα(az)Jα(bz)Jα(cz)z1αdz=2α1S(a,b,c)2α1πΓ(α+12)(abc)α
S(a,b,c)a,b,cを辺長とする三角形の面積であり、三角形を成さない場合はS=0と定める。

Hankel変換したものを乗算して逆変換すると

Hα(J)1((Hα(J)f)(Hα(J)g))=eiπ(α+1)Hα(J)(i2α20f(u)Jα(xu)(ux)αudu0g(v)Jα(xv)(vx)αvdv)=iα1xαt=000f(u)g(v)(uv)α+1Jα(xt)Jα(ut)Jα(vt)tα+1du dv dt=00f(u)g(v)2α1iα1x2αS(x,u,v)2α1πΓ(α+12)uv du dv

となる。畳み込み積をHankel変換として一般化すると三角形の面積が核に現れる二重積分の積であるとわかる。

投稿日:2022219
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赤げふ
赤げふ
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東工大情報B4 数学,理論物理,Minecraft計算機/微分演算子の記事を書きます/主に表現論,量子群,物理の数理に興味があります

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