はじめに
今回はある条件を満たす準同型の個数を数えます.
その他の問題たちは
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問題と解答
をアーベル群,をの指数有限の部分群,を群準同型とする.このとき,準同型でへの制限がに等しいものの個数はであることを示せ.(京大)
感想
が有限アーベル群なので,準同型の個数が丁度です(
コチラの記事の補題3
).どうにかしてこの事実を使うんだろうなと予想が立ちます.しかし,そもそもの延長が実際に存在するのかどうかが気になるので,一旦存在を示します.この類の存在証明では部分群の位数とか指数とかに関する帰納法が有効な場合があるので,今回もその方針で行きます.延長の存在が示せたら,それを上手く使ってからへの準同型を作りますが,ヒントなしでは全然思いつかなくて大変でした.
以下,剰余群の元は上にバーを付けて表します.
証明を表示
まず,次の主張Aを部分群の指数に関する帰納法で示す.
(主張A)をの指数有限の任意の部分群,を任意の準同型とするとき,準同型でを満たすものが存在する.
まず,のときはであるからとすればよい.を以上の整数とし,を満たすの任意の部分群とからへの任意の準同型に対して主張Aが成り立つと仮定する.このとき,となるの任意の部分群と準同型に対して主張Aが成り立つことを示せばよい.
となるの任意の部分群と任意の準同型を取る.であるから,となるが取れる.は位数が有限であるから,となる最小の正の整数が取れる.でない複素数をを満たす値とする.写像を任意のに対してを満たすものとして定める.任意のに対して,
が成り立つので,は群準同型である.このとき,であるから,帰納法の仮定により準同型でを満たすものが存在する.このは任意のに対して
を満たすのでを満たす.従って,とに対して主張Aが示された.ここでは任意に取っていたから,主張Aが示された.
主張Aを題にあるに対して適用することで,準同型でを満たすものが存在することが保証される.集合を
とおく.が求める数である.に対し,写像を対応させるものとして写像を考える.任意のに対しは,任意のに対して
を満たす.また,は明らかに準同型である.よって,は写像
を引き起こす.ここで,は
を満たす.
がを満たすとする.このとき,任意のに対して
が成り立つので,となる.即ちであるから,は単射である.
とする.を自然な準同型とし,を
を満たすものとして定める.は明らかに準同型で,また任意のに対して
を満たすのでである.即ち,である.すると,任意のに対して
が成り立つから,である.よっては全射である.以上よりは全単射であるから,である.は有限アーベル群であるからであるので,となり,題意は示された.(証明終)
今回用いた事実
を有限アーベル群,を複素数の乗法群とすると,準同型の個数はに等しい.
証明は
コチラの記事の補題3
を参照して下さい.
最後までお読み頂きありがとうございました.