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この記事では双対ベクトル空間の定義について解説します。
微分幾何では多様体と呼ばれる領域上の色々な“関数”を考えて、その振る舞いを調べることで多様体の性質を調べます。調べる対象となる“関数”の中には入力がベクトルで出力が実数というようなものがあります。お気持ちは次のような感じです。
多様体上でこのような概念を考える前にまずはベクトル空間でこのような“関数”を考えてみると、双対ベクトル空間という考え方が出てきます。
それでは双対ベクトル空間の具体的な説明に移ります。実ベクトル空間
次に単純なものは線形関数でしょう。つまり、
と定義します。ただし、この表示は
このような
まず、和とスカラー倍については、
と定義します。また
実ベクトル空間
上に例として出した
とします。このままだと基底
と定めます。このように定義することを、線形に拡張して
同様に、
と定義します。
これらの
ベクトル空間
を満たす
(線形独立性)
(完全性)
任意の
であるから、
となる。
これで双対基底を定義することができるようになりました。
ベクトル空間
を満たす
次回は双対ベクトル空間の変換性についてです。