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優しい解説を心掛けるリーマン幾何学~1. ベクトルとテンソル 1.2 双対ベクトル空間(2)~

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 前回の記事: 優しい解説を心掛けるリーマン幾何学~1. ベクトルとテンソル 1.2 双対ベクトル空間(1)~
 次回の記事: 優しい解説を心掛けるリーマン幾何学~1. ベクトルとテンソル 1.3 テンソル(1)~

 前の記事では双対ベクトル空間を定義しました。この記事では双対ベクトル空間のいくつかの性質を説明します。

 定義よりVVの元から実数を作ることができます。これが双対積です。

双対積

双対積 ,:V×VR
vVfVに対して、
v,f=f,v=f(v)
と定義する。

 このことからVVの双対空間と見なすことができます。つまり(V)Vが成り立ちます。次にVの基底の変換に対して、Vの双対基底はどのように変換されるかを見ます。

双対基底の変換

Vの基底を{ei}とし、{ei}に関するVの双対基底を{fi}とする。このとき、Vの基底の変換
ej=ieiaji
に対して、{ei}に関するVの双対基底{fi}
fi=j(a1)jifj
で与えられる。

fi=jbjifj
とすると、
δji=fi(ej)=k,lbkifk(elajl)=k,lbkiajlfk(el)=k,lbkiajlδlk=kbkiajk
となることから従う。

 uV
u=iuifi
と表されます。このとき、ui達をuの成分と呼びます。Vの基底の変換とそれに伴う成分の変換の関係をVに適用すればただちに次の命題を得ます。

双対空間の元の成分の変換

 ベクトル空間Vの双対空間をVとする。{ei},{ei}Vの基底とし、{fi},{fi}を対応する双対基底とする。u=iuifiVの成分{ui}Vの基底変換ei=jejaijに対して、
ui=aijuj
と変換される。

 これで双対空間の基本事項は終わりです。次回からはテンソル空間の解説です。

投稿日:20221127
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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