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大学数学基礎解説
文献あり

変数付き多重ゼータ値の双対性と金子・山本型多重ゼータ値

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今回はメモ程度の軽めの内容です。

C(n,m;x):=n!(1x)m(1x)n+mZKY(k;l;x):=0=n0<n1<<nr0=m0<m1<<ms1nkC(n,m;x)1(mx)lζ(kl):=0<n1<<nr=msm111nkml

ZKYの輸送関係式は以下の通りです。

(i)ZKY(k;l;x)=ZKY(k;l;x)(ii)ZKY(k;l;x)=ZKY(k;l;x)

(i)については
a<n1nC(n,m;x)=a<n((n1)!(1x)n+m1n!(1x)m+n)(1x)mmx=a!(1x)m(1x)a+m1mx=C(a,m;x)1mx
(ii)については
a<mC(n,m;x)1mx=a<mn!n((1x)m1(1x)n+m1(1x)m(1x)n+m)=n!(1x)an(1x)n+a=1nC(n,m;x)
より従う.

従って以下が分かります。

双対性

ZKY(;k;x)=ZKY(k;;x)

x=0のときMZVの双対性、x=1/2のとき Ozonum氏の記事 の冒頭にあるやつになります。さらにk=(2)とすると
0<nn!n2(1x)n=0<n1(nx)2
となりこれは Wataru氏の記事 で解説されているものです。
Wataru氏の記事ではMZSVの関係式
ζ({1}h1,2)=hζ(h+1)
から係数比較により導出されていますが、母関数の等式が輸送により証明された今、逆に係数比較によりMZSVの関係式を得られるわけです。
では一般の空でない許容インデックスで係数比較を行うと何が得られるか、計算してみましょう。
ZKY(;k;x)=0<n1<<nrj=1r1(njx)kj=0<n1<<nrj=1r0ej(ej+kj1ej)xejnkj+ej=0e1,,erxe1++erζ(k1+e1,,kr+er)j=1r(ej+kj1ej)=0hxh0e1,,ere1++er=hζ(k1+e1,,kr+er)j=1r(ej+kj1ej)
ZKY(k;;x)=0<n1<<nr1nknr!(1x)nr=0<n1<<nr1nkm=1nr11xm=0<n1<<nr1nkm=1nr0lmxlmmlm=0<n1<<nr1nk0l1,,lnrxl1++lnr1l1nlnr=0hxh0<n1<<nr1nk0l1,,lnrl1++lnr=h11l1nrlnr=0hxh0<n1<<nr1nkl({1}h)ζnr(l)=0hxh0<n1<<nr1nkζnr({1}h)=0hxhζ(k({1}h))
より

ζ(k({1}h))=0e1,,ere1++er=hζ(k1+e1,,kr+er)j=1r(ej+kj1ej)

が得られました。これは山本積分の言葉で言えば金子・山本型多重ゼータ値の特殊な場合のposet分解の双対をとったものであり、左辺を級数の変数の大小で展開して多重ゼータ値の関係式を得られます。
以上です。

参考文献

投稿日:20221117
OptHub AI Competition

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