前回までは,あらかじめ与えられた拡大体の中で議論をしてきました。では,その「与えられる」拡大体がよい性質をもっていたら嬉しいと思いませんか。思いますよね。
今回は,そのような拡大体が存在することを証明します。
1.分解体の存在
2.最小分解体
定義は,次のようにも言い換えられる。すなわち,
証明の流れを先に述べておこう。
多項式の次数
ここで,
上の定義式は,
次に,
ゆえに
よって
したがって,
最後にある特別な分解体を定義しておこう。
この結果は
に対応している。
次回は,体の同型の性質を扱います。ここから,最小分解体の一意性も示されます。