他の記事用にBorel可測函数の性質について軽くまとめたい。
$\R^d\ (d \geq 1)$の開集合の全体$\mathscr{O}(\R^d)$を含む最小の$\sigma$-加法族、すなわちBorel集合族$\mathscr{B} := \mathscr{B}(\R^d)$を考える。
$f:\R^d \to \R$ がBorel可測函数であるとは、任意の$a \in \R$に対して$\{x; f(x) > a\} \in \mathscr{B}$が成り立つ時を言う。
$f:\R^d \to \R$をBorel可測函数であるとする。この時、任意の$b < a \in \R$に対して以下が成立する:
集合と写像と逆像 の主張を自由に使う。
$\{x; f(x) \leq a\} = \{x; f(x) > a\}^c \in \mathscr{B}$となる。
$\{x; b < f(x) \leq a\} = \{x; f(x) > b\} \cap \{x; f(x) \leq a\} = \left( \{x; f(x) \leq b\} \cup \{x; f(x) > a\} \right)^c \in \mathscr{B}$となる。
$\{x; f(x) = a\} = \cap_{n \in \N} \{x; a - \frac{1}{n} < f(x) \leq a\} = \cup_{n \in \N} \{x; a - \frac{1}{n} < f(x) \leq a\}^c \in \mathscr{B}$となる。
$\{x; f(x) < a\} = \{x; f(x) \leq a\} \cap \{x; f(x) = a\} \in \mathscr{B}$となる。
Borel集合族が補集合について閉じているという性質を使いまくると、$\{x; f(x) > a\} \in \mathscr{B}$という条件だけで「これくらいは成立して欲しいよな」という数々の性質が導けてしまう。