この記事では完不コハ群(完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群)と同値な条件について書きます🐥
メイントピック次の補題は位相群に関する基本的な性質です。
位相群 $G$ の開部分群 $H$ は閉集合である。
剰余類分解 $G = H\cup \displaystyle \bigcup_{g\in G} gH$ により$H$ の補集合 $G\setminus H$ は開集合である。
次の命題は プレサマースクール—数論的な体の絶対ガロア群の構造への道先案内— の p.2 定理 1.2 を参考にさせていただきました。(この PDF は 「l進ガロア表現とガロア変形の整数論」報告集の原稿ページ から参照できます。)
位相群 $G$ に対して、次は同値:
$(1)$ $G$ は完全不連結コンパクトハウスドルフである。
$(2)$ $G$ はコンパクトハウスドルフであり、$G$ の正規開部分群全体は単位元の基本近傍系である。
$(3)$ $G$ はある副有限群と位相群として同型である。
$(1) \Longleftrightarrow (3)$
完不コハ群と副有限群について
よりしたがう。
$(1) \Longrightarrow (2)$
完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群における単位元の開近傍について
の命題 1 よりしたがう。
$(2) \Longrightarrow (1)$
$K$ を $G$ の単位元 $e$ の連結成分とする。このとき $g\in G$ の連結成分は $gK$ であるから $K = \lbrace e\rbrace$ を示せばよい。そこである $x\in K,\ x\neq e$ が存在すると仮定すると、$G$ はハウスドルフであるから
$$ x\in U,\ e\in V,\ U\cap V = \emptyset$$
となるような $G$ の開集合 $U,\ V$ が存在する。基本近傍系の仮定より
$$ N\subset V$$
となるような $G$ の正規開部分群 $N$ が存在する。補題 1 より $N$ の補集合 $N^c$ は $G$ の開集合であり、
$$ K \subset N \cup {N}^c,\ N\cap K \neq \emptyset,\ {N}^c \cap K \neq \emptyset,\ N \cap {N}^c \cap K = \emptyset$$
となるが、これは $K$ の連結性に矛盾する。したがって $G$ は完全不連結である。