この記事では, 僕が新しく見つけた連結和によって, 任意の多重ゼータ値が
という形の加速級数(以下Multiple R-value, 多重R値と呼ぶ)の線形結合で表せることを証明します. ここで, です. 正確に定理の形で述べておきましょう.
任意の多重ゼータ値は, 許容インデックスにおける, の値の自然数係数線形結合で表せる.
さて, 具体例を考えて見ましょう, のMaclaurin級数により,
なので,
です. さて, weight 3の許容インデックスは, ですが,
を求めるにはどうすればよいでしょうか, まず思いつくのはのMaclaurin級数を積分することです.
となりますが, 最後の積分の計算がなかなか難しそうです. そこで連結和法の出番です. 以下の級数を考えてみましょう. これは双対性の連結和の記事(
https://mathlog.info/articles/405
) で考えたです. とします.
これを調和積的な方法で分解してみましょう,
となって, が得られました.
連結和の構成
つまり, 双対性の連結和において, 調和積的なことを行うと, 多重R値が現れると考えることができます. 以上の考察をもとに連結和の形を考えてみましょう. 調和積の連結和は
の2種類がありますが, (調和積の連結和の記事(
https://mathlog.info/articles/393
) を参照)この場合, 後者の連結和をもちいます. その輸送関係式は, Connectorsにもある通り,
のようになっています. さて, 今回これをどのようにするかというと, 双対性の連結和と調和積の連結和を合体させる. つまり, 調和積の連結和にをつけるのです. すると以下のようになります.
さて, 合体された2つの連結和は連結している部分が違います. つまり, この連結和の輸送関係式は双対性の連結和の輸送関係式と, 調和積の輸送関係式そのままです. 具体的に書くと, このは
を満たします. さて, 境界条件を見ていきましょう. 定義から,
であることが分かります. さて上の4つの輸送関係式をつかうことでからの形に帰着できればよいです. それは以下のようなアルゴリズムによって達成されます. の対称性から, のdepthの方が大きくなったらの方が常にdepthが大きいと考えて良いです.
- 輸送開始時のは許容インデックスとする.
- のどちらかの最初の値が2以上ならば, 3つ目の輸送関係式ををつかう.
- の最初の値がともに1でかつ, どちらもdepth 2以上ならば, 4つ目の輸送関係式をつかう.
- のdepthが1以下ならば, 1つ目か2つ目のつかえる方をつかう.
- になったら終了.
という感じです. このアルゴリズムが定理1の証明を与えています.
具体例
具体例でやってみましょう. から始めてみます. の上にどの輸送関係式をつかったかを書いておきます.
よって,
が分かります. weight輸送なのでなかなか大変でしたね, これも実際に計算するときにはdepth輸送の連結和をもちいた方が速く計算できます. さて, 上のの式のさらなる一般化としては,というリーマンゼータ値の公式を得ることができます.(公式の名前忘れた...)
参考文献
S. Seki, Connectors, arXiv:2006.09076