ここではガウスのq二項定理とそれを用いたヤコビの三重積の導出を紹介します。
前回の記事
組合せ論と母関数2:自然数の分割
の続きにもなっています。前回のものもそうですが、母関数を用いた組合せ論の考察は、組合せ論的な情報を多項式にエンコードして、組合せ論的推論を多項式に関する操作として”自動化”するという画期的手法です。
前回の分割数の式のようなタイプの式にはqを使うしきたりがあり、qポッホハマー記号という略記法があります。
第2スロットがqのとき、さらに省略して
複数のポッホハマー記号が連続するとき
添字がマイナスのとき逆数にします。
nをm個の異なる自然数に分割する数を
※和は
nをm個の自然数に分割する数を
nを異なる自然数に分割する数を
前回は以下のような無限積
を考えました。これは
これの
この場合、使っていい整数が
は
同様に
無限積バージョンもそうですが、この式はいわば"祖母"関数であり、
組合せ論と母関数2:自然数の分割
の公式3で述べたように、異なる自然数への分割の数は三角数を引くと、重複を許した分割の数に対応します。これについては後に説明します。
上図のグレーの部分を引くと
グレーの点線の輪郭からわかるように、
異なる要素をとる方法の数と、重複を許してとる方法の数は対応させることができます。例えば
これは
ここで
と書きます。
これを用いると
同様にして一般に
以下のようなものを考え
以下のようなものを考え
この図で
が説明できるはず・・・
まず
が成り立ちます。それをヤング図形で直感的に示せないかと思い、図4を思いついたのですが、少しつながりが分からない部分があり考え中です。