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高校数学解説
文献あり

根号内に平方根と立方根を有する「外れる二重根号」

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 本記事は 私が3年前に書いた記事 および 私が10ヶ月前に書いた記事 の続編となります。これらを読まなくても、以下の内容を理解するうえで支障はないです。読みたければ上のリンクからどうぞ。
 また、文献をあまり調べていないため、既知の結果が含まれている可能性を否定できません。


 毎度おなじみ[要出典]、「いかなる指摘や非難も受けつける」という目的のためだけに初心者設定をしていない実質初心者こと、 匿(Tock) でございます。今回も根性とともに色々な二重根号を見ていきましょう。


今来た一行

 a+bx+cy3nという形の、外れる二重根号を探します(a,b,c,n,x,yはいずれも整数)。メインは後半。


研究の経緯

 以前、私は 二重根号に関する3つの不思議な公式(+それらの公式から得られる多数の等式) なる記事を書きました。ここで紹介した二重根号の等式を抜き出し、 Wikipedia で紹介されているそれと比較してみましょう。

私の記事Wikipedia
(5+33+25)2+411=3+25432544=
22+92+7+10=325527553=

 非自明であるという点においては、双方とも大差ありませんね。根号内の美しさではWikipedia側に軍配が上がりそうですが。
 とはいえ、もっと根本を見つめ直しましょう。じーっ……。

「私の記事、平方根しか出てこないな?」

 ということで。今回は立方根を登場させます。立方根の絡んだ二重根号について、いい感じの公式を探索します。
 ただし、ax3±by3nという形の二重根号(n2)は様々な論文で既に研究されており、例えば Denesting certain nested radicals of depth two ではm4m8n3+n4m+n3=±13((4m+n)23+4(m2n)(4m+n)32(m2n)23)という汎用性しかない公式が紹介されています。
 ゆえに、少しでもオリジナリティを出すべく、別の形を想定します。具体的には、a+bx+cy3nのような形をした二重根号を研究対象に選びます(a,b,c,n,x,yはいずれも整数)。


探索の手法

 いくら根性を用意したとしても、時間と数学力には限りがあります。
 例えば、任意に数値を代入して1000+129211270233という二重根号を得たとしましょう。当然、こう言いたくなります。
「これ、外せるか……?」
 そう、ディネスティング(n重根号を(n1)重以下の根号に書き換えること)可能か否かなど、一瞥だけで判るはずがありませんね。結論を言うと、物凄く頑張れば1000+129211270233=10(443+2235)93(211)463と外せるのですが、このような作業をすべての代入に対して実施したら人類滅亡のほうが先に来てしまいます。
 ですから、すべてを見つけることは諦めます。手の届く範囲で「外せる二重根号の生成公式」を探索し、そこに値を代入してこういった非自明な等式を得る、と、逆方向からアプローチします。


人は補題なしに生きられない

 それでは、「外せる二重根号の生成公式」とやらを作ってみましょう。まず、補題を2つ用意します。

補題1.1 (証明略)

{ζ1(x)=x1ζ2(x)=x2+x+1ζ3(x)=x1ζ1(x)ζ2(x)=ζ3(x3)

補題1.2

{ζ1(x,y)=x2+xyζ2(x,y)=x4x3+(y+1)x2+xy+y2ζ3(x,y)=x2+(3y+1)xy3ζ1(x,y)ζ2(x,y)=ζ3(x3,y)

補題1.2の証明

 有名な等式(X+Y+Z)(X2+Y2+Z2XYYZZX)=X3+Y3+Z33XYZX=x2,Y=x,Z=yを代入すれば、所望の式を得る。

 どちらの補題も、結論が(多項式)×(多項式)=(多項式中のxx3を代入した式)という形をしています。この事実を胸に留めておいてください。


 続いて、以下の補題を考えます。

補題1.3

 ζ1,ζ2,ζ3を整数次多項式とする。ζ1(x,y)ζ2(x,y)=ζ3(x3,y)のとき、有理数係数整数次多項式ηを用いてU(x,y)=ζ1(x,y)η(x3,y)+ζ2(x,y)と定めると、U(x3,y)2を展開した式に現れる根号の種類は高々x3,x23,η(x,y)の3種である
 言い換えると、ある整数次多項式α,β,γ,δが存在して、
U(x3,y)2=α+βη(x,y)+γx3+δx23と表せる。

補題1.3の証明

U(x3,y)2=(ζ1(x3,y)2η(x33,y)+ζ2(x3,y)2)+2ζ1(x3,y)ζ2(x3,y)η(x33,y)=(ζ1(x3,y)2η(x,y)+ζ2(x3,y)2)x3,x23のみが登場する式+2ζ3(x,y)η(x,y)(i)と計算できる。ζ1,ζ2,ζ3,ηはいずれも整数次の多項式であるから、(i)の展開にx3,x23,η(x,y)以外の根号は含まれない。


生成メソッドは非常に簡単

 準備が整いました。この補題1.3補題1.1の式を代入してみると、
((x31)ζ1(x3,y)η(x,y)+x23+x3+1ζ2(x3,y))2=α+βη(x,y)+γx3+δx23(ii)を満足する多項式α,β,γ,δが存在するといえます。(ii)の左辺を根性で展開し、γδを計算します。
((x31)η(x,y)+x23+x3+1)2=η(x,y)+2x+1α+2(x1)βη(x,y)+(2η(x,y)+x+2)γx3+(η(x,y)+3)δx23
{γ=2η(x,y)+x+2δ=η(x,y)+3


 まずδに注目しましょう。もしもδ=0が成り立つならば、(ii)の両辺の平方根をとると
(x31)η(x,y)+x23+x3+1=α+βη(x,y)+γx3となって、二重根号を含まない式(左辺)とa+bx+cy3n型の二重根号(右辺)がイコールで結ばれます。
 このとき明らかにη(x,y)=3ですから、上の式は以下のように整理されます。
(x31)3iη(x,y)+x23+x3+1=±(a+b3i+cx3型の二重根号)(iii) 虚数単位iを登場させてしまいましたが、確かに目的通り「外せる二重根号の生成公式」を作れました。
 実際、任意の値、例えばx=2などを(iii)に代入すると、
12((231)3i+1231)=±1+3i+523といった式を生成できて、公式の威力を実感できます(左辺を2乗すると右辺の根号内の式になる)。


手法の応用

 前節では、(ii)δ=0となるケースを考えました。δ=0の代わりにγ=0のケースを考えれば、どうなるでしょうか。既にγ=2η(x,y)+x+2を計算しているので、今回はη(x,y)=x2+1とすればよいですね。整理すれば、
(x31)x2+1η(x,y)+x23+x3+1=(a+bx2+1+cx23型の二重根号) (iv)と書けます。おしまい。


報われる人は努力しているらしい

 論点チェンジ。今度は補題1.3補題1.2の式を代入します。
((x23+x3y)ζ1(x3,y)η(x,y)+(y+1)x23+(x+y)x3x+y2ζ2(x3,y))2=α+βη(x,y)+γx3+δx23(v) 心が折れそうですね。耐えましょう。ちなみに代入が変わったのでαδの中身も変わっています。
 先程と同様に展開し、γ,δを求めます。
((x23+x3y)η(x,y)+(y+1)x23+(x+y)x3x+y2)2=(2x+y2)η(x,y)+(2y+3)x2+2xy+y4α+2(x2+(3y+1)xy3)βη(x,y)+((x2y)η(x,y)2x2+(3y2+1)x+2y3)γx3+((2y1)η(x,y)+x22x+(2y+3)y2)δx23
{γ=(x2y)η(x,y)2x2+(3y2+1)x+2y3δ=(2y1)η(x,y)+x22x+(2y+3)y2 心が折れましたね。それでも耐えましょう。
 γ=0のときη(x,y)=2x2(3y2+1)x2y3x2yです。したがって、以下の生成公式が導かれます。
(x23+x3y)2x2(3y2+1)x2y3x2yη(x,y)+(y+1)x23+(x+y)x3x+y2=(a+b2x2(3y2+1)x2y3x2y+cx23型の二重根号)(vi) ……ええ、生成公式です。誰がなんと言おうと、これは外せる二重根号の生成公式です。
 それを確かめるため、例えばx=y=12のときを考えましょう(どんな値でも構いません)。このとき2x2(3y2+1)x2y3x2y=54ですから、ひたすら計算すると
243+3231+5(43+231)2=25+115+23(vi)が出てきます。確かに生成できましたね。万歳。

【余談】天才っぽく振る舞う方法
 もしも「(vi)の左辺をもっと非自明に表記して天才になった気分を味わいたい!」とお考えであれば、ζ1(x3,y)ζ2(x3,y)=ζ3(x,y)から導かれる
(43+231)(243+3231)=11を利用しましょう。実際に利用すれば以下のようになります。良いですね(主観)。
25+115+23=11+5(43+231)22(43+231)=11+5(543)2(43+231)


 次。(v)δ=0のケースです。同様の手順で、以下の生成公式に還元されます。←説明が面倒になりつつある
(x23+x3y)x22x+(2y+3)y22y1η(x,y)+(y+1)x23+(x+y)x3x+y2=(a+bx22x+(2y+3)y22y1+cx3型の二重根号)(vi) ここで一旦IQを30ほど上げてみると、あることに気がつきます。
(vi)の左辺に(x,y)=(1x,yx)を代入してx2倍すれば、(vi)の左辺と一致するね?」
 はい、その通りです。2つの生成公式を導いたつもりでしたが、事実上これらは1つだったのです。無念……。


ここから探索難易度が跳ね上がる

 a+bx+cy3n型の二重根号で外れるものを探す、という目的で始まった本記事ですが、今のところn=2の場合しか探索できていません。もっと探したいですね。
 序盤で登場した1000+129211270233を覚えていますか? 今思えば、これはn=3の場合に相当します。ですから、n=3の場合くらいは頑張りましょう。

補題2.1

{ζ1(x,y)=x2+xyζ2(x,y)=x2(2y+1)xyζ3(x,y)=4(y+1)(x2+(3y+1)xy3)η(x,y)=4y+1ζ1(x,y)(η(x,y)ζ1(x,y)2+3ζ2(x,y)2)=ζ3(x3,y)

補題2.1の証明

η(x,y)ζ1(x,y)2+3ζ2(x,y)2=4(y+1)(x4x3+(y+1)x2+xy+y2)と計算できるため、補題1.2より従う。我ながらζ2,ηをどうやって見つけたのだろう。

 ついてきていますか? 割と大変な計算をしましたよ。


 n=3の場合には、補題1.3の代わりに以下の補題2.2を用います。

補題2.2

 ζ1,ζ2,ζ3,ηを整数次多項式とする。ζ1(x,y)(η(x,y)ζ1(x,y)2+3ζ2(x,y)2)=ζ3(x3,y)のとき、U(x,y)=ζ1(x,y)η(x3,y)+ζ2(x,y)と定めると、U(x3,y)3を展開した式に現れる根号の種類は高々x3,x23,η(x,y)の3種である
 言い換えると、ある整数次多項式α,β,γ,δが存在して、
U(x3,y)3=α+βη(x,y)+γx3+δx23と表せる。

補題2.2の証明

U(x3,y)3=ζ2(x3,y)(3ζ1(x3,y)2η(x33,y)+ζ2(x3,y)2)+ζ1(x3,y)(ζ1(x3,y)2η(x33,y)+3ζ2(x3,y)2)η(x33,y)=ζ2(x3,y)(3ζ1(x3,y)2η(x,y)+ζ2(x3,y)2)x3,x23のみが登場する式+ζ3(x,y)η(x,y)(vii)と計算できる。ζ1,ζ2,ζ3,ηはいずれも整数次の多項式であるから、(vii)の展開にx3,x23,η(x,y)以外の根号は含まれない。


 補題2.2補題2.1の式を代入してみると、以下の式が成り立ちます(α,β,γ,δは何らかの整数次多項式)。
((x23+x3y)ζ1(x3,y)4y+1η(x,y)+x23(2y+1)x3yζ2(x3,y))3=α+β4y+1+γx3+δx23(viii)
 以降はn=2の場合と同様です。(viii)γδを求めましょう(ここの計算は省略します)。
{γ=24y((3y+1)x+y3)δ=24y2(x3y1) y=0のときは不適なので(η(x,y)=1)、γ=0x=y33y+1およびδ=0x=3y+1といえますね。
 それぞれを(viii)に代入すれば、以下の生成公式を得ます。
x=y33y+1:(1+4y+1)(113y+13+y(13y+1)23)+2(y+1)13y+13=(a+b4y+1+c(13y+1)233型の二重根号)(ix)x=3y+1:(1+4y+1)(y+3y+13+(3y+1)23)2(y+1)3y+13=(a+b4y+1+c3y+133型の二重根号)(ix) いずれもa+bx+cy3n型の「外れる二重根号」を生成する式になっていますね。目標達成です。


 ところで、(ix)(ix)をよく見比べてみると、あることに気がつきます。
(ix)の左辺に(3y+1)23を掛ければ、(ix)の左辺と一致するね?」
 はい、その通りです。2つの生成公式を導いたつもりでしたが、事実上これらは1つだったのです。天丼……。


【ここまでのまとめ】
 (iii),(iv),(vi),(ix)の公式を用いれば、a+bx+cy3n型の「外れる二重根号」を作れる。


理想の代入

 改めて、発見できた生成公式を列挙します(1行に収めるため少々変形しています)。

(iii)に由来する式

x1+3i(x31)2x31=±(a+b3i+cx3型の二重根号)

(iv)に由来する式

2x1+x+1(2x31)22x31=(a+bx+1+c4x23型の二重根号)

(vi)に由来する式

 z=x22x+(2y+3)y22y1のとき、
x2+(3y+1)xy3+z(x23+x3y)2x23+x3y=(a+bz+cx3型の二重根号)

(ix)に由来する式

 y=3x+1のとき、
y23+y3xx+y1x+12xy3=(a+bx+y+cy33型の二重根号)


 これらに任意の数値を代入すれば、a+bx+cy3n型二重根号のディネスティング問題を一瞬で作れます。不定期でディネスティング問題を出題している私自身としましては有難いことこの上ないですね。


 具体的に見てみましょう。適当にx=5,y=8あたりを選び公式3へと代入すれば、以下の式が得られます。16085972418465+1554453=362158532531231(853253)「こんなものを出題したら各位から怒られるよ……。」
 つい本音が漏れてしまいました。まあ、確かに当初の目的である「a+bx+cy3n型の二重根号を外す」は達成できているわけですが、係数を見ると、その……ね?(同意を求めるポーズ)


 数学的には何ら問題なくとも、出題者の観点で考えればこれは由々しき事態。
16085972418465+1554453の二重根号を外しなさい」
など、誰も解いてくれません。もう少し、例えば(vi)で見た25+115+23のように平易な係数でなければ……。
 と、そういう経緯で、ここからはプログラムを走らせて根号内の数値が簡単になる代入を探索した結果となります。労力的にはここからが本番です。


公式1から得られる等式】

 xに様々な数を代入します。

x得られる式
2
1+3i+23=±i3+(1+23)22(1+23)
2
1+3i+523=±1+i3(231)22(231)
4
1+3i+243=±3+(431)2i2(431)

 左辺根号内の1+3iは固定で登場し、立方根の項のみが変動していますね。
 公式1の左辺を展開すれば、こうなる理由が判明します。計算しておいてください。

公式2から得られる等式】
x得られる式
2
2+3+223=3+(431)22(431)
1
7+22+543=1+2(231)2231
16
13+11i15+1623=±11i3+5(1+243)22(1+243)
6
14+13i5+2183=±13i+5(1+123)22(1+123)
6
16+117+10183=11+7(1231)22(1231)

 公式1と異なり、固定で登場する項がありません。ディネスティング問題として見れば、既にかなりの難問をマニュファクチュアできているのではないでしょうか。


公式3から得られる等式】

 |x|<211,|y|<26の範囲の整数を全部代入し、a+bx+cy3nにおけるmax(|a|,|b|,|c|,|x|,|y|)が小さくなったものを列挙しました。

xy得られる式
22
243+523=33(2+2343)22+234323
42
8+43+43=63+(43+2232)23(43+2232)
105
5+5+103=95+(1003+1035)232(1003+1035)
175
11+42+11173=18+2(5+1732893)23(5+1732893)
162
17+521+523=153+7(243+231)26(243+231)
193
3+86+25193=66+(36131933)23613193323
147
7+1321+25143=3921+(7143+1963)26(7143+1963)
21
25+115+23=11+5(43+231)22(43+231)
55
25+1210+1353=910+(5+53253)25+5325323
2613
13+1113+9263=9913+(13263+6763)232(13263+6763)

 公式2よりも自由度が高いため、たくさん見つかりますね。特にx+y=0のとき、綺麗な二重根号を生成しやすいようです。
 IQを20ほど上げて考えてみればこれは当然で、公式3x=12x,y=12xを代入して(2x1)x+14x2倍すれば、次数の低い公式2とほぼ同じ式が得られるからです(特にx(2x1)>0のときは完全に一致します、計算してみましょう)。実際、公式2x=14を代入すると243+523=26((1+23)24326)1+23となり、左辺だけ見れば公式3x=2,y=2を代入した場合と同一になっています。整数しか代入してこなかったため、見落としていたのですね。


公式4から得られる等式】

 こちらはx=nmと仮定し、1m<27,|n|<210の範囲の自然数を代入して探索しました。しましたが……、ご覧の通り、|n|が1桁の範囲でしかmax(|a|,|b|,|c|,|x|,|y|)は小さくなりませんでした。

x得られる式
25
20+3i15+22533=153+45(2+53253)453(53i)
12
5+333172033=2253+21034393(31)303
1
18+31551433=2(43+2231)51243
15
45+825+575033=256(1+203+503)514103
2
180+29i7+102533=534(253+253)17i
17
14+7521+3719633=27(1+2143+1963)633(73)2843
27
25255i7+64933=573476(2+73+493)7i
4
352+51i15+761133=3338(4113+1213)93(115i)
413
41645i39+6816933=33938136(4+133+1693)93(133i)
16
81+5453+477433=486(1+323+343)315183

 左辺にiが登場する場合、右辺に1±i32(1の3乗根)を掛けた数式も「外したあとの形」になりえます。


 これまでに紹介した3つの公式と比較すれば、根号の中身がやや複雑になっていることを見てとれます。出題者視点では悲しい現実です。
 しかしながら、いくつかの代入で、少々の単純化を図れます。事実、x=15x=27を代入した式は、x=15:8295+572063=2(1+203+503)514206x=27:55i+367+6763=5764(2+73+493)7iという表現が可能です。a+bx+cy63型の二重根号になり、より非自明さが増しましたね。


 以上、4つの公式を使ってみました。根性がそろそろ尽きそうです……。
 数式は全部手打ちしたので入力ミスがあるかもしれません。あればコメントでご指摘ください。


余計な問題

 ()内に示されたヒントをもとに、以下の二重根号を外しなさい。
(1)19+410+1193(x=32)(2)27+202+33(x=3,y=1)(3)20+279311+17851133(x=211)

 a+bx+cy3n型の外せる二重根号の生成公式を作るにあたって、ここまででn=2の場合とn=3の場合を見てきた。いずれもほぼ同様の生成メソッドで公式を得られたが、実はこの方法だとn4の場合に必ずしも公式を作れるとは限らない(恐らく作れない)。これはどうしてか、多項式の次数に注目して説明しなさい。


雑談が結語

 上記の問題2にて、n4の場合にa+bx+cy3n型のディネスティング問題を作る難しさを紹介しました。万能に思えた従来の手法が使えず、そもそも「外せる二重根号」が無限に存在するかも怪しい状況です。
 私も大量の計算を試しましたが、現時点で発見できたのは以下の1種類のみです……。98±20i42+651434=1+143i37861+i142712k(k=±1,±i) これ以外でa+bx+cy3n型(n4)の「外せる二重根号」を見つけられた方はご連絡ください。讃えますので。


【本記事のまとめ】
 a+bx+cy3n型の二重根号について、n3の場合には、外せる二重根号の生成公式が存在する。
 公式1公式2公式3n=2の場合に、公式4n=3の場合に、それぞれ使える生成公式である。
 n4の場合や、一般的なa+bx+cy3n型二重根号の外し方については、今後の研究課題とする。


 HTMLコード含めて約32,000文字、その最後の一字までお読みいただき、ありがとうございました。本記事をPDF出力する際は、用紙サイズA3、倍率75%で設定するとレイアウトが綺麗になります。


参考文献

投稿日:20231210
更新日:2024725
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投稿者

匿(Tock)
匿(Tock)
201
29124
主に初等幾何・レムニスケート。時々偏差値・多重根号。 「たとえ作曲家が忘れ去られた日であっても、彼の旋律が街並みを縫って美しく流れていますように。」

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