はじめに
本稿は位数7の群を力技で求めることが目的である。同様の方法で位数が素数の群も調べることができる。
分類
以降、を位数の群としてをその単位元とする。
に関しては以下の通りを考えることができる。
①ある元が存在しての任意の元がの形で書くことができる場合
(A)であることを示す。
もし、であったとするととなりの形で書ける元は高々個になってしまう。これは①の仮定に矛盾である。よってはいずれも異なる。これはであることを意味する。群の演算について考える。のみを考えたら良い。上の主張よりあるとなるが存在してとなる。となる。(A)よりであることがわかる。よってなる任意のについて という演算が入ることがわかる。これが群の条件を満足することは頑張って求めることもできるが省略する。
② ①ではないとき
を単位元でないの元とする。仮定より の形で表されないようなの元が存在する。このような元を一つ取りとする。あるが存在してとなることを示す。もし任意のについてであると仮定するととなる。というのもでであるとするととなりすなわちを得るからである。また任意の元についてであることはが演算について閉じていることから従う。すると、(B)となる。より左辺は無限集合となるが右辺は有限集合なので矛盾である。(の位数は7であった!)
よってあるが存在してとなる。そのような最小のが何か求める。が演算について閉じていることから(B)式が成立する。(B)の式において左辺の元の個数はである。よってであることがわかる。は単位元ではないのでである。
また②の仮定よりである。よってのいずれかである。
であると仮定する。元をとる。であることが群構造よりわかる。元をとる。であることが同様にわかる。(例えばであるとすると両辺に左からを掛けてを得てしまう。)元をとる。であることが同様にわかる。これはの位数がであることに矛盾である。でも同様のことが起こる。これは3,4,5,6が7の約数ではないことに起因する。実際はで矛盾
のように考えたらよく、詳細を述べるほどの難しさでもない。
以上で位数の群の分類が完成した。結果をまとめておく。
位数の群
を位数7の群とする。このとき、ある元が存在して、である。演算としてはである。
位数7の群はと同型である。つまり、整数問題でいうところのを考えている状況である。
位数の群
有限群において任意の元についてとなるようなは必ず存在することが分かったと思う。さらに今回の証明で分かったようにそのはの位数の約数にならないといけないことも分かった。よって、位数が素数の群ではのどちらかであり、②のようなパターンはありえないことも分かった。つまり、①のパターンしかないので次のような結果を得る。
位数の群
を素数、を位数pの群とする。このとき、ある元が存在して、である。演算としてはである。
大学数学的にいうと次のようになる。(群論はすでに大学数学であったが)
最後に
今回は位数が素数の群が非常に簡単な構造を持つことをという例を用いて示した。一般の有限群を分類することは難しいが21世紀に入りついに完全な分類が達成された。
位数6の群を力技で求める記事
位数4の群を力技で求める記事