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絡分の性質とその比較【絡分3】

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$$\newcommand{prodsum}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\huge \triangledown{}}}#3} \newcommand{sumprod}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\huge \triangle{}}}#3} $$

前回まで

  1. 絡分 (連続な総乗)【絡分1】
  2. 絡分と階乗 【絡分2】
  3. この記事

こんにちは

こんにちは、Nappleです。
前回までは、絡分という連続な総乗に相当する変換を定義して、$x$の絡分がほぼ$x!$であることなどを調べてきました。

今回は絡分の基本的な性質を調べて、総乗や他の演算との比較をおこないます。
すると、嬉しい性質が見つかります。

と、その前に記号の整理と定義を行っておきます。

定義

絡分 (不定絡分)

総乗に対応する連続な変換である絡分とは、
実数関数$f(x)$に対して次の関数$\mathcal{F}(x)$を得る変換である。
ここで、$T^{-1}$は絡分を意味する作用素(絡分作用素)である
$$ T^{-1}f(x) = \mathcal{F}(x) = \exp(\int\ln{f(x)}dx) $$

定絡分

定絡分とは、実数関数$f(x)$が正の範囲$(a,b)$について、$f(x)$を絡分する操作であり、以下の式が成り立つ。
$$ \mathcal{F}(x) = \exp(\int_a^b\ln{f(x)}dx) $$

解分

絡分の逆演算である解分とは、
実数関数$\mathcal{F}(x)$に対して次の関数$f(x)$を得る変換である。
ここで、$T$は解分を意味する作用素(解分作用素)である。
$$ T\mathcal{F}(x) = f(x) = \exp(\frac{d}{dx}\ln{\mathcal{F}(x)}) $$

これまで$f(x)$$\mathcal{F}(x)$という言い方しかできなかったので、演算子を使って簡単に表せるようにしました。

性質

絡分・解分の第一基本定理

$$ T T^{-1} f(x) = f(x) $$

$$ \begin{align} T T^{-1} f(x) &= \exp(\frac{d}{dx}\ln{\exp(\int\ln{f(x)}dx)})\\ &= \exp(\frac{d}{dx}\int{}\ln{f(x)}dx) \\ 微分積分学の第一基本定理より\\ &= \exp(\ln{f(x)}) \\ &= f(x) \\ \end{align} $$

絡分・解分の第二基本定理

$$ \exp(\int_a^b\ln{f(x)}dx) = \frac{T^{-1}f(b)}{T^{-1}f(a)} $$

$$ \begin{align} 微分積分学の第二基本定理より\\ \exp(\int_a^b\ln{f(x)}dx) &= \exp(\int\ln{f(b)}dx - \int\ln{f(a)}dx)\\ &=\frac{\exp(\int\ln{f(b)}dx)}{exp(\int\ln{f(a)}dx)}\\ &=\frac{T^{-1}f(b)}{T^{-1}f(a)} \end{align} $$

積の絡分

$f,g$は実数関数
$$ T^{-1} (fg) = T^{-1}f \cdot{}T^{-1}g $$

$$ \begin{align} T^{-1} (fg) &= \exp(\int\ln{(fg)}dx)\\ &= \exp(\int(\ln{f}+\ln{g})dx)\\ &= \exp(\int\ln{f}dx+\int\ln{g}dx)\\ &= \exp(\int\ln{f}dx)\cdot{}\exp(\int\ln{g}dx)\\ &= T^{-1}f \cdot{}T^{-1}g \end{align} $$

冪乗の絡分

$n$:整数
$$ T^{-1} ((f)^n) = (T^{-1}f)^n $$

$$ \begin{align} T^{-1} ((f)^n) &= \exp(\int\ln{((f)^n)}dx)\\ &= \exp(n\int\ln{(f)}dx)\\ &= (\exp(\int\ln{(f)}dx))^n\\ &= (T^{-1}f)^n \end{align} $$

※公式1からも導出できます。

公式2から特に
$$ T^{-1} \frac{1}{f} = \frac{1}{T^{-1} f} $$
であることがわかります。

定数倍の絡分

$\lambda$:実数, $A$:絡分定数(正の実数)
$$ T^{-1} (\lambda{}f) = A\lambda{}^xT^{-1}f $$

$$ \begin{align} T^{-1} (\lambda{}f) &= \exp(\int\ln{(\lambda{}f)}dx)\\ &= \exp(\int\ln{\lambda{}}dx)\cdot{}\exp(\int\ln{f}dx)\\ &= \exp(xln{\lambda{}}+C)\cdot{}\exp(\int\ln{f}dx)\qquad (Cは実数)\\ &= A\lambda{}^xT^{-1}f\\ \end{align} $$

微積分・総乗との比較

微積分と比較すると嬉しい

微積分絡分
$D D^{-1} f(x) = f(x)$$T T^{-1} f(x) = f(x)$
$\int_a^bf(x)dx = D^{-1}f(b) - D^{-1}f(a)$$\exp(\int_a^b\ln{f(x)}dx) = \frac{T^{-1}f(b)}{T^{-1}f(a)}$

総乗と比較するとすごく嬉しい

総乗絡分
$\prod_i{a_ib_i} = \prod_i{a_i} \cdot{} \prod_i{b_i}$$T^{-1} (fg) = T^{-1}f \cdot{}T^{-1}g$
$\prod_i{\frac{1}{a_i}}=\frac{1}{\prod_i{a_i}}$$T^{-1} \frac{1}{f} = \frac{1}{T^{-1} f}$
$\prod_{i=1}^n{\lambda{}a_i}=\lambda{}^n\prod_{i=1}^n{a_i}$$T^{-1} (\lambda{}f) = A\lambda{}^xT^{-1}f$

おわり

嬉しくなったので終わりです
なんか他にも有用な公式がありそうななさそうなという感じ……

また気が向いたら続きを書きます
ではまた~

投稿日:2023923

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投稿者

🤔 数学の専門ではないです。 思いついたことを書きます。

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