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絡分と階乗 【絡分2】

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こんにちは、Nappleです。

前回の記事( 絡分 (連続な総乗) )の最後に、

xの絡分(xe)xx!と一致していない……ので多分何かがおかしい。

ということを書きました。
今回は絡分してx!になる関数を求めることで疑問を解消したいと思います。

復習

前回の復習として絡分の定義を置いておきます。

絡分

総乗に対応する連続な変換である絡分とは、
実数関数f(x)に対して次の関数F(x)を得る変換である。ここで絡分の底pは任意の1でない正の実数とする。
F(x)=pablogpf(x)dx

本題

ステップ1. 絡分の逆演算を考える

xの絡分がx!に一致しないならば、どんなf(x)を絡分すればF(x)=x!となるのでしょうか。
そのようなf(x)を求めるには、絡分の逆演算を考える必要があります。

F(x)=pablogpf(x)dxlogpF(x)=ablogpf(x)dxddxlogpF(x)=logpf(x)pddxlogpF(x)=f(x)

これをまとめます。

解分

絡分の逆演算である解分とは、
実数関数F(x)に対して次の関数f(x)を得る変換である。ここで解分の底pは任意の1でない正の実数とする。
f(x)=pddxlogpF(x)

がそのままddxに置き換わっただけなのでわかりやすいですね!

ステップ2. x!を解分する

解分の底はeとし、x!を解分していきます。
f(x)=exp(ddxlnx!)

待ってください???
lnx!の微分ってなんですか……?

ステップ3. ディガンマ関数

実はこのddxlnx!は、ディガンマ関数と名付けられた特殊関数で表せるみたいです。対数微分というよく知られた手段もあるんですね。
定義を置いておきます。

ガンマ関数とディガンマ関数

ガンマ関数は以下で定義される複素関数である。
Γ(z):=tz1etdt
自然数nについてはΓ(n+1)=n!が成り立つ。


また、ガンマ関数Γ(x)に対し、その対数微分
ψ(z):=ddzlnΓ(z)=Γ(z)Γ(z)
をディガンマ関数と呼ぶ。

ディガンマ関数の漸化式

ψ(z+1)=ψ(z)+1z

これを用いれば、x!の解分は
f(x)=exp(ddxlnx!)=eψ(x+1)=eψ(x)+1x
と表せることがわかりました。
!FORMULA[34][-1555338732][0] f(x)=eψ(x+1)

ステップ4. 近似してみる

図1を見ると、f(x)x+12であることがわかります。
この近似で絡分を計算すると、
F(x)=e0xln(t+12)dt=e[(t+12)(ln(t+12)1)]0x=e(x+12)(ln(x+12)1)12(ln121)=e(x+12)ln(2x+1)x(ln2+1)=2x+1(2x+12e)x
という式が得られました。

前回のコメントにスターリングの公式との比較を話題にいただきましたが、
スターリングの公式の近似x!2πx(xe)xとも、オーダーはかなり近い近似となりました。
!FORMULA[38][1188855][0]とその近似 x!とその近似

まとめ

絡分してx!になる関数を求めることができて一件落着です。
xの絡分(xe)xもある意味でx!に近いものだったっぽいと考えると、この絡分・解分という概念もある程度正当性があるのではないかと思います。

ちなみに今回記載はしていませんが、近似に関してはディガンマ関数の漸近展開を用いるとより厳密に行えると考えています。

今回も適当な記事でしたが一旦このへんで
ではまた~

投稿日:2023911
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投稿者

🤔 数学の専門ではないです。 思いついたことを書きます。

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  1. 復習
  2. 本題
  3. ステップ1. 絡分の逆演算を考える
  4. ステップ2. x!を解分する
  5. ステップ3. ディガンマ関数
  6. ステップ4. 近似してみる
  7. まとめ