はじめに
ここでは
ライプニッツ記法の正しい扱い方
でみた古い微分法を使います。まあ大学に行くとしれっと復活するのですが。いま学校で習うのは例えばの微分はで、左辺は微分を意味する記号で分数ではないという扱いです。しかし昔は普通にも一種の量として扱っていました。
の微分は
の微分は
の両辺を微分して
というふうに考えます。この記法のいいところは複数の変数が混ざっていても普通に微分を考えれることです。例えばの微分はです。
またここではは積分定数とします。
微分方程式
定数変化法
とりあえず、右辺が0だったら解けるのでまずそれを解いてみます。
さてこれをヒントにして元の式を解きます。ここで出てきた積分定数をの関数 として元の式に代入します。
より
は
よって
積分因子法
を の関数として
の形になるときこれを完全微分式といいます。例えば
完全微分式の解は明らかにです。なので例えば の解は です。
が完全微分式ではなくても、ある関数 を両辺にかけることで完全微分式になることがあります。このようなを積分因子と呼びます。
元の式に戻ります。
とりあえずまず右辺をの場合を考えます。
を両辺にかけると
となり左辺は
なので
または
よって
は積分因子により
という形にできることがわかりました。ここで積分因子が唯一のものかというとそうではありません。これに定数倍をかけたものも同じようにの形にできます。一般にどのようなものがの形にできるかというと の積分 のを使ってと表せます。 の両辺に をかけると
となり右辺のについての積分をとすれば、右辺はと表せるので も積分因子になります。今回の場合はでなので
が一般の積分因子です。元の式に戻って
を考えます。左辺は積分因子をかけることで完全微分形にできます。なので積分因子のを適切に選び、右辺に積分因子がかかったものも積分可能にできれば、この微分方程式が解けます。ここでは
という積分因子が正解です。これはの関数なので右辺にかけても、右辺はすべてにの関数なので解けます。
なぜはじめに右辺を0とおくのか
微分方程式を解く基本は変数分離形です。
の右辺はだけの関数であり、「もう解ける状態」なわけです。ややこしいやつを分離して、まずそれを解ける状態にすることを優先するという方針です。