Intuitively, a proper map [from into ] is one that maps points "near infinity" in to points "near infinity" in .
── Victor Guillemin and Alan Pollack, "Differential Topology".
復習:点列コンパクト
を位相空間としとする.の任意の点列がの点に収束する部分列を持つとき,は点列コンパクトであるという.
を距離空間とする.このとき次は同値である:
- はコンパクトである;
- は点列コンパクトである.
(i)(ii)
をの点列とする.各に対して
とおく.これらは空でないの閉集合でありを満たす.したがってが成り立つ.そこでを取る.このとき次のようにしてに収束する部分列が得られる:
(ii)(i)
をの開被覆とする.
まづ
を示す.
- この主張が成り立たないとすると,各に対してであってとなるものが存在する.
- 仮定よりとしてよい.
- このときおよびであってとなるものが存在する.
- より,.
- とすると,
よりを得るが,これはの定め方に反する.
つぎに
を示す.
- この主張が成り立たないとすると,つぎのようにしての点列が得られる:
- このとき任意のに対して(より)が成り立つ.したがっては収束部分列を持ち得ず仮定に反する.
以上よりとなるのではコンパクトである.
距離空間のあいだの固有写像
を位相空間,をの点列とする.任意のコンパクト集合に対してが有限集合であるとき,すなわち
が成り立つとき,を遁走点列という(ことにする).
Euclid空間の点列について,これが遁走点列であることととなる,すなわち
が成り立つこととは同値である.これはEuclid空間の部分集合について,それがコンパクト集合であることと有界閉集合であることとが同値であることから従う.
を距離空間,をの点列とする.このとき次は同値である:
- は遁走点列である;
- は収束部分列を持たない.
(i)(ii)
遁走点列が収束部分列を持ったとする.とおく.このときはコンパクトであるがは有限集合ではない.これはが遁走点列であることに矛盾する.
(ii)(i)
をコンパクト集合とする.もしが有限集合でないとすると,の部分列であってとなるものが得られる.このときの点列コンパクト性よりは収束部分列を持つがこれは仮定に反する.
を距離空間,を写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- の任意の遁走点列に対してはの遁走点列である.
(i)(ii)
をの遁走点列とする.もしが遁走点列でないとすると,コンパクト集合であってが無限集合となるものが存在する.ところで仮定よりはコンパクト集合であるから,これはが遁走点列であることに反する.
(ii)(i)
をコンパクト集合とする.もしが点列コンパクトでないとすると,の点列であって収束部分列を持たないものが存在する.このとき補題2よりはの遁走点列であるが,は有限集合でないのではの遁走点列ではないことになり,仮定に反する.
条件(ii)の対偶を考えることで次を得る:
命題3の
を距離空間,を写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- の任意の点列に対して,が収束部分列を持つ(とくに収束点列である)ならばは収束部分列を持つ.
Euclid空間のあいだの固有写像
を写像とする.任意のに対して,であって
が成り立つものが存在するとき,と書く.
が成り立つ.- (および)は“無限遠点の開近傍”にほかならない(cf. 補遺).
より,
が成り立つことがわかる.
を連続写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- .
(i)(ii)
とする.閉球は有界閉集合ゆえコンパクトなので,仮定よりはコンパクト,とくに有界集合である.したがってであって
が成り立つものが存在する.
(ii)(i)
をコンパクト集合とする.このときの有界性より,であってとなるものが存在する.また,仮定よりであってとなるものが存在する.
- のハウスドルフ性およびの連続性よりは閉集合であり,
- よりは有界集合である.
よってはコンパクトである.
連続写像がを満たすならば,任意のに対してはコンパクトである.とくにを考えると,半径の球面のコンパクト性がわかる(大袈裟?).
非定数多項式により定まる連続写像は固有写像である.
固有距離空間のあいだの固有写像
を距離空間,を写像とする.任意の有界集合に対してその逆像が有界集合であるとき,を距離的固有写像(metrically proper map)という.
上述の注意より命題4は次のように言い換えられる:
を連続写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- は距離的固有写像である.
を距離空間とする.の任意の有界閉集合がコンパクトであるときを固有距離空間(proper metric space)という.
一般に距離空間のコンパクト集合は有界(閉)集合である.実際,
- 命題1の証明より,であってとなるものが存在する;
- とおく;
- 任意のに対してであってとなるものが存在するので
が成り立つ; - よってが成り立つ.
命題5は次のように一般化される:
を固有距離空間,を連続写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- は距離的固有写像である.
(i)(ii)
を非空有界集合とする.とおき,を取る.このときが成り立つ.有界閉集合はコンパクトなので,仮定よりはコンパクト,とくに有界集合である.よってより,も有界である.
(ii)(i)
をコンパクト集合とする.このときは有界閉集合であるから,仮定(との連続性)よりは有界閉集合,したがってコンパクトである.
を距離空間とする.各に対して連続写像
が定まる.
命題6の
を距離空間とする.このとき次は同値である:
- は固有距離空間である;
- 任意のに対しては固有写像である.
(i)(ii)
とする.任意のに対してが成り立つので,連続写像は固有距離空間のあいだの距離的固有写像であり,したがって固有写像である.
(ii)(i)
を非空有界閉集合とする.とおきを取るとが成り立つ.ところで仮定よりはコンパクトであるから,その閉部分集合はコンパクトである.
補遺:固有写像と1点コンパクト化
1点コンパクト化の存在
を位相空間とする.
- コンパクト空間と位相的埋め込みであってなるものとの組をのコンパクト化という.
- のコンパクト化であってが単集合となるものをの1点コンパクト化という.
を位相空間とし,
とおく.に注意する(cf.
https://twitter.com/yamyam_topo/status/289727377267900417
).
とおく.
- が成り立つ.
- が成り立つ.
- とする.
- のとき,が成り立つ.
- のとき,
が成り立つ. - のとき,
が成り立つ.
- とする.
とおく
- のとき,が成り立つ.
- のとき,
が成り立つ. - のとき,
となるので,前段より,
を示せば十分である.ところで
はコンパクト閉集合であるから,
が成り立つ.
を位相空間とする.このとき次が成り立つ:
- 位相空間はコンパクトである;
- がコンパクトでないならば,は稠密である;
- をの開被覆とする.このときであってとなるものが存在する.明らかにであるから,あるコンパクト閉集合を用いてと書ける.いまはコンパクト集合の開被覆でもあるから,であって
となるものが存在する.よって
が成り立つ. - とする.
- のとき,が成り立つ.
- のとき,より
が成り立つ.
- よりは閉集合である.
- が空間であるとする.このとき,各に対してはコンパクト閉集合であるからは開集合である.
- が空間であるとすると,その部分空間も空間である.
命題8の
コンパクトでない位相空間に対して,はその1点コンパクト化である.
1点コンパクト化の一意性
位相空間について,そのハウスドルフな1点コンパクト化が存在するならば,はコンパクトではない.
をのハウスドルフな1点コンパクト化とする.がコンパクトであるとすると,は閉集合であるから
が成り立つが,これはが単集合であることに反する.
局所コンパクトハウスドルフ空間の開集合は局所コンパクトである.
を局所コンパクトハウスドルフ空間とし,を開集合とする.
とする.仮定よりの相対コンパクト開近傍が存在する.局所コンパクトハウスドルフ空間はとくに空間なので,の開近傍に対して,の開近傍であってとなるものが存在する(
命題25
).このとき
より,はの相対コンパクト開近傍である.
を位相空間とする.このとき次は同値である:
- は局所コンパクトハウスドルフ空間である;
- は(コンパクト)ハウスドルフ空間である.
(i)(ii)
とする.仮定よりの相対コンパクト開近傍が存在する.このとき,はの開近傍でありが成り立つ.
(ii)(i)
は局所コンパクトハウスドルフ空間の開集合ゆえ局所コンパクトハウスドルフである.
命題11の
コンパクトでない局所コンパクトハウスドルフ空間に対して,はそのハウスドルフな1点コンパクト化である.これをのAlexandroff コンパクト化という.
Alexandroff コンパクト化の普遍性
をコンパクトでない局所コンパクトハウスドルフ空間とする.このときの任意のハウスドルフなコンパクト化に対して,連続写像であってが成り立つものがただ一つ存在する:
存在
写像を
で定める.
- が成り立つ.
- は連続である.
- あとは各における連続性を示せばよい.そこでをコンパクト閉集合とする.このとき,コンパクト集合は閉集合であるから,
はの開近傍である.
一意性
連続写像もを満たすとする.このとき,ハウスドルフ空間への連続写像は稠密部分集合上で一致するのでが成り立つ.
コンパクト空間からハウスドルフ空間への(全射)連続写像は閉写像であり,したがって全射等化写像である.よって同相
が成り立つ.
とおく.は,コンパクトでない局所コンパクトハウスドルフ空間のハウスドルフなコンパクト化であるから,連続写像であってなるものがただ一つ存在する.
であるから
が成り立つ.
コンパクトでない局所コンパクトハウスドルフ空間のハウスドルフな1点コンパクト化は互いに同相である.
をのハウスドルフな1点コンパクト化とする.このときととが同相であることを示せばよい.ところで,はコンパクト空間からハウスドルフ空間への全単射連続写像であるから同相写像である.
固有写像と1点コンパクト化
を位相空間とする.写像に対して,写像を
で定める.
を位相空間,をハウスドルフ空間とし,を連続写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- は連続写像である.
(i)(ii)
は連続なので,あとはでの連続性を示せばよい.そこでをコンパクト閉集合とすると,仮定よりはコンパクト閉集合であるから
はの開近傍である.
(ii)(i)
をコンパクト集合とする.のハウスドルフ性よりは閉集合でもあるから,の開近傍に対して,仮定より,コンパクト閉集合であって
となるものが存在する.このとき
が成り立つので,コンパクト集合の閉集合はコンパクトである.
を同相写像とすると,はとくに固有写像であるから
は連続である.逆写像から定まる連続写像がの逆写像を与える.
としとする.ハウスドルフ空間は,コンパクトでない局所コンパクトハウスドルフ空間の1点コンパクト化である.よって
が成り立つ.
命題4(の (ii)(i) )は次のように一般化できる:
を有限集合としを連続写像とする.このとき2条件
- ,
が成り立つならば,は固有写像であり,連続写像に“拡張”できる.
が固有写像であること
をコンパクト集合とする.であってとなるものが存在する.
- であって,
となるものが存在する; - 各に対して,であって
となるものが存在する.したがって
が成り立つ.
よって
が成り立つので,コンパクト集合の閉集合はコンパクトである.
が“拡張”できること
とおく.同相に対応して,同相を得る.したがって,連続写像
が定まる.適当に同一視すると
と書ける.
更新履歴
2024/02/04:の定義(の述べ方)を変更しました.また,補遺を加筆しました.