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集合系 ⑤

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$$$$

Def.

定義

全体集合 $U$ を固定し、$X\subseteq U$ とする。さらに、$\mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X)$$X$ 上の集合系とする。
このとき、$\mathcal{F}$ の和集合を
$$ \bigcup \mathcal{F}:=\{x\in X\mid \exists A\in\mathcal{F}\ (x\in A)\} $$
で定義する。

すなわち、$\bigcup\mathcal{F}$ は、$\mathcal{F}$ に属する少なくとも $1$ つの集合の元となるような $x\in X$ 全体の集合である。

同じ意味で
$$ \bigcup \mathcal{F}=\bigcup_{A\in\mathcal{F}} A $$
とも書く。

定義

全体集合 $U$ を固定し、$X\subseteq U$ とする。さらに、$\mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X)$$X$ 上の集合系とする。
このとき、$\mathcal{F}$ の共通部分を
$$ \bigcap \mathcal{F}:=\{x\in X\mid \forall A\in\mathcal{F}\ (x\in A)\} $$
で定義する。

すなわち、$\bigcap\mathcal{F}$ は、$\mathcal{F}$ に属するすべての集合に共通して属するような $x\in X$ 全体の集合である。

同じ意味で
$$ \bigcap \mathcal{F}=\bigcap_{A\in\mathcal{F}} A $$
とも書く。

Prop & Proof

全体集合 $U$ を固定し、$X\subseteq U$ とする。集合系 $\mathcal{F}\subseteq \mathcal{P}(X)$ について $\mathcal{F}=\varnothing$ ならば
$$ \bigcup \mathcal{F}=\varnothing $$
が成り立つ。

集合系の和集合の定義より
$$ \bigcup \mathcal{F}=\{x\in X\mid \exists A\in\mathcal{F}\ (x\in A)\} $$
である。
$ $
いま、$\mathcal{F}=\varnothing$ と仮定する。空集合の定義より、$\mathcal{F}$ には元が $1$ つも存在しない。
ゆえにこのとき、任意の $x\in X$ について
$$ \exists A\in\mathcal{F}\ (x\in A) $$
は成立しない。実際、$\mathcal{F}=\varnothing$ なら
$$ \exists A\in\varnothing\ (x\in A) $$
であるが、空集合には元がないため、「$A\in\varnothing$ であるような $A$」が存在しない。
ゆえに、任意の $x\in X$ について
$$ x\in \bigcup \mathcal{F} $$
は成り立たない。すなわち、
$$ \forall x\in X\ (x\notin\bigcup\mathcal{F}) $$
である。したがって、$\bigcup \mathcal{F}$ は元を $1$ つも持たない集合であるから
$$ \bigcup \mathcal{F}=\varnothing $$
である。
$$ \Box$$

任意の $x\in X$ について $\exists A\in\varnothing\ (x\in A)$ は成立しない。

より形式的には、存在命題 $\exists A\in \mathcal{F}\ (x\in A)$ は「ある $A$$\mathcal{F}$ に属し、かつ $x\in A$ が成り立つ」という意味であり、
$$ \exists A\ (A\in \mathcal{F}\land x\in A) $$
と書ける。$\mathcal{F}=\varnothing$ のとき、空集合には元がないため、「$A\in\varnothing$ であるような $A$」が存在しない。
ゆえに、$A\in \varnothing$ は偽なので、連言 $A\in \mathcal{F}\land x\in A$ は常に偽となり、前述の存在命題は偽である。

【復習】存在命題の否定/全称命題の否定
  1. 集合 $S$ を定義域とする命題関数 $P(x)$ について次が成り立つ。
    $$ \neg(\exists x\in S\ \mathrm{s.t.}\ P(x))\equiv \forall x\in S,\ \neg P(x) $$
  2. 集合 $S$ を定義域とする命題関数 $P(x)$ について次が成り立つ。
    $$ \neg(\forall x\in S,\ P(x))\equiv \exists x\in S\ \mathrm{s.t.}\ \neg P(x) $$

- 詳しくはこちら

全体集合 $U$ を固定し、$X\subseteq U$ とする。集合系 $\mathcal{F}\subseteq \mathcal{P}(X)$ について $\mathcal{F}=\varnothing$ ならば
$$ \bigcap \varnothing=X $$
が成り立つ。

$\mathcal{F}=\varnothing$ とする。このとき、共通部分の定義より
$$ \begin{align} \bigcap \mathcal{F} &= \{x\in X\mid \forall A\in\mathcal{F}\ (x\in A)\}\\ &= \{x\in X\mid \forall A\in\varnothing\ (x\in A)\}\cdots①\\ \end{align} $$
である。
$ $

  1. $X\subseteq\bigcap \mathcal{F}$ を示す。
    ここで、任意の $x\in X$ について
    $$ \forall A\in\varnothing\ (x\in A) $$
    は、空な領域にわたる全称命題であるから空虚に真である。実際、全称命題は
    $$ \forall A\ (A\in\varnothing\Rightarrow x\in A) $$
    と同じ意味である。ところが、空集合の定義より、任意の $A$ について $A\in\varnothing$ は偽である。
    したがって、任意の $A$ について
    $$ A\in\varnothing\Rightarrow x\in A $$
    は真(空虚に真)である。ゆえに
    $$ \forall A\in\varnothing\ (x\in A) $$
    は真である。したがって、任意の $x\in X$ について
    $$ x\in\bigcap \mathcal{F} $$
    が成り立つ。ゆえに
    $$ X\subseteq\bigcap \mathcal{F} $$
    を得る。
    $ $
  2. $\bigcap \mathcal{F}\subseteq X$を示す。
    任意の $x\in\bigcap \mathcal{F}$ をとると、上の定義(①)より直ちに $x\in X$ である。
    つまり、$\bigcap\mathcal{F}$ の元であるなら、定義上すでに $x\in X$ である。したがって
    $$ \bigcap \mathcal{F}\subseteq X $$
    が成り立つ。

-以上より
$$ \bigcap \varnothing=X $$
である。
$$ \Box$$

この結果は直観に反すると感じただろうか(´ω`)?
$ $
たとえば
$$ X=\{1,2,3\} $$
とする。いま、集合族が
$$ \mathcal{F}_1=\{\{1,2\},\{2,3\}\} $$
なら、$1$$2$$3$ のうち、両方に入っているのは $2$ だけなので
$$ \bigcap\mathcal{F}_1=\{2\} $$
である。次に、条件を $1$ つ減らして
$$ \mathcal{F}_2=\{\{1,2\}\} $$
とすると、今度は$1$つの集合しかないため「${1,2}$ に入っていること」だけが条件となるから
$$ \bigcap\mathcal{F}_2=\{1,2\} $$
になる(直観的には、制約が無くなるため大きくなる)。
さらに条件を全部なくして
$$ \mathcal{F}_3=\varnothing $$
とすると、満たすべき条件が $0$ 個になり、すると、$X$ の元は誰も落とされないので
$$ \bigcap\mathcal{F}_3=X=\{1,2,3\} $$
である。これは「集合族が小さくなるほど、共通部分は大きくなりうる」という見方と一致する。
$ $
参考資料の例:Intersection (set theory) - Wikipedia の Nullary intersection。

全体集合 $U$ を固定する。集合系 $\mathcal{A}\subseteq\mathcal{P}(U)$ と 任意の $A\in\mathcal{A}$ に対し
$$ A\subseteq\bigcup\mathcal{A} $$
が成り立つ。

$A\in\mathcal{A}$ とする。$A\subseteq\bigcup\mathcal{A}$ を示す。
部分集合の定義により、任意の $x\in U$ について
$$ x\in A\ \Rightarrow\ x\in\bigcup\mathcal{A} $$
を示せば十分である。
$ $
そこで、任意に $x\in U$ をとり、$x\in A$ と仮定する。
仮定より、$A\in\mathcal{A}$ かつ $x\in A$ であるから、集合系の和集合の定義より
$$ x\in\bigcup\mathcal{A} $$
である。ゆえに、任意の $x\in U$ について
$$ x\in A\ \Rightarrow\ x\in\bigcup\mathcal{A} $$
が成り立つので、部分集合の定義より
$$ A\subseteq\bigcup\mathcal{A} $$
である。
$$ \Box$$

全体集合 $U$ を固定する。集合系 $\mathcal{A}\subseteq\mathcal{P}(U)$ と任意の $A\in\mathcal{A}$ に対し
$$ \bigcap\mathcal{A}\subseteq A $$
が成り立つ。

任意に $A\in\mathcal{A}$ をとる。$\bigcap\mathcal{A}\subseteq A$ を示す。
すなわち、部分集合の定義により、任意の $x\in U$ について
$$ x\in\bigcap\mathcal{A}\ \Rightarrow\ x\in A $$
を示せば十分である。
$ $
そこで、任意に $x\in U$ をとり、$x\in\bigcap\mathcal{A}$ と仮定する。
集合系の共通部分の定義より
$$ x\in\bigcap\mathcal{A}\ \Leftrightarrow\ \forall E\in\mathcal{A}\ (x\in E) $$
であるから、仮定($x\in\bigcap\mathcal{A}$)より
$$ \forall E\in\mathcal{A}\ (x\in E) $$
が成り立つ。
ここで、$A\in\mathcal{A}$ であるから、上の全称命題において $E=A$ とおけば
$$ x\in A $$
を得る(全称除去)。
したがって、任意の $x\in U$ について
$$ x\in\bigcap\mathcal{A}\ \Rightarrow\ x\in A $$
が成り立つので、部分集合の定義より
$$ \bigcap\mathcal{A}\subseteq A $$
である。
$$ \Box$$

なお、この命題は $\mathcal{A}=\varnothing$ の場合にも成り立つ。実際、このとき命題の主張は
$$ \forall A\in\varnothing\ (\bigcap\varnothing\subseteq A) $$
となるが、これは空な領域にわたる全称命題であるから空虚に真である。実際、全称命題は
$$ \forall A\ (A\in\varnothing\Rightarrow \bigcap\varnothing\subseteq A) $$
と同じ意味である。ところが、空集合の定義より、任意の $A$ について $A\in\varnothing$ は偽である。
したがって、任意の $A$ について
$$ A\in\varnothing\Rightarrow \bigcap\varnothing\subseteq A $$
は真(空虚に真)である。ゆえに
$$ \forall A\in\varnothing\ (\bigcap\varnothing\subseteq A) $$
は真である。

参考文献

  1. Wikipedia contributors, Intersection (set theory), Wikipedia, The Free Encyclopedia, fixed revision oldid=$1323836858$, accessed $2026$-$03$-$07$
投稿日:3日前
更新日:2日前
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投稿者

分野を問わず数学の証明が好きで、不定期に過去のノートも含めて更新しています。あとで自分が読み返してもきちんと理解できるノートを作ることを心がけています。定義や証明、命題などに誤りがございましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025年12月28日)。

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